フュージングガラスの気泡を減らす方法と凸凹したガラス側面をキレイに仕上げる方法
ガラスフュージングでの気泡や研磨仕上げで悩む人が多いよね
ガラスフュージング作品を作る時に、電気炉でガラスを溶かし合わせるとガラス同士の間に気泡が発生します。
焼成後に「気泡が目立つなぁ・・・」 なんて思うこともあると思います。
また、焼成後に予想に反してガラスの側面が真っ直ぐでなく、凸凹感が残ってしまった経験がある方もおられるのではないでしょうか。
特に初心者は「思ったより気泡が多い」「スパッときれいな形状にならない」という課題に直面しやすいです。
今回は、実際の作品を例にしながら、ガラスフュージングの気泡を減らす方法と凸凹側面を美しく仕上げる工夫をご紹介します。
今回の内容を動画で解説
フュージングガラスにできる「シャンパンバブル」とは?
シャンパンバブルの正体
フュージング作品でよく見られる小さな気泡は「シャンパンバブル」と呼ばれます。
これは、2枚のガラスを重ねて焼成する際に、間に残った空気が逃げきれず気泡になる現象です。

ガラス表面にはわずかな凹凸があり、その隙間に空気が閉じ込められてしまいます。結果として、作品全体に細かな気泡が点在するのです。
通常はこの気泡をガラスフュージングの特性として、あることが当たり前だと捉えることが多いのですが、この気泡を減らしたいなぁ・・・なんて思ったことはないでしょうか。
実際に僕が気泡を減らした方法を紹介いたします。
【実践】ガラスフュージングの気泡を減らす方法
クリアガラスパウダーを活用
今回の制作では、気泡を減らすためにクリアガラスのパウダーを使う方法を試しました。
具体的には、下に配置したガラスの上に「ブルズアイ ガラスパウダー 1101(クリア)」を薄く均一に振りかけ、その上からカバーガラスを重ねて焼成します。


つまり、下のガラスと上のガラスの間に満遍なくクリアパウダーをまぶした状態にするということです。
これをいつも使用する焼成プログラムで焼成いたします。(フルフューズ)

結果:気泡が大幅に減少

前回同じ条件で焼成したガラスプレートと比べてみると、黄色のプレートは目立つ気泡が少なくなり、スッキリしたイメージのプレートになりました。
なぜパウダーで気泡が減るのか?
これは「大きな気泡を微細な気泡に変換する」ためです。
ガラスパウダーは焼成中に無数の小さな空間を作り、大きな気泡が細かく分散されるのです。結果として、目視では気泡がほとんど気にならなくなります。

注意点:振りすぎはNG
ただし、クリアパウダーを厚く振りすぎると、微細な気泡が増えすぎて逆にガラスが白く濁ってしまいます。
「うっすら一面にかかる程度」に抑えることが、美しい透明感を保つコツです。
フュージング作品の側面が凸凹になる原因

気泡を減らせても、別の悩みが生じることがあります。それが焼成後のサイド(側面)の凸凹です。
凸凹の原因①:ガラスの厚みの不均一

ブルズアイガラスは通常3mmですが、個体差で4mm近いものもあります。
厚みのある板を重ねると、一部が7mm近くになり、焼成時にガラスが溶けて横に広がりやすくなります。これがサイドのはみ出しにつながります。
凸凹の原因②:色ガラスの溶けやすさの違い
透明ガラスに比べ、不透明ガラス(特に白)は溶けにくい特徴があります。
そのため、焼成時に透明部分が先に柔らかくなり、不透明部分が遅れて反応することでサイドが波打つ仕上がりになってしまうのです。
【解決法】ガラスフュージング作品のサイドを整える
方法1:研磨機で削る

本格的に修正するなら「ベルトサンダー」や「平面研磨機」を使って側面を研磨します。均一に整えることで、プロのような美しい仕上がりが得られます。
方法2:手作業で削る
家庭で楽しむフュージング愛好家にとって、研磨機は高価でハードルが高いですよね。
そんなときはガラス研磨布やサンドペーパーを使って、削って整えることも可能です。時間と根気は必要ですが、作品の完成度を高めるには十分な方法です。
平盤ガラス研磨機ポリッシャーキング08FNS
平盤ガラス研磨機ポリッシャーキング08FNSはガラスの削りから磨き、鏡面仕上げまで 可能な8インチ(約20cm)マグネットパッド式の平盤ガラス研磨機です。 ガラスフュージング後のガラス研磨はもちろん、あらゆるガラス工芸でのガラス研磨にご利用いただけます。
ガラス研磨布セット
ガラスフュージング後のバリ取りや簡単なガラス研磨に使用できる研磨布セットです(ガラス工芸用) ★スポンジ使用により柔らかく、研磨面にフィット ★番手を交換していくことにより、荒削り〜ツヤ磨きまで可能。 ★湿式、乾式どちらでもOK。 ★研磨布とパットはマジックテープ式で手軽に脱着可能。
ファイアーポリッシュが最適今回はガラス研磨布を使ったガラス研磨をしてみました。
最初は#180で平らに削り、#360で削り面の傷を整えて、#600で半艶くらいまで磨く。

本来であればこのまま番手を上げていって、最終酸化セリウムを使って鏡面磨きまでするのですが・・・
みなさんは電気炉を持ってますよね。
そうなんです。ファイヤーポリッシュが使えるんです。
#600番くらいまでで半艶に磨いたら、あとは電気炉で加熱してガラスの表面を溶かしてピカピカにする。これで研磨布や研磨機で最終仕上げ磨きをしなくても表面はキレイにツルツルにすることができます。
「ファイヤーポリッシュ」便利な技です。
ぜひ覚えておいてくださいね。

まとめ:ガラスフュージングをもっと楽しむために
今回のポイントを整理すると:
- 気泡を減らす方法
→ 下ガラスにクリアパウダー1101を薄く振り、カバーガラスを重ねて焼成 - 注意点
→ 振りすぎると白濁するため、ほんの少量でOK - サイドの凸凹の原因
→ ガラスの厚みのバラつき、不透明ガラスと透明ガラスの溶け方の違い - 解決方法
→ 研磨機を使うのが理想、なければ手作業でも修正可能。 ファイヤーポリッシュを使おう。
ガラスフュージングでは、どうしても焼成してみると思った通りにならないことが出てきてしまいます。
「あぁ…失敗した。思い通りにならないよなぁ」
で終わらせるのは本当にもったいない。
「思い通りにいかない部分」こそが楽しみでもあり、工夫次第で作品の完成度を大きく高めることができます。
気泡やサイドの凸凹に悩んだときは、ぜひ今回ご紹介した方法を試してみてください。
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✦ これからも「ガラスフュージングの作り方やコツ」をお届けしますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
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