泡の力でガラスの色を混ぜる!?ガラスフュージング
これまでこのブログを始め、YouTubeグラクラマーケットTVやSNSなどでいろんなガラスフュージングの技法やチャレンジを紹介してきました。
その中で「これはリベンジ案件!」として紹介時には大失敗してしまったけど、何かの時に再チャレンジしたいと思います的なノリで締めくくったものがいくつかありまして・・・
今回はそんなリベンジ案件(実際にはそのまま知らん顔して葬り去ろうとしていた失敗作)に何を思ったか再チャレンジすることにいたしました。
泡の力でガラスを浮かび上げる「ボイルドグラス」
過去に私が大失敗した「ボイルドグラス」という技法。
遡ってみましたらなんと3年前にチャレンジして大失敗しておりました。
数枚重ねたガラスの一番下のガラスに重曹を乗せてガラスを溶かし、重曹が作り出す泡がガラスの中で上がる力を利用して一緒に溶けたガラスを上まで持ち上げるという技法です。
3年前のチャレンジでは下のガラスが上にはきたものの、ガラス表面に気泡跡がクレーターのように残りなんとも無惨なガラスになってしまいました。
ボイルドグラス+成功事例
前回の失敗そのまま再チャレンジでは面白くない。
何か他の技法と合わせることは出来ないかということで考えておりましたら、過去に大成功した焼成方法でこのボイルドグラスが出来そうなことに気づきました。
四角いガラスをまん丸に焼成する必殺技【ガラスフュージング】 | グラクラBLOG
四角くカットしたフュージング用ガラスをキレイな円形に焼成する方法を紹介いたします。ガラスフュージングでアクセサリーを制作する時、キレイな円形に焼成するのは必須項目。ガラスカットが苦手な人、初心者の方でも簡単にまん丸ガラスを作れる方法の秘密はガラスの重ね方にあった!?
四角いガラスをキレイな丸に焼成する方法
これは四角くカットしたガラスを数枚重ねてフルフュージングで溶かすことによってキレイなまん丸カボションに仕上げる焼成方法で、皆さんからも大好評いただいた技法です。
失敗した技法なんだから過去に大成功した技法と合わせてみたら成功寄りに仕上がるでしょ・・・
※なんて安易な考え方なんだ
今回の内容を動画でご覧いただけます
泡に力でガラスの色を混ぜてカボションを作る
四角いガラスをキレイな丸に焼成する方法で使ったガラスはいずれも2cm角サイズ。
見せたい色のガラス3mm厚を6mm厚のクリアガラスで上下に挟んで合計15mmの高さでフルフュージングするとキレイなまん丸ガラスカボションに仕上がるよという技法というよりは焼成のコツという感じ。
ならばと、今回用意したのは
0013オパックホワイト・0216ライトシアン・0320マリーゴールドイエロー
いずれもブルズアイ社のフュージング用板ガラスです。
仕上がりイメージとしては白と青と黄色がうまく混ざってマーブル模様を作り出し、そしてライトシアンとマリーゴールドの化学反応(リアクティブ技法)で変色した茶色がプラスされ4色マーブルでまぁキレイね!という感じ。
となりますと、この3色にプラスでクリアガラスを使うとなると4種類のガラス使うことになります。
重ねる合計を15mmにしなければならないので、下に3mmクリア、その上に白、黄色、青の順で2mm×3枚の合計6mm、そして一番上に6mmのクリアガラスで合計15mm。
重曹の位置で見え方がどれくらい変わるのかも知りたかったので、一つは白の上にもう一つは黄色の上に重曹を置きました。
トップ温度900℃でフルフューズ
焼成プログラム
1.663℃まで3時間で上げて1時間キープ
2.900℃まで30分で上げて30分キープ
3.820℃で30分キープ
4.482℃で1時間キープ
5.427℃までゆっくり下げる
トップ温度は900℃で30分キープ。
キープ時間も長めに設定し、なるべくガラスを柔らかくして泡が上がってきやすくしたいという設定。
820℃で30分キープを入れることによって表面にある気泡跡をなだらかにするイメージです。
トップ温度ではいい感じで丸くなってくれて模様も浮かび上がってるようです。
しっかり冷まして電気炉を開けましたら・・・
なんじゃこりゃぁぁぁ
汚い、汚すぎる 大失敗
どうやら狙った変色が悪い方向に出ちゃったようです。表面に気泡もかなり残ってしまってるし、模様自体もキレイに上がってきてくれませんでした。
使う色の失敗、そして温度コントロールが上手くいってなかったようです。
リベンジのリベンジさてここで引き下がるわけにはいきません。
今回なぜ模様がしっかり出なかったのか、フルフューズで色が混ざることによるリアクティブの色合い、ガラスの重ね方などいろいろと自分なりに考えてみました。
使う色と配置を変えてみる。
今回は化学反応での変色(リアクティブ)しない組み合わせに。
これまでのオパックホワイトとマリーゴールドに0124レッド・0301ピンク・0112ミントグリーンなどを使い、クリアで挟むというのにもこだわらず、泡が上手く上がりそうな配置で挑戦してみることにしました。
重曹は全てマリーゴールドの上に置いております。
焼成プログラムも変更
リベンジ焼成プログラム
1.500℃まで1時間で上げて30分キープ
2.900℃まで30分で上げて1時間キープ
3.820℃で1時間キープ
4.482℃で1時間キープ
5.427℃までゆっくり下げる
前回のプログラムでは泡の上がりがあきらかに少なかったのでトップでのキープ時間を長くすることに、
そして663℃でのキープを無くしました。
実は663℃でキープを入れる意味は、重ねたガラスの間になるべく気泡が発生しないようにするためのキープ時間。
なんと今回は逆に重曹で泡を発生させる焼成なのでそんなキープ時間はいらんよね。
なので500℃で一度キープを入れてガラスの温度を均等にしてそこからトップまで上げる設定に。
トップ900℃では先ほどより長く1時間キープしてしっかり泡を上げてみました。
予想以上に模様がしっかり出てますね。いい感じ。
トップで泡をしっかり上げる分、820℃のキープも1時間と長めにして表面をより滑らかにするイメージ
そしてしっかり冷まして電気炉を開けましたら
やったね。いい感じで模様が出てくれてます。
表面に若干の気泡跡が残ってしまったのが少々残念なのではありますが、色合い自体はいい感じになってくれたのではないでしょうか。
キルンキング160PKS
ガラスフュージング用小型電気炉「キルンキング160PKS」ハットタイプ・サイドファイヤーシステム(内蓋側面が熱源)のフュージング用小型電気炉です。ご家庭の100Vコンセントで使用可能【PSE規格品】
一つ気になるカボションが・・・
4つのうち1つだけ上手く模様が出てないガラスがありました。
なんでこれだけ・・・
と思い焼成前の状態を確認してみましたら
これだけ重曹から上に重ねたガラスが9mmと分厚いんです。
他のうまくいったガラスは分厚くても7mmまで・・・
ということは、やはり重曹から上のガラスが分厚くなっちゃうと泡が上がりきらないんですね。
やっぱりガラスは面白い
今回は過去に失敗した技法を他の技法と合わせて再チャレンジしてみましたが、それでも失敗や成功した部分があったりとなかなか一筋縄ではいきませんでした。
ただ、失敗したことにより焼成プログラムの考え方を変えたり、ガラスの配置や色の組み合わせを工夫したりと失敗した原因を自分なりに解析して再チャレンジ。
そこで予想通りになったり、まだまだ工夫が必要だったりと、ある意味ガラスとのたくさんの対話が楽しくて楽しくて・・・。
やっぱりガラスは面白いですね。
皆さんも僕と一緒にガラスを楽しみましょう!
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