フルフュージングで上手にガラスを溶かし込みたい
・フルフュージングでガラスを溶かし込もうとするといつも失敗しちゃう
・ガラスが変な方向にゆがんでしまうのはなぜだろう
・上手くフルフューズで溶け込ます方法ってないのかな?
・思った通りにガラスを溶け込ませたい
ガラスフュージングの楽しさはなんと言っても重ねたガラス同士がくっ付き、そして溶け合わさって素敵なガラスを作り出すこと。
皆さん色とりどりのガラスを組み合わせて素敵な作品を作っておられることと思います。
様々な焼成方法がある中で完全にガラスを溶かし込む、いわゆるフルフュージングにおいてどうしてもガラスがゆがんでしまったり、思った形状にならずに悩んでしまう事ってありますよね
※僕なんか年がら年中でした
今回はそんなガラスを溶け込ませる時に失敗しないための方法を解説したいと思います。
ガラスを溶け込ませる時に注意しなければならない事
ガラスフュージングで誰もが最初やってみる「フルフュージング」
ガラスが柔らかくなり表面張力で丸くなる温度帯、温度にすれば780℃以上での焼成となるでしょうか。
ぷっくりしたプリっとした可愛いガラスが出来上がる温度帯での焼成です。
ここで皆さんがぶち当たる問題表面張力を生かしたまん丸な小さなガラスフュージングは上手くいくんだけど、プレート状のものをフルフューズで焼成しようとすると思った形状にならない。
ガラスが変な方向にゆがんでしまう問題
あれ?こんなはずじゃなかったのに・・・
と電気炉の蓋を開けた瞬間にため息と共に崩れ落ちた経験がある方も多いのではないでしょうか。
・キレイにガラスカットもした
・温度コントロールも問題ない
ではなぜ出来上がったガラスはゆがんでしまってるんでしょうか
実は上に乗せるガラスの配置、ベースとなるガラスの厚みが深く関係しているのです。
今回の内容を動画で解説
ガラスの配置による溶ける形状の違い
ガラスの配置による溶け方の実験をしてみました。
ベースで使用するのは6mm厚のクリアガラス(ブルズアイクリアテクタ6mm)
この上に溶かしたいガラスを配置するのですが
一つはベースガラスの外側に並べ、もう一つはベースガラスの約2cm内側に並べます。
この状態で全く同じ焼成プログラム(トップ温度810℃で10分キープ)で焼成してみました。
ベースガラスの形が変化した
内側に並べた方はキレイに溶け込んでベースガラスの形状もあまり変化がないのに対して、端側に並べた方は外側にガラスが流れてベースガラス自体が完全に変形してしまってます。
これが皆さんが失敗する時の原因です。つまり、フルフューズにてガラスを完全に溶け込ませたいのであれば、ガラスの配置をベースガラスの端から距離を取る必要があるのです。
ブルズアイ社のホームページでの解説によると
6mm厚のベースガラスで端から3/4インチ(約2cm)の距離をおいて焼成しましょうとのことで、今回の実験でも同様の方法で焼成してみました。
でも、
距離をとって焼成してるけどガラスが変形するんだけど・・・
そんな方もいらっしゃると思います。
それはベースガラスの厚みが関係していると思っていいでしょう。
ガラスの厚みで形状が変わる
フルフュージングで焼成するといつもへんな形状になっちゃう
ここにはもう一つ、ベースとなるガラスの厚みが関係してきます。
このブログでも何度か紹介しておりますが
フルフュージングの温度帯ではガラスは6mmの厚みになろうとする
いわゆる6mmルール(6mmの法則)。
たとえば3mm厚の小さいガラスを焼成すると縮んで丸いガラスが出来上がることは知っておられる方も多いかと。
これももちろんガラス自体が6mmになろうとして縮んで丸くなっているわけです。
逆に12mmもあるようなガラスをフルフュージングすると、ガラスは6mmになろうと伸びて面積は広がります。
ということは、いつもガラスが変形して困ってる方はガラスの厚みの問題である可能性が高い。
そこで次にガラスの厚みによってどう変わるのか実験してみました。
参考記事
ガラスフュージングでのガラスの縮みと広がりの謎にお答えします
ガラスフュージングでのガラスの焼成。そのガラスは縮むのか広がるのかにはちゃんとしたルールがあります。ガラスをフルフュージングで焼成する時の「6mmルール」について実験とともに紹介いたします。このルールを知ることによってガラスフュージングがより一層楽しくなることでしょう。
3mm厚のベースガラスにガラスを乗せてフルフュージング
今度はベースガラスを3mm厚に、そして上に乗せるガラスの位置を端に置くパターンと端から離したパターン(今回は1.5cmほど離しました)で焼成して形状の違いを見てみます。
やはりベースガラス自体が縮む
まさしく6mmルールですね。
どちらのガラスも元のサイズより縮んでおります。
端から離した方は上のガラス自体はそのままキレイに溶け込んでくれているのですが、やはりベースガラスは6mm厚になろうとして側面から縮んでおります。
この形状がトラウマになってる方も多いのではないでしょうか。
これに対して端にガラスを置いて焼成したものは、先ほど同様重ねた部分は外に流れていき、他の部分は縮むという残念な形状に・・・
でもこれが現実なのでございます(笑)
ガラスを作りたい形状にコントロールできるようになりたい
今回はフルフュージングでガラスを上手く溶け込ませる方法についていろいろ実験してみました。
これまでガラスを溶け込ませるんだけどいつも変な形になってしまってた人は今回のように、ガラスを置く位置とベースガラスの厚みの関係性を意識することによって、かなり失敗を回避することが出来ると思います。
制作前に自分でイメージしたガラスの形状になるように焼成するというのはガラスフュージングをする人によって永遠の課題。
ただ、ガラスの特性を知ることで、かなりガラスを作りたい形状にコントロールできるようになります。
いっぱいいっぱい焼成して、ガラスともっともっと仲良くなりましょうね。
ガラスを楽しみましょう。
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