ガラスフュージングで編み物!?
細長いガラス端材って結構たまっちゃいますよね。
ガラスカット後の端っこや、元板ガラスのミミであったり・・・
いつか使おうとケースに入れたまま数年・・・なんてこともあるのではないでしょうか。
こんな長細いガラス端材をうまく使う方法ないかな
なんて色々探しておりましたら、そういえばYouTubeでまるでガラスを編み込んだようなガラス皿を作ってる動画あったような・・・
探してみたもの見つからず、過去の記憶をたどって今回挑戦してみることにいたしました。
ガラスを編み込むとはどういうこと?
「ガラスを編む」と言ってもガラスはもちろん固いので毛糸や糸のように自在に編み合わせることはできません。
今回挑戦するガラスフュージングは、簡単に言ってしまえば細長い板ガラスを波状に曲げその波型のガラスの部分に横からガラスを差し込んで溶かし合わせる。
という文面では全く意味が伝わってこないかな・・・。
さっそく解説していきましょう。
1.ガラスを波状にする
まず最初にベースとなる細長いガラスを波状に形を変えていきます。
今回は2cm幅15cmの長さでガラスをカットいたしました。
※使用したガラスは全てブルズアイガラス(膨張90)
もちろんご自身の使いたい色を使ってもらってOKです。
同系色でまとめてみたり、違った色でカラフルにしてみても面白そうですね。
今回、僕にしては珍しくブルー系のガラスでまとめてみました。
※いつもの黄色は毎回使いすぎて端材がなかった(笑)
今回の内容を動画で解説
まさか!?ガラスを波状にするために使ったもの
「ガラスを波状にする」といったらそれなりの型やモールドなどが必要となるわけですが、今回僕が使おうとしたガラスにどんぴしゃサイズのモールドなどありません。
通常であればファイバーペーパーを棒状に重ね、それを均等に並べてガラスを波状にするための型にするとは思うのですが、今回僕は以前から何かの時に使えそうだと狙っていたモノがありました。
珪藻土スティック元々はシュガーポットなどの湿気防止のために使用するものなのですが、このところ珪藻土グッズを「ガラスフュージングで使えるんじゃないか」という目線でしか見れなくなってしまってる僕にとっては・・・
「これはガラスの形状を変えるための棒」としか見えないのでございます。
珪藻土スティックを並べてガラスを乗せる
棚板にセラフォーム(離型紙)を敷き、その上に溶けたガラスがくっ付いてしまわないようにパーフェクトプライマー(離型剤)を塗った珪藻土スティックを等間隔で並べます。
そうですこの上に細くカットした板ガラスを並べて温度を上げれば波状のガラスができるであろう作戦。
トップ温度は730℃に設定いたしまして。ゆっくりと温度を上げていきます。
730℃で20分キープ
いい感じで曲がってくれてますね。ちゃんとウネウネしてくれていい感じっすね。
しっかり徐冷(482℃で1時間キープ後、371℃あたりまで2時間くらいかけました)もいたしまして、出来上がったガラスは予想通りの出来具合。
もう一度同じパターンで焼成し合計7本の波型ガラスを制作しました。
2.波状のガラスを1本おきにひっくり返す
出来上がった波状ガラス。実はこのままでは編んだようなガラスに仕上げることはできません。
横軸用のガラスを差し込めるようにガラスに隙間を開ける必要があります。
※文章ではわからないよね
そうです。出来上がった波状のガラスを横並びにして1本おきにひっくり返していきます。
波状を互い違いにする、つまり山と谷が交互になるわけです。
そうすると・・・
「ここにガラスを差し込んでくれ〜」と言わんばかりの隙間が開きます。
3.隙間に細いガラスを差し込んでいく
互い違いの波状でできた空間に、差し込めるサイズの幅でカットした板ガラスを差し込んでいきます。
もちろん色は自由今回は2色混じったストリーキー系のガラスやワンポイント的な色が欲しかったのでピンクのガラスを差し込んでみました。
こんな感じで組み上げます。
この段階では編んだガラスというよりは組んだガラスという感じですね。
4.焼成して編んだようなガラスに・・・
この組んだガラスを焼成することによって1枚の板ガラスにします。
トップ温度は740℃で10分キープ
ここでの温度が高すぎるとガラスは溶けて1枚もののガラスのようになってしまうので注意が必要。
今回の狙いは編み込んだ感なので、ガラスは溶け切ってしまわずある程度形状が残ったままにしないといけません。
そこで選んだのが740℃。
ガラスの角は丸みをおび始め、重なったガラスは完全に溶け合わず、ある程度の形状が残った状態を狙った温度です。
いい感じで溶けてくれてますね
しっかりと徐冷(波状ガラス制作時と同じ)もいたしまして出来上がったガラスはとってもいい感じ。
キレイに編み込まれたようになってますね。
5.モールドに乗せてスランピング
あとはモールドに乗せてガラス皿に仕上げるだけです。
今回使ったモールドは、僕が毎回使ってるフュージング用電気炉「キルンキング160PKS」で使える最大サイズのモールド「カーブプレート145」
カーブプレート145 slumpin’×slumpin’
フュージング、スランピングモールドのカーブプレート145角です。少し大きめのカーブプレートで、「キルンキング160PKS」に入れることが出来る最大サイズモールドです。
キルンキング160PKS
ガラスフュージング用小型電気炉「キルンキング160PKS」ハットタイプ・サイドファイヤーシステム(内蓋側面が熱源)のフュージング用小型電気炉です。ご家庭の100Vコンセントで使用可能【PSE規格品】
ここに注意してね
モールドを使う時、もちろん皆さんモールドには離型剤を塗ると思います。でも棚板に離型紙や離型剤を使わない方が結構いらっしゃるようです。
これはやめたほうがいいですね。
電気炉で加熱いたしますとガラスだけでなくモールドが割れることがあるんです。
もし途中でモールドが割れてガラスが棚板に落ちるようなことがあればガラスが棚板にくっ付いて棚板ごと残念なことになってしまいます。
それが離型紙1枚敷くだけで防げるわけですから、やらない理由はありません。絶対に敷いておきましょうね。
浅いスランプ焼成プログラム今回のモールド「カーブプレート145」は非常に浅く、軽く曲げる程度の型なので、初心者の方にも扱いやすく失敗の少ないモールドです。
温度コントロールも複雑ではなくブルズアイ社が推奨するスランププログラムそのままでやってみました。
1.663℃まで4時間かけて上げる
2.663℃で10分キープ
3.482℃で1時間キープ
4.371℃まで2時間かけて下げる。
※キルンキング160PKSの場合には482〜371℃まで段階的にキープを入れて2時間を再現します
いい感じでスランプできましたね。
アレンジも自由自在、楽しいガラスフュージング
いかがでしたでしょうか。珪藻土スティックは少し意表をついてみましたが一見複雑に見えるガラスフュージング作品ではございますが、初心者の方でも十分楽しめる焼成方法ではないでしょうか。
余り気味で困ってた細長いガラスを使うこともできますし、使用する色も自由自在い組み合わせることができるのはいいですよね。
ガラスの長さを変えれば正方形や長方形、徐々に長さを帰れば丸型や楕円型などにも発展させることができるフュージング技法です。
なんといっても今回はやってて楽しかったし、出来上がったガラス皿にむっちゃテンション上がってしまいました。
皆さんもぜひ挑戦してみてくださいね。
ガラスフュージングを楽しみましょう。
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