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ガラスフュージング用離型紙(セラフォーム)がこんなに縮んだのはなぜなのか?

ガラスフュージング

前回このブログで書いた
【ガラスフュージング】ガラスの色と摩擦でガラスの溶け具合が変わるってホントなの?
もちろんYouTubeのも同内容を上げているのですが、視聴者さんからこんな質問をいただきました。

「右上のガラスの下に敷いてる離型紙だけガラスに引っ張られて寄ってるのはなぜ?」

どうゆこと?
なんて思ったのですが・・・

なるほど。確かにこの黒のガラスの離型紙だけガラスに寄ってきてますね。

というわけで今回は、この離型紙がガラスに寄ってきた謎を究明したいと思います。

今回の記事をYouTubeで解説

摩擦の影響はガラスだけではなかった!?

さて、前回の記事で書いた「ガラスの色とガラスの摩擦」はガラスには溶けやすい色があり、棚板や離型剤、離型紙、ガラスを置く場所によって摩擦の力が変わるので溶け縮み具合が変わるよというものでした。

それをわかりやすくするためにガラスの焼成実験をしたわけですが、その中の離型紙に何も塗らずそのまま上にガラスを置いた黒のガラスだけ離型紙がガラスに寄ってきてしまってます。
黒のガラスが縮む時に一緒に離型紙が引っ張られてるように見えます。

同じ条件でもう一度焼成してみよう

確かに不思議な現象ですね。
過去に僕自身もこんなに離型紙がガラスに寄ってきたことはありません。
可能性として、焼成が高温過ぎたのかと思う部分もありましたので、まずすべて同じ条件で焼成してみることにいたしました。
同じガラス、同じサイズ、同じ離型紙、同じ棚板、同じ温度コントロールで焼成・・・。

離型紙そのままやん。ガラスに寄ってきてないやん。
そう、これまで僕が経験した焼成時と一緒。離型紙は縮まずその場で粉体になってるだけ。ガラスの縮みに全く影響は受けてない状態でした。
どういうことなんだろ。

あ、全く同じ条件じゃなかった

おっかしいなぁ・・・
となればなんで前回の黒のガラスの時は離型紙が寄ってきちゃってたんだろ?

同じガラス、同じサイズ、同じ離型紙、同じ棚板・・・   

棚板。

あ、棚板は同じだけど実は同じじゃないやん。

そうでした。棚板自体は同じものなんだけど、離型紙が寄ってきた時に使ってた棚板には実験のため離型剤(パーフェクトプライマー)が塗ってあったんです。

離型紙が寄ってきた焼成と寄ってこなかった焼成での唯一の違い。
それは棚板と離型紙の間に離型剤があるのかないのか。

棚板に離型剤があったため離型紙が寄ってくる

あ、そういうことか!! 気づいた方もおられることと思います。

そうなんです。棚板に離型剤があることによって離型紙が滑ってよってきちゃってたんです。

ピンと来てない方もいるよね?

一度目の焼成時、離型紙が寄ってこなかった左上の黒のガラスと離型紙が寄ってきた右上のガラスの焼成時の断面図解で解説します。

離型紙が寄ってこなかった時の焼成の状態

これは棚板の上に離型剤、そして離型紙を敷いてその離型紙にも離型剤、その上にガラス。

この場合、焼成するとガラスと離型紙の間に離型剤がある状態、つまりガラスと離型紙との間の摩擦がすくないので、ガラスはその上で滑るように縮みます。
そう、滑るようにガラスが縮んでいるので離型紙は引っ張られずそのままの状態でガラスだけが縮む。

離型紙が寄ってきた時の焼成の状態

棚板の上には離型剤が塗ってありここは一緒。
ただ離型紙とガラスの間には離型剤は無く、離型紙に直接ガラスを乗せた状態です。

この場合、焼成するとガラスと離型紙の間は離型剤が無いので摩擦が強い状態。
逆に棚板と離型紙の間には離型剤があるので摩擦の少ない状態。

つまり、ガラスは縮む時に離型紙との摩擦が強いので引っ張ろうとする。
その時、棚板と離型紙の間には離型剤があるので摩擦が少なくガラスに引っ張られた離型紙が滑ってガラスに寄っていっちゃう。

そう。なぜガラスに離型紙が寄ってきちゃったのか。

ガラスと離型紙との摩擦力が棚板と離型紙の摩擦力を上回ったため滑ってガラスに近づいて寄ってきちゃった。

これが原因なのです。

ガラスは摩擦の影響を受けることがある

今回はめっちゃマニアックな内容の記事でしたが、ついてこれたでしょうかw

ガラスフュージングは焼成時に棚板やモールドなどとガラスがくっ付いてしまわないように、離型剤や離型紙を使います。
みなさんは日頃の焼成でガラスと棚板、離型紙、離型剤との摩擦に関してほぼ意識することはないと思います。
ただ実際にはどの棚板を使うのか、離型紙を使うのか離型剤を使うのか、どんな塗り方をするのかなどでガラスとの摩擦によって溶け具合や縮み具合が違ったりすることもあるんですよね。
もし「いつもと溶け具合が違うな」なんて時に、このガラスとの摩擦が関係することもゼロだとは言えませんので頭の片隅にでも置いておくとよいかもしれません。

「あれっ!?なんか違うぞ」なんて焼成の時に、どんな原因があるんだろうと考えてみるのって結構大事だよ。


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