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膨張係数の違うガラスでフュージング|ダメ絶対!

ガラスフュージング

ガラスフュージングを楽しんでる皆さんは、もちろん使ってるフュージング用ガラスの膨張係数をご存知だと思います。

ガラスフュージングを始めるとき一番最初に言われること

膨張係数の違うガラス同士を合わせて焼成しちゃダメよ
これは皆さん頭に叩き込まれていて、「何を今さら・・・」なんて思われるかもしれません。

ただ現在、ガラスフュージングを独自で楽しむ方が非常に増えております。

中にはこの膨張係数(膨張率)を知らずに作品制作をされてる方もどうやらおられるようです。

そんなことも踏まえて、今回はあえて膨張率の違うガラス同士を合わせて焼成するという実験をしてみました。

果たしてどんなことが起こるのか・・・
また、これによってどんな危険が待ち受けてるのか
解説したいと思います。

膨張率の違うガラスを合わせるとどうなるのか?

フュージング用のガラスには各メーカー「膨張係数」というものを表示しております。

膨張係数・・・ 室温〜300℃の熱膨張の平均値
簡単に言えば、ガラスが300℃まででどれくらい伸び縮みするかを数値化したものです。

「膨張係数の違うガラスを合わせちゃダメよ」というのは

膨張率が違うとどちらのガラスも伸びたり縮んだりする大きさが違うので、ガラスの中で引っ張り合っちゃって割れちゃうよ
ということなのです。

記事の内容を動画で解説

実際に膨張率の違うガラスでやってみる

頭では割れちゃうとイメージできてると思いますが、実際にやってみたらどんな感じになるのか、実験してみました。

今回使用するガラスは、
・ブルズアイ(膨張係数90)
・モレッティ(膨張係数104)

明らかに膨張率の違うこのメーカーのガラスを合わせて焼成してみることにしました。

ブルズアイ「クリア」、その上にモレッティのミルフィオリ(写真右)

ブルズアイ「0118ペリウィンクル」の上にモレッティ「212ピーチグリーン」(写真左上)

モレッティ「004クリア」の上にブルズアイ「0125オレンジ」と「0141ダークフォレストグリーン」(写真左下)

どれをとってもガラスフュージングをされる方から見れば、ゾッとする内容ですね。

普段と同じ焼成スケジュール

490℃で30分ほどキープを入れ、トップ温度は770℃で10分キープという小さめのガラスを焼成する簡単なスケジュールにしてみました。

トップ温度の状態ではガラスに割れなどはありませんね。
当然、膨張係数の違いでお互い干渉し合ったとしても、ガラス自体はもう柔らかくなってますのでここで割れなど起こることはありません。

問題はここから・・・

ブルズアイに合わせた徐冷をしてみました

一応徐冷もしとかないとと思い。ブルズアイガラスの徐冷温度482℃で1時間ほどキープを入れました。

ここからガラスが冷めていく工程で間違いなくガラス同士が引っ張り合っちゃいます。割れが発生するのもほぼこの段階で起こります。

しっかり冷まして電気炉を開けたら・・・正直、ガラスが割れて飛び散っってなくて安心いたしました。
膨張率の違うガラス同士だと最悪ガラスが割れて弾け飛ぶことがあるのです。

よくみると少しガラスにヒビが入っているようです。
予想より割れた部分が少なくて驚きはしましたが、やはり部分的にヒビがちらほらと・・・

ミルフィオリの輪郭にそった割れが発生してますね。

こちらもピシッと割れが起こっております。

なんと!これはなんともない状態。こんなこともあるんですね。

翌朝、事態は急変した

この日はそのままガラスを放置していたのですが、翌朝見てみたら・・・

ガラスのヒビが広がってる
明らかに最初入ってたヒビより成長しております。

何ともなかったガラスが割れてる

そうなんです。焼成後には何ともなかったガラスがピッシリ割れていました。
時間の経過とともに引っ張り合う力にガラスが耐えれなくなったんですね。

これ以降も時間が経つにつれヒビ割れは成長し、何ともなかった部分にも次から次へとヒビが入り始めました。

この後も膨張率の違うガラス同士の焼成実験をしたのですが、焼成後は何ともなくとも、ひどい時には一週間後に突然割れが発生なんてことも起こりました。

フュージングで一番大事なこと

今回の実験で一番知っておかないといけないところは、

膨張率の違うガラス同士を焼成しても、その場で割れないことがある
ということ。

つまり、時間の経過によって突然割れることがあるということです。

どうしてもこの色を合わせたくて・・・

なんて軽い気持ちで膨張率の違うガラスを焼成し、

よかった割れなかった、OK

では済まないということなんです。

誰でも簡単に販売できる今だからこそ

現在では自分で作った作品を誰でも簡単に出品し販売することができます。

購入者はそのガラスの膨張率など全く知りもしないし、考えもせずに買ってしまいます。当然ガラスアクセサリーだと身に着けることとなります。

数日後、身に付けた胸元や耳でパンっガラスがはじけ割れる・・・

想像するだけでも恐ろしくないですか?

これは膨張率の違うガラスだけの話ではありません。
徐冷がちゃんとできてなかったり、急激に冷ましたりと同じ膨張率のガラスでも同じようなことが起こる可能性は十分考えられます。

ご自身の使うガラスの管理はもちろん、焼成方法などルールをきちんと守って、作る人も幸せに、作品を手にする人も幸せに・・・
そんなガラスフュージングの世界にしていきましょうね。

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