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フュージングガラスの失透や焼付き汚れを消すにはどの方法がいいのか実験してみました

ガラスフュージング

ガラスフュージングをされる皆さんを悩ますガラスの失透。
ガラス焼成後、ガラスの表面を見てみたら・・・

なんだかモヤっと曇ってるぞ・・・
あれ、私の指紋が焼き付いちゃってるんじゃない?

なんてせっかくの作品が曇ったり汚れちゃってたりで涙・・・
あると思います。

これ元に戻す方法があればいいのにな・・・

というわけで今回は焼成したガラスが失透してしまったり、指紋などの汚れが焼付いてしまった時から復活させる方法を解説したいと思います。

ガラスの失透って何だ?

焼成したガラスの表面が曇ったりすることを「失透」と言ったりします。

さてこの失透とはどうして起こるのでしょう。

世の中のあらゆる固体はどれも結晶化してるものなのですが、透明なガラスというのはある意味珍しいもので、結晶化していない物資です。
どちらかというと液体に近いイメージなんです。

ところが、焼成時の温度や冷ます時の条件次第で部分的に結晶化したりしてしまいます。
この結晶粒が光を妨げることによってガラスが曇ってみえる。
つまり失透というわけです。

また焼成前のガラス洗浄を怠ったり、指紋などが付着したまま焼成してガラス表面が結晶化したりおごれが焼付いてしまったりなんてこともあり、細かく言えば本来の失透とは違うかもしれませんがこちらも失透と言ったりします。

失透を取り除く方法

焼付いてしまった指紋汚れ

一度失透してしまったものは元には戻らないのか。

元に戻すことさえ出来れば今まで作ったものにもう一度日の目を見せることができるのにって作品が眠ってる方も多いと思います。

大丈夫、復活させる方法があるんです。今回は失透から復活させる3つの方法を紹介いたします。

ガラスパウダーで復活させる

色々調べていくうちに、ガラスメーカー「ブルズアイ社」のホームページで一つ興味深い資料を見つけました。

この資料では「ガラスが失透してしまった場合、表面が白くなるまで1101クリアや1401クリスタルクリアのガラスパウダーを振りかけて再焼成するとキレイな外観になる」との記述があります。

えっ!?そんな簡単に消すことができるの?

不思議に思う方も多いかもしれません。

実は私自身この方法を何度かやったことがあるのですが、薄い汚れなどはキレイに消えてくれました。
ただクッキリとした焼き付き汚れには効果がありませんでした。

この方法は薄い失透に有効な方法だと思います。

表面を削って復活させる

「表面が曇ってしまってるんだから、その曇ったり汚れが焼付いちゃってる部分を削ってからもう一度電気炉で焼成してツルっとさせてしまえ」という考え方です。

全体をサンドブラストしてからファイヤーポリッシュ

失透した部分もろともガラス全体をサンドブラストで削る

失透した部分を削る方法はいろいろあると思うのですが、効果絶大なのがこの方法。

失透や汚れは消え表面はザラザラ


失透してしまったガラス全体に研磨砂を吹き付けて均等にガラス表面を削ってしまい、再焼成でガラス表面を軽く溶かしガラスをツルっとさせます。

短時間でガラス表面を均等に削ることができますので失敗も少なく失透から復活させることができます。

問題はサンドブラスト機が無いと出来ないということ。
ガラスフュージングをされる方で高価なサンドブラスト機を持ってる方はかなり少ないかと・・・

少々現実味からは遠い復活方法かもしれません。

アフロホイールビットで削ってファイヤーポリッシュ

さぁ、そこで皆さんにお勧めなのがこの方法。

アフロホイールビット極細目で失透部分を削って電気炉で再焼成するという方法。

もともとこのアフロホイールビット極細目はサンドブラスト後のザラつきを磨いて少し光沢をもたせるためのビット。
つまり軽く削りながらも深い傷にはならないという特徴を持ってるビットです。
研磨の番手で言えば#320くらいかな。

失透した部分をアフロビットで削る

なので失透してしまった部分に軽くこのビットをあてて失透部分を削ります。

本来であればサンドブラストの時と同じようにガラス全体を均等に削るのが理想なのですが、このビットで削った跡をみてみたら研磨傷が深くなく、どうやらこのまま焼成してもガラス表面はツルっとなりそう。

軽く押し当てて焼付き汚れだけ削る

これで問題なければ安価で短時間で一番簡単な復活方法ですよね。

3つの方法で試してみた

今回紹介いたしました3つの方法。

実際に効果を検証してみましょう。

ガラスの一部分を結晶化させるのは難しいので、今回はガラスフュージングでみなさんがやってしまいがちな焼き付き汚れを作ってみました。

無理やり離型剤で指紋をつけて焼成しました(笑)


パーフェクトプライマー(離型剤)をつけた指でガラスに触って指紋をつけ、それをフルフューズで焼付けるという方法です。

クッキリ焼付いた指紋

クッキリとした指紋がガラスに焼付いております。
アルコールなどで拭いてももう取れません。

クリアパウダーをふる

サンドブラストで削る

全体が削れた状態

アフロホイールビットで削る

焼付き汚れ部分を軽く削る
汚れだけ軽く削れた状態

3つ一緒に焼成してみる

パウダー(左上)サンドブラスト(右上)アフロビット(下)

焼成温度は780℃で10分キープ。
ブルズアイ社のクリアパウダーを振りかける方法の推奨温度で焼成いたします。
しっかり冷まして見てみましたら・・・

一見すべてキレイになってるように見えるけど・・・

一番おすすめの方法は何?

指紋が残ってる・・・

クリアパウダーは残念ながら指紋は取れませんでした。
今回はかなりクッキリとした指紋の焼付きだったので仕方ないかも・・・
やはりクリアパウダーでの方法は、実際に結晶化した失透や薄い汚れにしか効果はないようです。

サンドブラストは完璧にツルツル

サンドブラストは完璧。
指紋のしの字もありません。キレイなガラスに仕上がりました。

アフロビットもキレイになりました

アフロビット極細目も完璧。
こちらもキレイに指紋がとれ、ガラス本来のツルっと感が復活しております。

アフロホイールビットが超オススメ

今回の実験では削ってファイヤーポリッシュが一番きれいに仕上がることが分かったのですが、なんといってもアフロホイールビット極細目。

これであれば大掛かりなサンドブラスト機もいらないし、お手元のハンドピースグラインダーに装着して軽く削り、電気炉で再焼成するだけでツルツルピカピカ。

安価で短時間でキレイに復活させることができました。

みなさんも失透や汚れでガッカリせず、今までお蔵入りしてた作品にもう一度命を吹き込んであげましょうよ。

これからもどんどんガラスフュージングを楽しんでね。



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