【ガラスフュージングが面白い】ティントトーンプレートを作ってみた!|淡い色だからこそできる表現
「ガラスフュージングでカバーガラスはクリアを使う」
皆さんこのようにされてると思います。ある意味それがスタンダード。
ただ、このあたり前にやっていたこと・・・
少し疑ってみるのも大事かもしれません。
今回は、アメリカ・ブルズアイ社の淡い色ガラス「ティントシリーズ」を使って、「ティントトーンプレート」と呼ばれるガラス皿を作ってみました。
そう。これはカバーガラスとしてクリアガラスを使わないことで色のトーンを変える表現方法なんです。
この技法自体は僕のオリジナルではなく、ブルズアイ社の公式サイト内「Make It」シリーズで紹介されていた技法を参考にしています。ですが、試してみたらあまりにも可愛くて、ぜひ皆さんにも紹介したくなりました。
Make It: Tint Tone Plate

この記事では、その制作過程をガラス選びからカット、配置、焼成プログラム、さらにはスランピングまで、詳しくお伝えしていきます。ティントガラスの微妙な色の変化を楽しむ上でも役立つ内容になっていると思います。ぜひ最後までお付き合いください!
今回の内容を動画で解説
淡い色のガラスだからこそ出来る表現
さっそくですが、今回制作した完成品はこちら!

…どうです? めちゃくちゃ可愛くないですか!?
淡くて優しい色合いがとにかく魅力的。僕自身も焼き上がった瞬間、「これはいい…!」としばらく眺めてしまいました。
ティントトーンプレートとは?
「ティントトーンプレート」というのは、ブルズアイ社のティントシリーズの特徴である“極めて淡い色”を活かし、重ね方や配置によって色の濃淡を出していく技法です。
通常であれば、レイアウトしたガラスの上にはクリア(透明)のカバーガラスを乗せることが多いと思います。しかし今回は、そのカバーガラスにもティント(例えば淡いピンク)を使うことで、部分的に色が濃く見える仕組みになってるんです。
これは淡い色のガラスであるティントシリーズならではの楽しみ方。濃淡による視覚的な色合いが本当に美しいです。
今回使用したガラスは・・・
制作に使ったガラスは以下の3種類です。

- 1821 エルビムピンクティント:淡〜いピンク色。今回の主役とも言えるガラスです。
- 0313 デンスホワイト:やや濃いめの白。不透明のピンクを演出するために使用。
- 1100 クリアテクタ:通常はカバーガラスとして使用するクリアガラスですが、今回はカバーではなく“下に忍ばせる”使い方をしています。
この組み合わせで、淡い色の重なりによる濃淡を表現しています。
ガラスカットのコツ 〜細長いカットが苦手な方へ〜

今回の作品では、14cm角のガラスプレートを作るため、1.5cm幅の細長いガラスを多数用意しました。細いガラスのカットって、けっこう難しいですよね。
そこでおすすめしたいのが「左右対称の原則」です。
例えば、20cm幅の板ガラスからいきなり1.5cmを切ろうとすると、割とる時に左右の力のバランスが悪く、変な方向に割れたりします。なので最初は、なるべく左右の幅が均等になるように12cm幅→6cm幅→3cm→1.5cmと、段階的に2分割していくのがおすすめです。
つまり、左右のガラスの面積や質量が近ければ、割とる時に左右の力配分が均等になり割とりやすくなるということですね。

この方法だと、ガラスの質量バランスが整い、驚くほどきれいに割れます! 細長いガラスを切るのが苦手という方は、ぜひ試してみてください。
ガラスの配置と構成
さて、ガラスをカットしたら次は配置です。
今回のレイアウトは以下のように構成しました:
- 下地に細長くカットした ピンクティント と デンスホワイト を交互に並べます。
- 途中にアクセントとして クリアテクタ を1枚差し込みます(2cm幅)。
- その上から、カバーガラスとして エルビムピンクティント を一面に被せます

この配置により、ピンクの部分と白の部分で色の見え方が変化し、さらにはクリアテクタの上だけが“より淡い色”に仕上がるという、絶妙なグラデーションが生まれるわけです。カバーガラスに同じエルビウムピンクティントを使うことで、濃いピンク、薄いピンク、不透明のピンクと違ったトーンの表現ができるという、淡い色のガラスならではの技法ですね。
焼成プログラム(フルフューズ)
ここからはフルフュージングの焼成プログラムについて解説します。
使用する電気炉:160NF(棚板サイズ15cm)
焼成スケジュールは以下の通りです:

このプログラムは、ブルズアイ社の資料を参考にしつつ、棚板いっぱいに焼くという前提で少し慎重めのスケジュールに調整しています。
キルンキング160NF(PCRII付属)
家庭用ガラスフュージング小型電気炉の決定版。フルプログラムコントローラーですべてのキルンワークに対応します。 プログラムコントローラーが独立したタイプで 4パターン(1プログラム8セグメント)の焼成プログラムの入力が可能です。
スランピング(お皿に成形)
プレートができたら、次はスランピング(型に沿って曲げる)工程です。
使用モールド:カーブプレート145


2回目の焼成では、よりゆっくりと温度を上げて慎重に成形していくことが大切です。
出来上がりとポイント解説
焼き上がりはこんな感じ!

ピンクのストライプの濃淡がしっかり出ていて、部分的に「色が濃い→不透明→薄い→濃い」と、美しいトーンのリズムができています。
ポイントは以下の通り:
- 濃いピンク:細いピンクガラスの上にピンクのカバーガラスが乗っている部分
- 薄いピンク:下にクリアテクタ、その上にピンクカバーガラスが乗っている部分
- ホワイト部分:デンスホワイトの上にピンクカバーが乗った部分 → 優しいミルキーピンクに
この色の差は、ティントシリーズならでは。濃い色のガラスでは表現できない、“淡い色ならではの美”です。
まとめ:ティントシリーズの魅力にハマれ!!
今回のティントトーンプレート制作は、ガラスの配置や層の重なりによって色の濃淡が変化するという、ガラスならではの面白さを再確認できる作品となりました。
ティントシリーズはその淡さゆえに、繊細な表現ができる貴重な素材です。ぜひ皆さんも、自分なりの配色やデザインで、この技法にチャレンジしてみてください!
「カバーガラスはクリアガラスを使うもの」
という固定観念を外すことによって、こんなに素敵なガラスにすることもできるんです。
ガラスフュージングはほんと楽しいですね。
それではまた次回!!
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