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フュージング用ガラスが焼成時に変色する組合せと変色しない組合せ

ガラスフュージング

ガラスフュージングを楽しんでいると、たまに合わせたガラス同士の接点に茶色いラインが入ったり、ガラスパウダーなどでは予想外の汚い色に変色しちゃったなんて経験があると思います。

なかには
寒色系と暖色系を合わせると変色しちゃうから注意しなきゃ
イエローとブルーを一緒に焼成すると茶色い線がはいっちゃうよね

など経験をもとにそう感じておられる方も多いかと思います。

これにはもちろん理由があって、実際には化学的な要因が影響しております。

つまり、ガラスに色を付けるために使用する鉱物や金属が反応しあって変色してしまう現象なのです。

というわけで今回はフュージング用ガラスを合わせて焼成する時に変色してしまうのか変色しないのかに注目したいと思います。

今回の内容を動画で解説

フュージング用ガラスを合わせた時に変色する変色しないってどういうこと?

今回はフュージング用ガラスを合わせて焼成する時に変色する代表とも言われているイエローとブルーについて見ていこうかと思います。

このイエローとブルーの組合せは見た目のインパクトもあるし、何と言っても合わせた色合いが良く例えばスウェーデン国旗などにも使われてる非常にキレイな色の組み合わせです。

イエローとブルーで作品を作りたいけど変色が怖くてなかなか使えないのよね・・・
なんて方も多いのではないかと思います。

わかりやすくイエローとブルーを使って変色してしまったサンプルを作ってみました。

イエローとブルーの組合せで変色した例

これは下地にブルズアイ0320マリーゴールドイエロー、その上に一回り小さくカットした0116ターコイズブルーを乗せてフルフューズで焼成したものです。

もう、みなさんの予想通り(笑)2つのガラスぼ接点が変色し、茶色いラインが1周入ってしまってます。
この組合せで焼成し、変色でガッカリしたことがある人も多いのではないでしょうか。

「だからイエロー系とブルー系を合わせたらそりゃ変色しますよ」という皆さんの声が聞こえてきそうです(笑)

そこでもう1個サンプルを見てもらいたいと思います。

イエローとブルーでも変色しない組合せ

同じくイエロー系とブルー系を合わせてフルフューズしたのですが・・・
2つのガラスの接点に茶色いラインはありません。
そうなんです変色してないんです。

ベースガラスは先ほどと同じ0320マリーゴールドイエローのままです。
ただ今回はブルー系のガラスとして0108パウダーブルーを使ってみました。

つまり0320マリーゴールドイエローと0108パウダーブルーは同時に焼成しても変色しないんです。

えっ!?どういうこと?

焼成しても変色が起こらないガラスの組合せ

さてこのイエロー系とブルー系を同時焼成しても変色しなかったのには、なにか特別な焼成方法等があるわけではありません。

単純にこの0320マリーゴールドイエローと0108パウダーブルーは一緒に焼成しても変色しないというだけです。

一体なぜなのか、少し掘ってみたいと思います。

前半で書いた、ガラスの色を付けるために使う鉱物や金属の化学反応で変色してしまう。

これは色ガラス同士を焼成するにあたり避けることが出来ない問題です。

実際、この変色してしまった組合せでは0320マリーゴールドイエローに含まれる硫黄成分とターコイズブルーに含まれる銅成分が反応して接点が茶色く変色しております。

つまり、ガラスの着色に硫黄を使ってるガラスと銅を使ってるガラス同士を合わせて焼成すると必ず変色してしまうのです。

ブルズアイガラスのリアクティブ表

ここで一つの表を紹介いたします。

ブルズアイガラスリアクティブ表(pdf.ダウンロード)

この表はブルズアイ社が公表している変色する可能性のあるガラスと組合せを表にしたものです。 

ガラスが変色する成分の組合せ

最上部には変色する成分の組合せ、そして左からLEAD/鉛が含まれてるガラス、CUPPER/銅が使われてるガラス、SULFUR/硫黄やSELENIUM/セレンが使われているガラスのリスト表となってます(今回、REACTIVEとALCHEMYには触れずに進みます)

そうです。0320マリーゴールドイエローにはSULFUR(硫黄)が含まれていて、0116ターコイズブルーにはCUPPER(銅)が含まれてます。

つまり、 SULFUR(硫黄) + CUPPER(銅) この組合せは変色する組合せなのです。

よーくこの表を見てみると暖色系のガラスにはSULLFUR(硫黄)・SELENIUM(セレン)、そしてLEAD(鉛)が使われているのがよくわかると思います。

これに対し、寒色系の多くのガラスはCUPPER(銅)が使われているのがわかると思います。

そうイメージや聞いた話で「暖色系と寒色系を合わせると変色しちゃう」というのがこの表を見てみるとよくわかりますね。

もう少し突っ込んでみてみると、同じ暖色系でもピンク系の多い鉛が含まれてるガラスと、オレンジやイエローが多い硫黄やセレンが使われてるガラス同士も変色するので、暖色系同士でも変色する可能性があることが分かります。

ガラスフュージングを楽しむにあたりこの表はかなり重要なものだというのがおわかりいただけたかと思います。

とっても大事なもう一つの表

もう、これだと暖色系と寒色系のガラスだとほぼ変色無しに合わせることができないじゃないか!

そう思う方もいらっしゃるかと思います。

では0320マリーゴールドイエローと0108パウダーブルーの組合せは変色してなかったのでしょうか。

これにはこれから紹介するもう一つの表がとても重要になります。

この表をよく見てみてください。

「DIO NOT CONTAIN LEAD, CUPPER,OR SULFUR」

そうなんです。「鉛も銅も硫黄も含んでない」ガラスの表なんです。

つまり、ここに掲載されてるガラスは先に紹介したリアクティブ表に掲載されてるガラスと一緒に焼成しても変色しないんです。

これで先ほどのイエローとブルーで変色しなかった組合せ、0320マリーゴールドイエローと0108パウダーブルーが変色しなかった理由がおわかりいただけたかと思います。

再度リアクティブ表のリンクを貼っておきますね
ブルズアイガラスリアクティブ表(pdf.ダウンロード)

こんなリアクティブも面白い

リアクティブ表を使って思い通りのガラスフュージング

ガラスフュージングで皆さんを時々困らせていたガラス同士の変色。

これにはガラスの着色するために使われる鉱物と金属との化学反応が原因であったことがおわかりいただけたかと思います。

これまで「暖色系のガラスと寒色系のガラスを合わせると変色するので相性が悪い」ぐらいのザックリとした感覚でおられた方も今回のリアクティブ表ですべてはっきりとしたのではないでしょうか。

このリアクティブ表をフル活用すれば、自分の使いたい色の組合せでどのガラスを使えばいいのか一目瞭然となり、変色を気にすることなくご自身で使いたい色やデザインのガラス作品を作り出すことが出来ます。

これからもどんどんガラスフュージングを楽しんでいきましょうね。



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