マーブル模様のガラス皿を作る|冷凍するガラスフュージング
これまでこのブログでも紹介いたしました「フリーズガラスフュージング」
ガラスパウダーに水分をもたせて型詰めし、凍らせてガラスの形状を作り焼成する。
通常のパートドヴェールとは違い石膏などは一切使わず、非常に簡単にガラスの造形物を作ることができる楽しい技法です。
【フュージング裏技】100均シリコンゴムでガラスのドクロを作ってみた | グラクラBLOG
ガラスフュージングの裏ワザ「100均グッズでガラスフュージングシリーズ」。今回はドクロのペン立てを原型にフリーズガラスフュージングに挑戦してみました。100円ショップセリアの型取り用シリコンゴムで型取ったドクロ型にフュージング用ガラスパウダーを詰めて冷凍して固め、電気炉で焼成するという裏技を紹介いたします。
このフリーズガラスフュージングではこれまで、ガラスパウダーに水分を含ませ市販のシリコン型やシリコン型の素みたいなもので型取りしてガラスを作っておりました。
もちろん出来上がりは型取りした造形物になるわけで、ハートやお星さま、ガイコツや猫ちゃんなどいろんなシリコン型を使いガラスを作りました。
そこでふと思ったのが・・・
この技法で板ガラスを作ってモールドに乗せて曲げればガラス皿なんかも作れちゃうかも・・・
というわけで今回はガラスパウダーを凍らせる「フリーズガラスフュージング」でガラス皿を作ってみました。
今回の内容を動画で解説
ガラスを凍らせて板ガラスを作る
さてガラスフュージングでお皿を制作する場合、最終的にモールドに乗せてスランピングするためにまずはガラスを好きなデザインで並べて1枚の板ガラスを制作するところから始めます。
もちろん通常であればいろんな色の板ガラスをカットしたり並べたり、重ねたりして焼成し1枚の板ガラスを制作するわけですが、これをフリーズガラスフュージングで作るとなると、まず板ガラスにするための型が必要になります。
毎度お馴染み100均でいろいろ物色いたしておりましたら・・・
見つけました板ガラスを作れそうなやつ
食品用のプラスチック製バット
これにガラスパウダーを上手く敷き詰めて凍らせれば板ガラスが作れそうです。
ガラスパウダーに水を含ませる
まず最初に容器に出したガラスパウダに水を注ぎ軽くかき混ぜ、10分ほど放置してガラスパウダーを沈殿させます。
ガラスパウダーが沈殿したら上澄みを捨てると、水を含んだシャリシャリのガラスパウダーの出来上がり
ガラスパウダーを型に入れて冷凍する
シャリシャリとした感じになったガラスパウダーを用意したプラスチックトレーに詰めていきます。
最終的にマーブル模様にする予定なのでほんと適当に詰めていく・・・
詰め終わったらかなり水分がかなり浮かんでいるので、それを利用してガラスパウダーを混ぜるように引っ掻きマーブル模様を描いていきます。
水があるのでいい感じでマーブル模様になってくれますね。
マーブル模様が描けたら浮いてる水をティッシュ等で吸収していきます。
この時ガラスパウダーを型に沿わせて押し込みながら水分を吸収していくのがコツ。
なんとなく美味しそうな感じがしますね(笑)
このまま冷凍庫で5〜6時間凍らせる
型から外すと凍って固まったガラス板になってます。
凍ったまま電気炉で焼成する
まぁここが信じられないところだと思いますが、凍ったガラスをそのまま電気炉に入れて焼成いたします。
今回の焼成スケジュールはこちら
200℃まで上げて10分キープ
490℃まで上げて10分キープ
715℃まで上げて10分キープ
※この時点で大失敗・・・
最悪です。ガラスパウダーが割れました。
板ガラスを焼成する場合は割れないように慎重に温度を上げていくのですが、ガラスパウダーなら急いで温度を上げても割れることはないだろう・・・
浅はかでした・・・
フリーズガラスフュージングでは水分が蒸発しガラスが溶けようとするときにガラス自体が収縮いたします。
これまで過去にやって来たフリーズガラスフュージングはシリコン型にはめた小さな造形物ばかりでしたが、今回は面積の広い板状。
急激に温度を上げたことによりガラスパウダーの収縮も早くなり、耐えきれずにモロっと部分的に崩れてしまった感じです。
なので今回のような板状で面積が広い場合には、じっくり上げて水分を飛ばしていかなければならないところなんとまぁ・・・
急げ急げで最短で200℃まで上げてしまいました。
※おそらく5分ほどで200℃まで到達したものと思われます。
そして490℃までトップ温度の715℃までも最短で温度を上げる設定にしてしまいました。
ガラスの形状や面積によって設定温度や温度の上げ下げはじっくり考えないといけませんね。
気分を変えてリベンジ
これで諦めるわけにはいきません。温度の上げるスピードが原因と判ればゆっくり上げさせていただきますよ。
気分を変えて違う色でリベンジです。
今回も先程と同様の手順でガラスパウダーを凍らせるところまで・・・
今回の色合いもいいですね。
このまま電気炉で焼成していきます。
今回は焼成する向きもツルっとした面を上にしてみました。
リベンジ焼成プログラム200℃まで2時間で上げる
200℃で30分キープ
715℃まで2時間半で上げる
715℃で35分キープ
482℃で1時間キープ
371℃まで2時間かける
371℃で30分キープ
さすがに今回は慎重な設定です(笑)
200℃まではじっくり水分を抜くイメージ
そこからトップ715℃まではガラスの収縮をなるべくゆっくりにしてガラスパウダーが崩れるのを防ぐイメージ
トップの715℃でのキープ時間を長くしてじっくりガラスパウダーを溶かして光沢を持たせる感じ
大体僕の描いたイメージはこんな感じです。
トップ温度ではいい感じに溶けてくれてます。
しっかり冷まして電気炉の蓋を開けたら・・・
キレイな板になってくれました。
裏面の秘密
さぁ板ガラスが完成したらあとはモールドに乗せて曲げるだけ!!
といきたいところではありますが、見逃してはいけないのが出来上がったガラスの裏面。
かなりのシワと離型紙がこびりついてるそうなんです。フリーズガラスフュージングの場合、ガラスが収縮するときにガラスの底面が離型紙を拾い上げちゃうんです。
このままスランプすると離型紙の成分がガラスに残ったままになってザラついたり曇ったりしちゃうんですね。
こびり付いた離型氏の残骸をキレイに削る
今回はサンドブラストでこびりついた離型紙を削り飛ばしました。
安心してください。
サンドブラスト機がない方でもサンドペーパーやガラス研磨布、アフロホイールビットなどの研磨アイテムで削れば大丈夫です。
モールドに乗せてスランプする
さぁスランピングだ!と意気込んだものの、適度な大きさのモールドがない・・・
※出来上がりガラスサイズの見込み違い(涙)
というわけでガラスに比べモールドサイズは大きいのですが「カーブプレート145」を使って軽めのカーブがつく感じでお皿にしてみました。
カーブプレート145 slumpin’×slumpin’
フュージング、スランピングモールドのカーブプレート145角です。少し大きめのカーブプレートで、「キルンキング160sn」に入れることが出来る最大サイズモールドです。
トップ温度は710℃で10分キープ。
普段であればこれくらいの軽い曲げであれば663℃で10分キープくらいで曲げるのですが、今回は底面のガラスに入ったシワが気になったので、高めの温度710℃でスランプしてみました。
楽しいフリーズガラスフュージング
見事完成。
なかなか面白いガラス皿になってくれました。
気になってた底面のシワもかなりなくなってくれました。
トップ温度をもう少し上げれば(730℃あたりかな・・・)シワがなくなりもっとツルっとした底面にできたかも・・・
少し反省点も残りますが楽しいガラスフュージングとなりました。
ガラスパウダーを凍らせるというかなり変わったガラスフュージングの技法なのですが、アレンジ次第でまだまだ楽しいことがいっぱい出来そうです。
この技法を使ってのアレンジ・・・
マーブル模様のガラスアクセサリーを作ったり、分厚めのマーブル板を作ってサギングしたりなんか面白そうですね。
大失敗もありましたが、今回もムッチャ楽しいガラスフュージング。
ぜひ皆さんもチャレンジしてみてくださいね。
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