フュージング用ガラスフリット4種類ってどんなの?見比べてみよう焼き比べてみよう。
ガラスフュージングでガラス装飾やパートドヴェールなどに使用するガラスフリット。
パウダー状のものや粒状のものがあるのですが、ガラスフュージング用ガラスメーカー「ブルズアイ社」のガラスフリットはなんとサイズが4種類もあります。
というわけで、今回はこのブルズアイガラスフリット4サイズを見比べ、また実際に電気炉で焼成して各特長を見てみたいと思います。
ブルズアイ社のガラスフリット4サイズ
これまでグラクラマーケットではブルズアイ社製のガラスフリットは「ミディアムフリット」と「ガラスパウダー」の2サイズのみを販売させていただいておりました。
ただガラスフュージングを楽しむ方がかなり増えてきた現在、「ブルズアイガラスは4サイズあるのに2サイズだけしか扱ってないってどうよ?」なんて思いまして・・・
この度、今まで扱ってなかった「コースフリット」と「ファインフリット」を追加させていただきました。
見慣れないサイズかと思いますので、順番に元ガラスから焼成後まで順番に紹介していきますね。
ブルズアイガラスフリット
ガラスフュージング用ガラスフリット「ファインフリット細」「ミディアムフリット中」「コースフリット粗」3種類の粒サイズでガラスフュージングを楽しもう。
ブルズアイガラスパウダー
ブルズアイ社製のガラスパウダー(COE90)です。粒度0.2mm以下の粉末ガラスですのでパートドヴェールやフュージングでの装飾にご使用いただけます。
焼成前のガラスフリット
まずは焼成前のガラスのサイズや状態を「ブルズアイ0320マーリーゴールドイエロー」を例にして見ていきましょう。
1.ガラスパウダー
いわゆる粉状のガラスですね。粒サイズだと約0.2mm以下とされてます。
サラサラとした感じではありますが小麦粉ほど細かくはないですね。
2.ファインフリット(細フリット)
少し粒感のあるガラスです。粒サイズだと0.2〜1.2mmくらいまで。
グラニュー糖くらいのサイズかな。
細かいフリットとして「細フリット」なんて呼ばれたりします。
3.ミディアムフリット(中フリット)
かなり粒感のあるガラスですね。粒サイズだと1.2mm~2.7mmくらいまで。
細かめのザラメといった感じですね。
いわゆる「中フリット」これまでもグラクラマーケットで扱ってたサイズです。
4.コースフリット(粗フリット)
ゴロゴロ粒感のあるガラスです。粒サイズだと2.7mm~5.2mmくらいまで。
大きめのザラメといった感じです。昔の喫茶店でグラニュー糖の中に入ってた茶色のザラメみたいな感じw
これだけのサイズがあると表現の幅も広がりますよね。
焼成温度で溶け具合を変えて、テクスチャー表現や色のミックス表現なども出来そうです。
焼成後のガラスフリット
元ガラスの粒感はおわかりいただいたかと思います。
では実際に電気炉で焼成するとどのようになるのか。
今回は粒感を残した焼成方法の「タックフュージング」、ガラスを溶かし込む「フルフュージング」の2パターンで見ていきます。
・タックフューズ(720℃)で焼成
今回はクリアガラス(ブルズアイ1100クリアテクタ3mm厚)の上に各ガラスフリットを乗せて焼成していきます。
各ガラス片側は少し分厚めにそこから徐々に薄くグラデーション状に配置しております。
こうやってみると粒の大きさ違いがはっきり分かりますね。
トップ温度720℃での状態。
元ガラスのマリゴールドイエローがこの温度だと真っ赤になってます。
粒感は残ったままただガラスの角は溶け始めて丸みを帯びた状態。
コースフリット(粗フリット)の状態を見るとわかりやすいですね。
ブルズアイガラスですので482℃でキープを入れて徐冷してしっかり冷ましましたら・・・
粒感を残したままちゃんと溶着されてますね。
一つずつ見ていきましょう。
1.ガラスパウダー
粒が一番細かいこともあって、この720℃でもクリアガラスに溶けた感じがしてますね。
ただ、表面をよく見てみるとすこし凸凹感が残ってます。
完全に溶け切ってないということですね。
分厚いところ薄いところでのグラデーションもはっきりわかります。
ただガラスパウダーのこの温度帯での焼成はあまり実用的ではないかもしれません。
2.ファインフリット
ザラザラ感が残った溶け方をしてますね。
なかなかおもしろいテクスチャーになってます。
ファインフリットの中でもより細かい粒はガラスに溶け込み、大きめの粒は立体感があります。
これ、砂浜などの表現に使えるんじゃなない?
3.ミディアムフリット
粒感がある程度はっきりした状態です。ただガラス粒の尖った部分は溶けて丸みを帯びてますね。
フリットが重なり合ったところの立体感と単体の粒の溶け具合の差がいい感じです。
4.コースフリット
フリットの存在感がかなりありますね。
こちらも元ガラスの状態では尖ってたのですが、ガラスの形状を残しながらもうまく丸みを帯びてくれてます。
表面が溶けてるので光沢が出てるのがいい感じ。小石などの表現に使えそうです。
同じ温度で溶かしても、粒サイズによってクリアガラスへの溶け込み具合が変わるところが面白いですね。粒での立体表現はいろいろ使えそうです。
フルフューズでの焼成
続いてフルフューズでの焼成。完全に粒を溶かし込むイメージですね。
本来800℃~810℃で焼成するのですが、今回はベースとなるクリアガラスが3mm厚だったので、このまま800℃まで上げるとかなり縮むので、ベースガラスが縮み過ぎない780℃での焼成といたしました。
トップ温度780℃での状態
ガラスフリットがかなり溶け込んでくれてます。
クリアガラスも少し縮んできてますね。10分ほどトップ温度でキープいたしましてその後冷ましていきました。
キレイに溶け込んでくれてますね。サイズの大きいフリットはこの温度だと溶けてはいるけど完全には溶け込んでないかな・・・ま、見ていきましょう。
1.ガラスパウダー
完全に溶け込んでおります。
分厚く振ったところはベッタリとした感じで、薄い所はパウダー感を残したまま溶け込んだ感じです
タックフューズと見比べてみると・・・
一件溶け具合が同じように見えますが、720℃にくらべ780℃の方が表面がツルツルフラットな状態。
つまり完全にガラスパウダーが溶け込んでるんですね。
あと大事なことは、この0320マリーゴールドイエローや他の暖色系のガラスのように、焼成する事によって本来の色になるガラス(ストライカーガラス)は温度が高いほど色が濃くなる特性を持ってます。
なので720℃より780℃の方がより色が濃くなってますよね。
2.ファインフリット
こちらも完全に溶け込んでおります。表面もツルツルでフラットな感じ。
クリアガラスに溶け込んでいるので、粒が重なり合ったところと粒単体のところで奥行を感じられるのが面白い所ですね。
もちろん先ほどのガラスパウダー同様、780℃の方が色が濃くなっております。
3.ミディアムフリット
こちらもかなり溶け込んでますね。粒が重なり合って溶けたところと粒単体で溶けたところでの奥行や色の濃度の違いを活かした表現なんかも出来そうですね。
もっと温度を上げたほうが、各粒がもっと丸くなるのでかわいい仕上がりになると思います。
4.コースフリット
こちらは溶けても存在感ありますね。このサイズの粒となると780℃ではちょっと温度が低かったです。
完全に溶け切らず表面には凸凹感が残ってしまいました。
でもね、このコースフリットをクリアガラスに溶かす時は面白い表現が出来るんです。
裏から見てみると・・・
そうなんです透明の中にぷくぷく浮いてる感があるんです。
コースフリットをクリアに溶かして裏から使うって!?
このコースフリットを使ったガラスフュージング。
もう一歩踏み込んでみたいと思います。
先ほどご覧いただきました裏から見た時のぷくぷく浮いてる感。
これはガラスフリットが高温で溶け込む時に丸みを帯びながらクリアガラスに溶け込むためそう見えるのですが、これを利用しない手はない。
ということでもっとしっかりガラスフリットを溶かし込んでみましょう。
ピンク系のコースフリット3種類を混ぜてクリアガラスに乗せてみました。
そしてクリアガラスも今回は3mmの2枚重ね。
つまり6mm厚なのでガラスが縮むことはありません。
6mmだとガラスが縮まない その理由は・・・
ガラスフュージングでのガラスの縮みと広がりの謎にお答えします
ガラスフュージングでのガラスの焼成。そのガラスは縮むのか広がるのかにはちゃんとしたルールがあります。ガラスをフルフュージングで焼成する時の「6mmルール」について実験とともに紹介いたします。このルールを知ることによってガラスフュージングがより一層楽しくなることでしょう。。
この状態で先ほどより高い温度810℃で完全にコースフリットをクリアガラスの中に溶け込ませます。
810℃ではもう完全に溶け込んでいるのがわかります。
もちろんクリアガラスも一切縮んでいません。
棚板上側の粒たちは、ついでにコースフリットをそのまま並べて丸粒ガラスにしておりますw
表から見た場合でもガラス粒が溶け込んでもちろんいい感じではありますが・・・
さぁ裏から見てみましょう。
ぷっくりとしたいい立体感がでてますね。ぷくぷく感が可愛いです。
例えばこれを好きなサイズでカットしてそのまま再焼成したり、研磨したりして仕上げたりするとそのままかわいいアクセサリーとしても使えますよね。
またこのお皿のように、小石のような立体感。
そうですこれは同じようにクリアガラスにガラス粒を溶かし込んだ板を作り、それをカットして裏返してガラス皿の一部分として使用したものです。
この焼成方法はいろいろ楽しめそうですね。
ガラスフリットの用途は無限大!!
というわけで今回は、ブルズアイガラスフリット4サイズを比べてみました。
これまでフュージング用の板ガラスしか使ったことが無かった方も、いろんな作品展開のイメージが広がったのではないでしょうか。
いろんな色、いろんな形状のガラスを組み合わせてほぼ無限の作品展開ができるというのがガラスフュージングの楽しいところだと思います。
是非皆さんもいろんなガラスを使ってガラスフュージングを楽しんでくださいね。
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