ストリンガーを使ったガラスフュージング|あなたならどうする?
ガラスフュージングで使う材料には、板ガラス、粒や粉状のフリット(パウダー)、細長い棒状のストリンガーなどいろんな形状のガラス材料があります。
もちろんどんな物を制作するにせよ板ガラスは一番使うことが多く、その次に装飾や型を使ったキャスティングなどでフリット(パウダー)を使うといったことが多いと思います。
ガラスストリンガーってあまり使わなくね?
そうですよね。直径1mmほどの非常に細長い棒状のストリンガーって他の材料と比べて使用頻度が極端に少ないかと思います。
今回はそんなガラスストリンガーの面白い使い方を紹介するとともに、その使用方法を実践していった中で「あれっ?こんな場合はどうすればいいんだろ」なんてことがあったので皆さんにも考えてみてもらいたいと思います。
今回の内容を動画で見れますよ
ガラスストリンガーの面白い使い方
これまでこのブログでもガラスストリンガーを使った小皿や面白技法を紹介してきたのですが、やはり僕自身もガラス作品制作でこのストリンガーを使う頻度は極端に少ないです。
これまで紹介したストリンガーを使った作品
ガラスストリンガーを自在に曲げて楽しむフュージング | グラクラBLOG
ガラスストリンガーを好きな形状に曲げて使うガラスフュージングに挑戦してみました。通常直線的に使用することが多いストリンガーを曲げて使うことが出来るようになると、作品のバリエーションも一気に増えそうですね。
【驚きのガラスフュージング】ストリンガーと100均グッズでデザインガラスを作る | グラクラBLOG
ガラスフュージングとサンドブラストの合わせ技でデザインガラスを作ってみました。ガラスストリンガーの面白い使い方、ガラスパウダーでの表面加工などガラスフュージングのアレンジ技を紹介いたします。
こうしてみるとまだまだガラスストリンガーを使ってまだまだ面白いことできそうです。
そんなガラスストリンガーの何か面白い使い方はないかなとYouTubeを調べておりましたら気になる2本の動画を見つけました。
細かなデザインがめっちゃいい感じのガラス
非常に細かなラインが組み合わさったガラス。
動画の中ではその制作方法がアップされてたのですが、「見て納得!なるほど」な内容でいうほど難しい工程がなく誰もが実践できそうな工法。
目がチカチカしちゃいそうではありますが、このデザインがガラスストリンガーを使って出来てるのを見て、これはやってみるしかないだろうと挑戦することにしました。
僕なりに作ってみよう
僕が用意したガラスはベースとなる10cm角のクリアガラス(ブルズアイ1101クリア2mm)とガラスストリンガー1/4サイズの3色(0100ブラック 0113ホワイト 0136デコグレー)
まずはクリアガラスの板の上に3色のガラスストリンガーを並べてストライプのガラス板を作るところからスタートです。
1.クリアガラスの上にストリンガーを並べていく
クリアガラスの端側にフュージングのりで平行にラインを引いてその上にガラスストリンガーを並べていきます。
この時に各色バランスよく均等に並べていくのではなくて、同じ色を隣に並べてラインを太くしたり並べる順番を変えたりしながら割とアンバランスに並べていく方が後々ええ感じになるので、わざと不均等に並べていきます。
並べ終わったらガラスがくっ付くまでフュージングのりが乾くのを待ちます。
2.余ったストリンガーをカットする
ベースガラスを10cmだとストリンガーの方が少し長いので、この余った部分をガラスカッターG-CAMでカットしていきます。
※G-CAMでガラスストリンガーをカットする方法は動画内で解説してるのでそちらを見てね。
これで10cm角サイズのストライプガラスができました。
3.タックフューズで焼成
このストライプガラスをトップ温度730℃でタックフューズ。
ここでのポイント
下になるクリアのガラスの厚みが2mmでその上のストリンガーの直径が1mmなので合計約3mm厚のガラスの焼成なので、フルフューズのような高い温度で焼成してしまうとガラスが縮み変形してしまいます。
元のガラスが変形するということは、焼成前きれいなストライプになってたとしても元のガラスの変形と共にラインもウネウネにみだれストライプ状ではなくなるため、ここはガラス同士は溶着するものの変形をしない温度730℃を選択しました。
トップ温度ではガラスも変形せず、ラインも乱れずなかなかいい感じ。
ストリンガーが完全に溶けきってないので表面に凸凹感があるのが少し気になるところではあります。
4.出来上がったガラスをカットする
ストライプに焼成出来たガラスを裏返して1cm幅でカットします。
どうする?その1
ガラスカットは表から?裏から?
さてカットするのはどちらの面からがいいのでしょうか・・・
表面はデコボコしてるのでガラスカッタの刃が上手くあたらない部分がでてきますのでここは裏側からのカットで正解。
またいきなり幅の広いガラスから細く1cm幅でカットしようとすると、変な方向にカットラインがはしる可能性があるので、最初に2cm幅でカットしてそれを1cm幅に2分割する方法で。
細くガラスをカットする場合にはなるべく左右均等にしてカットすると失敗が減りますよ。
5.十等分したガラスを互い違いに並べなおす
ここがこのガラスデザインを作るミソ。
1枚おきにガラスパーツの上下を入れ替えます。
そうすると・・・
そうなんです。あの目がチカチカする(笑)素敵なデザインになるんです。
おぉぉめっちゃいい感じ!!
あとはクリアのカバーガラスを乗せて焼成すれば完成!!
だと思ったのですがここで難題が・・・
どうする?その2
カバーガラスを乗せる乗せない?
通常であればこのストリンガーで表現したデザインの上にクリアガラスを乗せてフルフューズ・・・
てな感じで完成と行きたいところなのですが、問題発生。
クリアガラスを乗せて焼成すれば下になったガラスのデザインや組み合わせたガラスの輪郭をキッチリ残して焼成出来るというのは皆さんご存知かと思います。
でも、このままクリアを乗せるとめっちゃ空気が入るよね。
そうなんです。ストリンガー面はカット時も裏返さなければならないくらいの凸凹感。
このままクリアガラスを乗せて焼成するとストリンガー面とクリアガラスの間に空気を閉じ込めてしまうことに気づいたんです。
さて、あなたならどうしますか?
気泡が入ること前提で通常通りクリアガラスを乗せて焼成しますか?
それとも・・・
6.ストリンガー面を最上部にして焼成
ここで僕がとった方法はクリアガラス(3mm)を最下部に敷きその上にストリンガーデザインガラスを置いて焼成する方法。
つまり、ストリンガ面を最上部にして焼成する事を選択しました。
僕の頭の中ではクリアガラスを3mm厚にすることにより、ストリンガーデザインのガラスと重ねれば6mmとなるのでフルフューズでもガラスは伸びたり縮んだりしない(6mmの法則)ので最上部にデザインを持ってきても変形しないだろうと予測をたてました。
トップ温度で見てみたら・・・
各パーツの間に隙間が・・・
そうなんです。
焼成するガラスの厚みは6mmになってますが、ストライプのパーツはどのパーツも3mm厚。
この各パーツが少しずつ縮んでしまったようです。
どうするのが正解だったのだろう・・・
出来上がったガラスプレート。
もちろんデザイン的には面白くガラスストリンガーの効果的な使い方にはなってるのですが、やはり気になるのは各パーツの間にできた隙間。
これがなければ完璧だったのにな・・・
さて皆さんならどういった焼成方法をとりますでしょうか?
実は先に紹介した2つの動画でも同じ焼成方法をしておりまして、大きいサイズのガラスなので一見分かりにくいですが同じように隙間が開いてしまっておりました。
大きめの気泡が残ること前提でクリアガラスを上に乗せた方がよかったのか。
何か耐火物のプレートで上からプレスする状態を作ればよかったのか。
はたまた元のストライプガラスを制作する時点で何か対策があったのか。
皆さんならどうしますか?
これだからガラスフュージングはやめられない。
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