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他の色からグリーンのガラスを作る方法!色がなければ作っちゃえ!

ガラスフュージング

これまでガラスフュージングではコロナの影響はあまり受けてこなかったのですが・・・
#もちろんメーカさんの努力のおかげです

このところガラスが輸入される日程が遅れたり、入荷量が少なくなったりと少なからず影響がでてまいりました。
特にグリーン系のガラスが無いことが多く、グリーン不足に陥ってる状況がございます。

「次の入荷を祈って、今回は作品にグリーンを使うのはやめとこ」というのも寂しい話。

「ガラスも絵の具みたいに黄色と青を混ぜたら緑なんてできればいいのに・・・」
できるんじゃない?

ガラスフュージングではもちろん電気炉の中でガラス同士を溶着するのですが、このガラスの色の組み合わせ次第でグリーン系のガラスが作り出せるのではないか・・・

今回チャレンジしてみました。

他の色ガラスから緑を作る方法

絵の具などであればパレットに2色出して筆で混ぜ合わせれば好きな色が作り出せるのは皆さんご存知かと思います。
ガラスはどうだろうか。もちろん吹きガラスで使用するような1300℃でドロドロに溶けたガラスであれば混ぜ合わせることができるかもしれません。

でもでも、ガラスフュージングで使用する温度は高くても900℃くらい。
とてもじゃないけどガラス同士を混ぜることができる温度ではありません。

ガラス自体がグリーンにならなくても見た目グリーンになればよくね?
そっか、上から見たときにグリーン見えればグリーンのガラスな訳だもんね。
色ガラスを重ねて焼成して1枚にして上部がグリーンに見えればガラスフュージングではグリーン系ガラスとして使えるもんね。

実はメーカーが公開していたグリーンのガラスを作り出す方法

このガラスフュージングでグリーンを作り出す方法は、実はアメリカのガラスメーカー「ブルズアイ社」のホームページで公開されております。
Quick Tip: Keen on Green
↑クリックで資料ダウンロードページにいけます。

さかのぼること数年前、ブルズアイ社があるアメリカオレゴン州の環境に関する規制でグリーン系ガラスの生産がストップせざるおえない状況がありました。
#現在はブルズアイ社の設備改良で生産OKになってます

その時に「今は生産できない状況だけど他の色からグリーン系のガラスを作ることができるので代替えとしてください」的なニュアンスで発表された資料だと思われます。

他の色ガラスの組み合わせ次第で、なんと13種類のグリーンが作り出せるという

となればやってみるしかないでしょう。

黄色と青でグリーンだよ

基本グリーンを作り出すとなると、やはり黄色と青の組み合わせになるんですね。
1120イエロー(透明系)と1101クリアと1416ライトターコイズブルー(透明系

この3枚を重ねて焼成すると、なんと1426スプリンググリーン(透明系)になるんだとか・・・

1437ライトアンバー(透明系)と1101クリアと1416ライトターコイズブルー(透明系)

この3枚重ねでは「1107ライトグリーン」に・・・

1320マリーゴールドイエロー(透明系)と1101クリアと0216ライトシアン(不透明系)

この3枚ではオリーブグリーンのような仕上がりに

1120イエロー(透明系)と1101クリアと0216ライトシアン(不透明系)

この3枚を合わせると0126スプリンググリーン(不透明系)に・・・

トップ温度760℃10分キープで焼成

これらを3枚重ねて並べ、トップ温度は760℃10分キープで焼成

ほぼフルフュージングに近い状態ですね。

482℃で徐冷も入れたしっかり冷ましまして出来上がり・・・

見事にグリーンになってくれました。
1107ライトグリーンのはずが・・・1437ライトアンバーと1101クリアと1416ライトターコイズブルーでライトグリーンになるはずがどうも色が違う。
1417エメラルドグリーンになってたんですよね。

ライトグリーンでなくどう見ても1417エメラルドグリーン

ブルズアイ社の資料が間違ってるとは言いづらいのですがどうなんでしょ。
後でもう一回同じ並びで焼成してみたんですけど、ライトグリーンにはならずエメラルドグリーンになりました。
まぁエメラルドグリーンも入荷が少ないガラスなのでOKといたしましょう。

間にクリアガラスを挟む理由

まぁキレイなグリーン系ガラス制作は大成功したわけなんですが・・・

さぁ、気づいた人はいるかな・・・

なぜ間にクリアガラスを挟んで焼成するのか。
そうなんです上記の焼成方法では全て色ガラスの間に「1101クリア」を挟んで焼成しているんです。

全て間に1101クリアを挟んでる

もちろんこれには理由があります。

ガラス同士の化学反応による変色を防ぐためなんです。
ガラスフュージングをされてる方は「リアクティブ」という言葉を聞いたことがあると思います。
つまり、特定のガラスを接触させた状態で焼成すると色ガラスに含まれる成分が化学反応を起こして茶色や褐色に変色してしまう現象。

「黄色と青を合わせたら接点が茶色くなっちゃったぁぁぁ」

なんて泣いたことがある人も多いのではないでしょうか。

そうなんです。今回の焼成でも一番上の黄色やアンバー系のガラスと一番下のブルー系のガラスは全て合わせると変色する組み合わせなんです。

だから間にクリアを挟んで接触を防いで変色してしまわないようにしてたわけなんです。

もちろん同じ黄色系に青系を重ねても変色しない組み合わせもあります。

1120イエローと0118ペリウィンクルは反応し合わない組み合わせ

2枚重ねても変色せず0212オリーブグリーンのような色に・・・

ブルズアイ社公開のリアクティブ表
↑上記クリックで資料ダウンロードページにいけますよ

この表を参考にガラスを組み合わせれば予期せぬ変色を避けることができますね。

足らない色を作り出す発想も面白い

これまでガラスフュージングでは大体の色が揃っていて、ご自身で使いたい色を選んで購入することができていました。
コロナの影響もあり、入荷に時間がかかったり量が少なかったりと今後もこれまでと同じように自由に使いたい色が使えない状況が続く可能性もあります。

今回のグリーンに限らず組み合わせ次第ではご自身の使いたい色を生み出すこともできるガラスフュージング。
この状況にならなかったら気づくこともなかったかもしれません。

逆にカラーラインナップに無い色のガラスを作り出したりすることもできて、ある意味ガラスフュージングの可能性が広がったのかもしれませんね。

さぁ一緒にガラスを楽しみましょう!!

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