ガラスを丸くカットせずに丸皿を作ってみた|ガラス端材の使い方
ガラスフュージングを楽しんでる皆さんが最初にぶち当たる壁といっても言い過ぎではないガラスカット。
特に円形にカットするとなると「もうムリいぃぃぃぃぃぃぃ」ってなっちゃう方も多いのではないでしょうか。
でも丸いガラス皿を作りたいとなれば丸くガラスをカットすることは必須事項・・・・・。
ん?ちょっと待てよ!!
そうだ、あの方法ならガラスを丸くカットしなくても丸皿が作れるぞ!!
そして皆さんの手元にたくさん余ってきているガラス端材も有効に使えるのでは・・・
まさに一石二鳥!!
というわけで今回は「ガラスを丸くカットせずにガラス端材を使って丸皿を作る方法」に挑戦してみました。
今回の内容を動画で紹介
ガラスを丸くカットせずに丸皿を作るヒント
今回これなら丸くガラスをカットせずガラス端材で丸皿ができると思ったのは、以前海外のYouTubeで観た動画を思い出したからでした。
この動画で紹介されてる技法はいわゆるムリーニ(ミルフィオリなどに代表されるガラス棒)をカットして円形に並べて溶かして円形のガラスを制作するという方法。
たったそんなことでキレイな円形にガラスを溶かすことができるの?
なんて不思議に思う方も多いかもしれません。
そうなんです。ただ単に円柱型のガラスを立てて円形に並べて溶かすだけでは、なかなかキレイな丸型にガラスは溶けてくれません。
下手するとガラスパーツ同士の間に隙間が出来ちゃったり、外径がガタガタになっちゃったりが考えられるので、この方法で焼成する場合には通常、円形にくり抜いた耐火物(ファイバーペーパーなど)で枠を作ってその中にガラスを詰めて型の中でキレイな円形に溶かす方法がとられます。
しかし、この動画で紹介されてる方法は耐火物の枠など一切使ってないまさかの方法。
ただ単にムリーニをカットしたものを円形に並べたり、円形型を用意してその中にガラスを詰め込むなどして焼成するのではなく、最初にドーナツ型にガラスを焼成しておくということ。
ちょっと文章だけでは分かりにくいよね。
実践していきましょう。
ガラスのリングを作ってその中にガラスを詰める?
さてこの動画の通りに作ってみようかと思ったのですがいきなり大問題が・・・
ムリーニがない。
そうなんです。ガラスのロッドを持ってないんです。
つまり紹介した動画の通り円柱型のガラスパーツを敷き詰めることが出来ないんです。
ガラス端材で代用できるんじゃね?
はい。ここで思いつきました。
ムリーニがなくてもガラス端材を使えば同じことができるんじゃね?
そうなんです。円柱形のガラスパーツを使わなくてもガラス端材である程度の高さを持たせて溶かせば円形のガラスが出来るのではないかと・・・。
これはやってみるしかないでしょ。
ガラス端材を1cm角サイズにカットして円形に並べる
なんといってもこの方法は最初にリング状のガラスを作らないといけません。
ここで思いついたのが1cm角サイズにカットしたガラスを積んで、それを円形に並べるという方法。
使用したガラスはブルズアイ「1416ライトターコイズブルー3mm」
これを3段に積んで円形にならべていきます。
キレイに円形に並べることができました。これを溶かせばドーナツ状のガラスが出来るはず。
トップ温度800℃で焼成
この四角いガラスを完全に溶かしたいのでトップ温度は800℃で焼成。
いい感じでドーナツリングができてるようです。
しっかり徐冷もいたしまして。できあがりが・・・
ええ感じで仕上がりました。サイズ的には電車のつり革くらいの大きさか(笑)
これであれば海外の動画と同じようなリングが作れているので合格点ではないでしょうか。
3段重ねにした理由
ここで最初円形に並べるガラスはなぜ3段にしたのか、2段や1段ではだめなのか?
なんて疑問を持つ方がいらっしゃるかと・・・
これは3段、もしくはそれ以上にしないとキレイなリングができません。
ガラスはフルフューズにおいて6mm厚になろうとする
もうこのブログの読者さんならご存知でしょう。
今回もガラスを完全に溶かす800℃のフルフューズ。
この温度帯での焼成ですのでガラスは溶けて6mmになろうとします。
使ったガラスが3mm厚でそれを3段に積んでいるので合計9mm厚。
これをフルフューズすると6mmになろうとしてガラスは溶けて広がります。
そうすると1個1個は四角いガラスなんですが完全に溶けて表面張力も働いて溶けながら丸くなってくれるんです。
つまり、四角いガラスを溶かして広げながら丸みを帯びたキレイなドーナツ状を作ることが出来るんです。
これがたとえば1段(3mm厚)だとどうだろうか・・・
3mm厚がフルフューズで6mmになろうとするともちろんガラスは縮みます。
縮んだ状態で丸みを帯びる、つまり円形につながらず1個1個がまん丸に焼成されてドーナツ状どころかただの丸いつぶつぶが出来上がってしまうことになるでしょう。
2段重ね(6mm厚)ではどうだ?
6mm厚の状態からフルフューズで6mm厚になろうとするので広がったり縮んだりすることはなくその場で丸みを帯びることとなります。
ただ一つ一つがその場で丸みを帯びるのでドーナツ状というよりはポンデリング上になることが予想されます。
そうなんです。なので3mm厚の3段積みで9mm厚にしたんです。
6mmルールを解説してるよ
ガラスフュージングでのガラスの縮みと広がりの謎にお答えします | グラクラBLOG
ガラスフュージングでのガラスの焼成。そのガラスは縮むのか広がるのかにはちゃんとしたルールがあります。ガラスをフルフュージングで焼成する時の「6mmルール」について実験とともに紹介いたします。このルールを知ることによってガラスフュージングがより一層楽しくなることでしょう。
リングの中にガラス端材を詰める
さぁここからが本番。
さきほど制作したドーナツ状のガラスのなかにガラス端材を詰め込みます。
今回はクリアガラス(ブルズアイ1101クリア)の端材が多くあったので適度なサイズでカットしてドーナツの中に入れていきます。
本来はリングの中の体積を求めてそれの2.5倍のガラスを投入するのですが、今回はさすがに体積を求めるのも大変なので適当に詰めることに。
ガラス端材同士にはやはり隙間がありますのでその分が沈むことも考えてこんもり山になるように詰めてみました。
ただクリアのみでは寂しい感じがしたので、以前作ったガラス粒もアクセントで上に乗っけてみましたよ。
トップ温度800℃で焼成
今回もトップ温度は800℃に。この温度であれば端材も溶け合わさってくれるはずです。
いい感じで溶けて平らになってますね。
隙間もなく、リングの外にあふれることもなく質量的には問題なかったようです。
しっかり徐冷して・・・
キレイな丸型ガラスができました。
型の上でスランピング
出来上がったガラスをいよいよお皿にする段階です。
円形のモールドに乗せてスランピング。
トップ温度630℃まで3時間で上げるというゆっくり時間をかけてガラスを曲げるイメージです。
出来上がり!!
やりましたね。ガラスを丸くカットせずに円形のガラス皿を作ることができました。
透明系ガラスより不透明系ガラスを使った方がいいかも・・・
見事に丸いガラス皿が作れたものの今回使用したガラスがクリアガラスの端材だったので、出来上がったガラスをよく見ると溶けたとはいえ元のガラス端材の輪郭が見えちゃってる状態。
これであれば不透明系のガラス端材を使った方がガラス端材の輪郭が見えないのでいいかもしれませんね。
というわけで今回は海外のYouTubeをヒントにガラスを丸くカットせずガラス丸皿を作ることに挑戦してみました。
ガラスを丸くカットすることがまだ出来ないけど、どうしても丸皿が作りたいっ(笑)
なんて方には最高の方法なのではないでしょうか。
皆さんも挑戦してみて下さいね。
ガラスフュージングを楽しみましょう。
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