ダイソー珪藻土たまごホルダーでフュージング|サギング技法に挑戦
このブログでもこれまで幾度となく挑戦してきた珪藻土グッズを使ったガラスフュージング。
「ポットメルト技法」「ドレーピング技法」「キルンカービング技法」など通常であれば専用のモールドが必要な様々な技法を「100均珪藻土グッズ」で代用するという荒技を披露してきました。
今回は、ダイソーで見つけた「珪藻土たまごホルダー」を使って新たな技法にチャレンジしたいと思います。
珪藻土グッズでサギングに挑戦
お買い物ついでに100均ダイゾーをウロウロしてて見つけたのが「珪藻土たまごホルダー」なるもの。
たまご6個を置くことができる穴が6つあいた厚さ1cmの珪藻土プレートです。
本来はたまごの殻につく湿気を吸い取るものだと思います。
※いまいち使い方がわかってない
この穴からガラスを垂らしたら面白そう・・・
どんな珪藻土グッズをみても「ガラスフュージングでどうやって使うか」しか興味がないという病いにかかってしまってる私にとってこの形状と6つの穴・・・
どう考えてもサギングモールドにしか見えなかったのです。
サギング技法とは穴のあいたモールドの上に板ガラスを乗せて、電気炉で加熱することにより柔らかくなったガラスがその穴に落ちていきボウル状のガラスを作る方法。
フュージングでガラス皿を制作する時はモールドに沿わせてガラスを曲げる「スランピング」がよく使われますが、このサギング技法だとスランピングでは難しい深さのあるガラス器を制作することができます。
また垂れたガラスの外側はモールドに触れてないため、スランピングとは違いツルっとしたガラス外面にすることができます。
今回のチャレンジを動画で解説しました
珪藻土たまごホルダーでサギングする方法
サギングするには、もちろんガラスを穴に落としていくのである程度の高さが必要になります。
今回使用する電気炉は毎度おなじみ「キルンキング160PKS」
フルオープンのハット式であるため、ある程度高さがある物も焼成できます。
キルンキング160PKS
ガラスフュージング用小型電気炉「キルンキング160PKS」ハットタイプ・サイドファイヤーシステム(内蓋側面が熱源)のフュージング用小型電気炉です。ご家庭の100Vコンセントで使用可能【PSE規格品】
とはいっても小型の電気炉ですので高さは7〜8cmまでには抑えないといけません。
そこで今回は高さ3cmのL型支柱を4個用意いたしました。
珪藻土たまごホルダーが厚み1cmくらいですので、乗せるガラスの厚みと棚板の厚みを加えましても6cmほどでおさまる感じです。
各パーツに離型剤を塗る
もちろんそのまま焼成してしまうと溶けたガラスがくっ付いてしまいますので、珪藻土たまごホルダーをはじめ、L型支柱、棚板など各パーツに離型剤(パーフェクトプライマー)をスプレーします。
パーフェクトプライマー(離型剤)
高温でのフュージングにも対応のスプレー式離型剤です。焼成後ガラスに白い跡も残りにくく、「カルアドヴェール(カラードヴェール)」などモールドの微細なテクスチャーを再現するのにも適しております。
珪藻土だけに離型剤ではダメなの?
実際ガラスが触れる部分というのは、珪藻土たまごホルダーと棚板。
棚板の上には離型紙(セラフォーム)を敷いてガラスがくっ付かないようにするので、実際には珪藻土たまごホルダーだけに離型剤を塗れば良さそうに思うかもしれません。
ガラスが割れた時のことも考えようそうなんです。ガラスフュージングでは常に焼成時にガラスが割れることを想定しておかないといけません。
電気炉の中でガラスが割れて飛び散ったら、L型支柱に付着してしまうこともあるだろうし、破れたセラフォームの間から棚板にガラスが付着することも考えられます。
また今回のように珪藻土グッズなどを使っていれば、その珪藻土グッズ自体も割れてしまうかもしれません。
もしそんなことが起こっても、離型剤一つで被害を最小限に抑えることができるので、全てのパーツに離型剤を塗るようにしましょうね。
棚板の上にセッティング
棚板の上に離型紙を敷き、その上にたまごホルダーの外周に合わせた位置にL型支柱を4個並べます。
その上に珪藻土たまごホルダーを置きます。
※支柱がたまご穴に被らないようにしてね
これまで作ったサンプルガラスを使いました
珪藻土たまごホルダーと同じサイズの板ガラスを焼成しようかとも思ったのですが、なんせ私のとこにはこれまで動画ネタやブログネタとして制作して放置状態のガラスがいっぱいありまして。
今回はこの中の1枚を使うことにしました。
※ストライプ柄なのでサギングすると面白そうだ・・・
珪藻土たまごホルダーの上にそっと乗せます。
少し角がはみ出してしまいましたが、まぁ仕方がない。このままいちゃいます。
ちょっとしたコツ
ガラスの上に乗ってるのは水平器です。
つまりガラスが真っ直ぐ水平になってるかの確認をしてます。
ここが斜めになってるとガラス自体は重力で真っ直ぐ落ちたら元のガラス板が斜めになっている分、出来上がりも斜めになってしまいますもんね。
これはサギングに限らずスランピングにおいても大事なところで、
作品がいつもゆがんで仕上がるなぁ・・・
なんて方は乗せるガラス自体が水平でないことが原因の可能性があります。
※僕の場合、水平でない時は棚板の下にファイバーペーパーなどを敷いて水平を出すようにしてます
サギングの焼成スケジュール
今回のサギングという技法は、スランピングと違いかなり深くガラスを落とさなければならないので、トップ温度はスランピングに比べて高めでの焼成となります。
珪藻土には水分が含まれてそうなので、水分を飛ばす意味も込めて490℃までは3時間とゆっくり時間をとって温度を上げてみました。
そのまま490℃で1時間キープいたします。
ガラスと珪藻土との温度差を少なくするイメージです。
トップ温度までは2時間かけてみました。
トップ温度では一応10分キープで設定はするのですが、ここは目視でガラスの状況を把握しながら進めます。
ガラスは徐々に穴から垂れてきますので、棚板に着いたちょうど良いところで加熱をストップさせないといけません。
加熱しすぎると上のガラスがドンドン落ちてきて、底には垂れたガラスが溜まるわで、えらいことになっちゃうのでしっかり目視でタイミングを計りましょう
482℃で1時間キープして徐冷いたします。
※今回の形状であればもう1時間徐冷してもいいかも
その後、371℃まで2時間ほどでゆっくり下げる感じです。
キレイに落ちてくれました
想像以上にいい感じでガラスが落ちてくれました。
横からみてもいい感じですね。
パーフェクトプライマーの威力
そのままガラスだけ持ち上げたらスルッと
パーフェクトプライマーが効いてますね。簡単に外すことができましたよ。
珪藻土フュージングの落とし穴
一見、何もかも上手くいった感がありますが、実はそうでもありません。
この写真でわかるように、珪藻土たまごホルダーの中央部分が曲がってます。
そうなんです。どうしてもこの珪藻土グッズは縮んだり変形したりしてしまうんですね。
今回のサギングでも実は対角線上にガラスの落ち具合が変わっていました。
早く落ちたところと遅く落ちたところがあったのです。
やはりこれは珪藻土の変形による要因が大きく、まぁこの珪藻土グッズを使うのであればこの辺は致し方ないと諦めるしかないようです。
面白いガラスが出来上がりました
まぁなんと面白い形状のガラスが出来上がりました。
実用性は・・・ないかもしれませんけどね(汗)
でも今回の制作は本当に楽しかった。
制作途中でもワクワクドキドキの連続で、溶けたガラスを目視で確認するときには心臓のバクバクが止まりませんでしたよ。
これからも、こんなワクワクするようなガラスを作って皆さんに紹介したいと思います。
みんな一緒にガラスでワクワクしましょうね。
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