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フュージングガラスが割れる原因は3つです【重要】

ガラスフュージング

・電気炉を開けたらガラスが割れてて大ショック。
・ガラスフュージングで作ったお皿が食器棚で割れてたのよね。
・ペンダントトップにいつの間にかヒビが入ってる、どこかでぶつけたのかも・・・
・ガラスだから割れることもあるよね・・・

ガラスフュージングを楽しんでる方でこんな経験をされた方は多いのではないでしょうか。
「ガラスだもん、残念だけど割れることもあるよね」で済ませてませんか?
一生懸命制作したフュージング作品が割れてしまうことはとても悲しいことです。でも、今回なぜガラスが割れてしまったのかを知ることで、次からの失敗を減らすことができます。

フュージングガラスが割れる理由は3つです

ガラスが割れてしまう理由は主に3つあります。

・物理的な理由による割れ
・温度差による割れ(熱割れ)
・歪みによる割れ

制作したガラスが割れてしまった時、同じ失敗を繰り返さないためにはこの3つのどれに当てはまるかを知ることがとても重要です。

今回はこの3つの割れる理由をガラスフュージングでの制作工程に当てはめて解説してみました。

記事の内容を動画で解説

物理的な理由による割れ

これは説明するまでもないかもしれません。
物理的な理由、つまりガラスをぶつけたり、落としたりという衝撃を与えたことによる割れです。

ガラスフュージング制作時に置き換えるなら、
・ガラスを電気炉の運ぶときに落っことした
・電気炉のフタにぶつけてしまった

このような物理的な要因での割れ方です。
いずれも不注意によるのが原因ですので、自分のあわてんぼうやおっちょこちょいを直すしかありません(笑)

温度差による割れ(熱割れ)

これはガラスフュージングだけではなく、日常生活で経験したことがあるかもしれません。
ガラスのコップに熱湯を注いだら割れちゃったというやつです。

ガラスの中ではどういうことが起こってるのか

熱湯がコップ(ガラス)に注がれると、ガラスに熱湯がふれた部分は一気に高温となって膨張します。

これに対しガラスの内部や熱湯から遠い外側には熱湯の温度が伝わるまで時間がかかりますので、熱湯を注いだ瞬間には温度も上がらず膨張もしてない状態。なのでコップ(ガラス)一つの中で不均一な状態になります。

こうなると熱湯に触れた部分が膨張しようとしているのに、温度が低く膨張してない部分がその膨張を邪魔してしまい、冷たい部分は広がろうとする力に引っ張られてしまいます。

この力がコップ(ガラス)の許容を越えちゃうとパリンっと割れちゃうのです。

ガラスフュージング時に置き換えるとガラスフュージングでの制作時にこの温度差による割れが発生するのは、

・室温からガラスの温度を上げる時
・徐冷後、ガラスの温度を下げる時

この2か所です。

ガラスをカットして並べて棚板の上に置いていざ電気炉へ、ここから電気炉のスイッチを入れて温度を上げていくのですが、この温度の上がり方が急だと温度差による割れ(熱割れ)が発生することがあります。

ただし、ガラスフュージングで使われる電気炉は熱湯を注ぐように一気に温度が上がる物ではありませんので、小さいガラスパーツや均一な板状のガラスを焼成するのにはほぼ熱割れの心配はありません。

注意しなければいけないのは

分厚く高さのあるガラスや特殊な形状のガラス
熱割れの解説で、
「 熱湯に触れた部分が膨張しようとしているのに、温度が低く膨張してない部分がその膨張を邪魔してしまい、冷たい部分は広がろうとする力に引っ張られてしまいます」
と書きました。

高さのあるガラスや特殊な形状のガラスだと 、急激に温度上昇しない電気炉と言えども熱湯を注ぐのと同じことが起こる可能性があります。

大きいガラスや分厚く高さがあるガラスだと、ガラス表面からガラスの内部や棚板に触れてるところには、どうしても熱の伝わりに時間差があり温度差が出やすくなります。
また、特殊な形状(薄いベースガラスの一部分が複数枚重ねだったり、複雑な形のガラスを乗せていたり)でも同じようにガラスの表面と内部で温度差がで出やすくなります。
高さ、大きさ、分厚さがあればあるほど、形状が複雑になればなるほど温度の上げ下げは慎重にならないといけません。

モールドなどの型に乗せて焼成する場合
スランピングやドレーピングでのモールドや型を使用する時も注意が必要です。
モールドや型を使う場合、ガラス表面とガラス内部の温度差に加え、モールドとガラスとの温度差も加わります。
また板状のガラスをモールドに乗せた場合、ガラスが空間に浮かんだ状態の部分が出来ることも考慮してゆっくりとした温度の上げ下げが必要になります。

参考
何℃くらいまででゆっくり上げ下げするのか
大きいガラスや分厚いガラスの場合、500℃前後までは慎重に温度を上げたほうが良いです。
それ以上の温度になるとガラスは内部的に液体と同様になりますので、熱割れを起こすことが無くなります。
逆に下げる時も500℃前後からは熱割れを防ぐための温度コントロールが必要です。

熱割れはガラスが固体の時に起こります温度差で割れる(熱割れ)はガラスが固体の時に起こります。なので温度を上げる時はガラスが構造上液体に変化する温度帯まで、また下げる時はガラスが固体に変化する温度帯から(どちらもおおよそ500℃前後)慎重にコントロールするして熱割れを起こさないようにしましょう。

歪みによる割れ

この歪みによる割れが見た目ではわからずイメージしにくい割れ方です。先ほどガラスが液体になる温度帯、固体になる温度帯というお話をしましたが、このガラスが液体から固体になるときに起こりやすいのが歪みです。

熱せられて構造上液体になったガラスは温度が下がると固体に変化します。
この時、ガラスの表面から温度が下がり収縮するのですが、ガラスの内部は液体のままの状態で表面が冷めて固まってもまだ収縮してません。

遅れて内部が冷めて収縮しようとしたとき、表面はもう固まってしまっているので内部が収縮してしまうと表面に力が加わってしまいガラスが不均一な状態になり、許容量を超えると割れてしまうのです。

熱割れと歪割れとの違い熱割れ、歪割れとも「ガラスの表面と内部での温度差でガラスが不均一になって割れる」と同じ表現になるのですが、ちょっと内容が違います。

熱割れの原因は残らない
熱割れの場合、表面と内部の温度差での不均一な状態が許容量を超えるとガラスは割れます。
しかし、不均一な状態でも許容量を超えなければ割れずに元通りのガラスに戻ってくれます。
なのでこの熱割れを起こす不均一な状態を一時的なものとして、一時歪みと言ったりもします。

歪みはそのまま残ってしまう
歪み割れの原因となるガラスの歪みは熱割れ同様、ガラスの不均一な状態が許容量を超えれば割れるのですが、許容量を越えなかった場合、割れずにそのままガラスが歪んだまま固まります。
つまり、歪みが残ったまま(内部的に不均一な状態のまま)のガラスとなります。(永久歪みと言ったりします)

このガラスが大問題。
見た目は通常のガラスなのですが内部で不均一な力が加わった状態、つまりギリギリ割れてない状態を保ったガラスなのです。

この状態のガラスは危険極まりなく、窓際から差す日光の熱や、軽く置いただけで割れたり、寝て起きたら割れていたなんてことも・・・。
時限爆弾のようなガラスなのです。

歪みが残らないようにするのが徐冷「ガラスフュージングでは必ず徐冷してくださいね」とどんなとこにも書いてあるかと思います。
ぼんやりと単に「割れるから徐冷しないと・・・」
なんて思ってた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ガラスの温度が下がり液体から固体に変わる時の表面と内部が不均一な状態にならないよう各ガラスメーカー指定の温度(徐冷点)でキープしてガラスが歪まないようにするのが徐冷です。

※歪みと徐冷に関しましては後日、もう少し詳しく書く予定です。

ガラスフュージングで一番大事なこと

ガラスフュージングを楽しむためには必ず割れにくいガラスを作る努力をしないといけません。

ましてや、ハンドメイドサイトなどで販売しておられる方は、絶対に歪んでしまった危険なガラスを作ったり販売してはいけません。

作って袋詰めした時点で割れてなくても、お客様に届いたときに割れていたり、ペンダントやピアスなど身に着けるものとなれば、お客様の胸元や耳でガラスがはじけ飛ぶことも十分考えられます。

今回はガラスフュージングでガラスが割れる原因を3つ紹介いたしました。
残念ながら割れてしまったガラスが、どの原因で割れたのかを知り、対処することが次からの失敗を無くし、またそのガラスを手に取ったお客様への危険を回避することになります。

楽しいガラスフュージングにするために、割れないガラス作りを心がけましょう

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