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驚きガラスフュージング?有刺鉄線とガラスのデスマッチ!ガラスを溶かし垂らす

ガラスフュージング

ガラスフュージングでいろんなガラスを作っておられる皆さんは、電気炉の棚板の上のガラスがどれくらいの固さか気になったことはないでしょうか。

720〜750くらいまではガラスもあまり溶けなく徐々にガラスの角が丸みを帯びてくるくらい・・・
780℃とか800℃とかだと表面張力で溶けたガラスが丸くなって・・・

こんなイメージはできると思うのですが、棚板の上にあるガラス自体がどれくらいの固さか(カッチカチなのかドロンドロンなのか)はなかなか把握しにくいと思います。

何かガラスの固さを確認するいい方法はないかなぁ・・・

なんて考えておりました時に、面白いガラスの形状になる技法を見つけました。

Dripping Glass ドリッピンググラス と名付けられたその技法は、電気炉内で高さのあるところに置いた金網の上からガラスを垂らすという技法。
※写真などは「dripping glass」でググってね。

金網に乗せたガラスが炉内の温度を上げることによって網目を通って何本も垂れてくる形状を作品にする技法です。

つまり、この技法であればガラスが網目を通って徐々に落ちてくるので、温度を上げていく各温度でガラスが垂れてくる状態を見ることができガラスの柔らかさかイメージしやすいのでは・・・。

これはやるしかないよね。

今回の内容を動画で解説

Dripping Glass でガラスの柔らかさを見る

ドリッピンググラスをするにはまず金網。

得意の100均でバーベキューようの金網を買ってきたのですがこれが大誤算。
材質がかなり柔らかく、使いたいサイズに網をカットすると周囲のガードがなくなるのでフニャフニャになってしまいガラスを乗せると沈んでしまいました。

このままだと金網ごと落下してしまいそう・・・

こりゃダメだということでホームセンターで丈夫な金網を探すことにいたしました。
外構用のフェンスに使うものや、園芸用のものなどいろいろあったのですがいい感じの網目サイズがなかなかない。

いっそのこと太い針金で網目状のものを自作しようか・・・

有刺鉄線はじめてのおつかい

針金を探していたのですが、ここで目に入ったのが

有刺鉄線

うわっ、ホームセンターで有刺鉄線売ってるんだ・・・

これを網目状に張り巡らしたら・・・

やばい。これは面白そうだぞ!

速攻買って帰りました。人生はじめての有刺鉄線購入w

有刺鉄線でドリッピンググラスに挑戦

ドリッピンググラスをするにはまず金網を高い位置にセッティングしなければなりません。

使用する電気炉はもちろん「キルンキング160PKS」

小型の電気炉でありながら炉内の高さは13.5cm。棚板からでも12cmはあるのでどうにかできそうです。

棚板にセラフォームを敷いてその上にブロックを4個立てました。
もちろん万が一のことも考えてブロックには離型剤をスプレーしております。
※セラフォームを敷くとはいえ棚板には念のため離型剤を塗っておきましょね。

その上に適度なサイズにカットした有刺鉄線を渡します。
やばいっすね。デスマッチ感出てますよね。

この上に乗せるガラスといえば・・さぁ張り巡らせた有刺鉄線に乗せるガラスの色といえばもう・・・

赤しかないだろ

有刺鉄線から滴る赤・・・そう、皆さんの想像通りです。
ホラー&スプラッターな感じを出したいと思います。

ブルズアイの端材ではありますが、0024トマトレッド、0124レッド、0301ピンクの3つを積んでみましたよ。

各温度で溶けて垂れる具合を観察してみよう

この状態で温度を上げていき、各温度でのガラスの溶け具合をみてみようと思います。

700℃〜760℃あたりまでは有刺鉄線からガラスが垂れることがなく上にとどまった状態でありながらガラスの角が徐々に丸くなっていく状態
※760℃まで写真を撮り忘れるという大失態を犯してしましたゴメンナサイ。

780℃

ガラスが有刺鉄線から少し垂れ出しました。
ただデローンと垂れるわけではなくほんとゆっくり、ジワジワジワジワという感じ。
垂れる感じくらいの柔らかさにはなってるんですが、まだまだガラスは固いイメージです。

それが証拠に、写真のように網目からはみ出した部分からガラスが垂れてきました。
つまり、中央の網目面積の狭いところでは垂れることができるほどガラスが柔らかくなってないんですね。

790℃

2本ほど垂れてもうすぐ棚板に着地しそうな感じになってきました。
やはりこの時点でもゆっくりゆっくり垂れる感じで、ジワジワとした感じ。
また780℃同様、狭い網目からはまだガラスは落ちてきません。

800℃

ついに初めに垂れ出した2本が着地。
これでも非常にゆっくりとしたスピードで垂れていて、下に溜まるガラスも折れ重なる形状がそのまま残る固さなんですね。
800℃といえば通常のフュージングでは表面張力でガラスが丸くなる温度帯。
もっと柔らかいイメージでおられた方も多いのではないでしょうか。

810℃

ついに細い網目の部分からもガラスが垂れはじめました。
やっとドリッピングガラスっぽくなってきましたね。このまま何本も落ちてきて欲しいところです。

820℃

いい感じでガラスが垂れていき、全て棚板に着地してくれました。
だいぶ柔らかくなりましたね。
ただ、下にガラスが溜まるガラスは折り重なる形状がまだ残ってます。
想像よりまだまだ固いイメージをもたれたのではないでしょうか。

皆さんが想像するガラスの柔らかさは

皆さんが溶けたガラスを想像するのは、吹きガラスで使う溶けたガラスだと思います。
あのドロドロに溶けたガラスというのは約1300℃くらい。
そのガラスを竿にとって形を整えたり膨らませたりしてるんです。

それと比べると今回のガラスは800℃を超えてるといえども、実はかなり温度が低い状態なんです。
ガラスでいえばまだまだ固い状態だといえますね。
※もちろんこの温度だと吹いて膨らますなんてことも難しいと思います。

冷ます時間をたっぷりとってさぁここまで溶けたら早く完成が見たいところ。
ただ今回のガラス。
有刺鉄線というガラス以外のものと合わせてるのはもちろん、なんといっても形状が複雑すぎます。
つまりガラスが冷めていく工程で各部分で温度差が非常に発生しやすい形状となっております。
徐冷はもちろん、徐冷時間をとった後も熱割れを起こさないよう慎重に、慎重に・・・

530℃あたりで一度キープを入れ、482℃では5時間ほどキープ
430℃付近まではなるべくゆっくりになるようにマメにキープを入れて、そして370までも慎重に・・・
あとは熱割れしないようにじっくり、じっくり・・・

とてもホラーな有刺鉄線デスマッチガラスの完成

完全に冷ましまして電気炉を開けたら我もなく一安心。

かなり支柱の際までガラスが来ちゃってましたね。でも垂れたガラスが途切れることなくうまく繋がったままの形状で仕上がってます。

ということはこの形状・・・
そうなんです。支柱を外せば自立するんです。

怖ぇ〜よ

こうしたかったとはいえ、かなり恐ろしい仕上がりとなりました。
大満足でございます。

さて今回の有刺鉄線デスマッチガラス。
各温度でガラスの溶け落ちる感じでガラスの柔らかさを確認することができました。
想像していたより固い印象を受けた方が多いのではないでしょうか。

僕自身このドリッピングガラスという技法は初挑戦だったのですが、途中途中でのガラスの様子を見ながらの制作で
とても楽しくチャレンジすることが出来ました。
色違いも作ってみよかな・・・

さぁ、ガラスを楽しみましょう!!!




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