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100均グッズでガラスフュージング【重曹と珪藻土を使ってガラスの器を作る】

ガラスフュージング

100円ショップにはありとあらゆる物が揃っていて、店内をウロウロしてるだけでも楽しくなってしまいます。

私自身は毎回、
「ガラスフュージングで使えそうな物は無いかな?」

と店内を探索し、これまでシリコンモールドや珪藻土グッズなど見つけてはガラスフュージングで使ってみて、皆さんに紹介させていただいております。

今回は、100円ショップ「ダイソー」で見つけたグッズ2品を使ってガラスフュージングの器を作ってみました。

ガラスフュージングで使う100均グッズは「重曹」と「珪藻土~たまご型~」

今回ガラスフュージングに使用した100均グッズは、

・ 重曹(炭酸水素ナトリウム)
・珪藻土~たまご型~

重曹(炭酸水素ナトリウム)調理器具のコゲ落としや冷蔵庫、レンジ回りの掃除に大活躍の重曹。
清掃から脱臭などにまでも使用でき、「魔法の粉」とも呼ばれる商品です。

珪藻土~たまご型~「珪藻土~たまご型~」は炭入りの珪藻土で、冷蔵庫のたまごポケットの中に置くことができ冷蔵庫内の脱臭出来ると人気の商品。

ドレーピング技法でガラスの器を作る

ガラスフュージングでガラス皿や器を制作する時には、モールドを使ってガラスを曲げる「スランピング」という技法がよく使われます。

これはお皿などの形状になったモールド(型)に沿わせてガラスを曲げることによりガラス器を制作する方法で、多くのガラスフュージング器に使われてる技法です。

これとは逆の考え方で「ラッピング」という技法もあります。
ラッピングはお椀を伏せた形状のモールドの上からガラスを被せるようにしてガラスを曲げる方法で、特にガラス器の外側に光沢を持たせたい場合に使う技法です。

このラッピングと同じ上からガラスを被せる考え方で「ドレーピング」という技法があり、今回はこの「ドレーピング技法」に挑戦いたしました。

ドレーピング技法とはドレープとは布などを垂らした時にできるゆったりとした「ひだ」のことで、テーブルクロスなど掛けた時に出来る布が垂れてゆったりと折れ曲がった部分を想像すると分かりやすいかと思います。

これと同じようにガラスを上から型に垂らしてドレープを模した形状にする技法を「ドレーピング」と言います。

今回の制作工程を動画にしました

ドレープするための板ガラスを作る

まず初めにガラス器の元となるガラスをフュージングで制作します。

色のガラスを組み合わせたり、ガラスフリットやパウダーで板ガラスを装飾したり作り方は自由なのですが今回私が選んだのは・・・

細かい泡入りの板ガラスを作る
1枚の板ガラスの中に無数の細かい泡が入ってるガラス。想像するだけで素敵ではないですか。
そこで今回使ったのが100均グッズの重曹(炭酸水素ナトリウム)なのです。

ガラスパウダーと重曹を混ぜる

フュージング用のガラスパウダーと重曹を混ぜます。

今回使用したガラスパウダーは「ブルズアイ1417 エメラルドグリーン」
透明系のガラスパウダーで涼しげなグリーンになるのが特徴のガラスです。

分量はガラスパウダーをスプーン2杯に対して、重曹を耳かき1杯程度でOK。
重曹を入れ過ぎるとガラスが風船のように膨らんで大変なことになりますのでご注意ください(経験済み)。

クリアガラスの上から茶こしで均等に振る

「ブルズアイ1101 クリア2mm」の上から茶こしを使って均等にガラスパウダーと重曹を混ぜた物を振っていきます。
今回は軽く積もるくらいのイメージで振りました。

クリアガラスで挟んで焼成する

ガラスパウダーを振った上に同じサイズの「ブルズアイ1101 クリア2mm」を置いて、ガラスパウダーを挟んだ状態にします。

そのまま電気炉内へ運び焼成します。
トップ温度は720℃
気持ちとしてはもっと高い温度で板ガラスの角を丸くしたかったのですが、これ以上の温度だとガラスの中で重曹が膨らみ過ぎる危険度が高まります。

また720℃と言えどもジワジワ気泡が増えていきますので、目視で泡の状態を確かめ泡が大きくなる前に720℃でのキープをストップいたしました。

泡入り板ガラスの完成

泡の量もいい感じ。
色合いも狙った通り涼しげなグリーンになりました。泡の位置が少し中央に寄り気味になってるのはガラスの淵の気泡は外に抜けてガラスが溶着し、中に閉じこもった重曹のみが発砲してるのではないかと考えております。

珪藻土たまごを使ってドレーピング

たまご上部をカット

珪藻土たまごはもちろん先が細くなったたまご型。
このままでは先ほど作った板ガラスを上に乗せることが出来ません。

そこで、ノコギリを使ってたまごの上の部分をカットし、ガラスを乗せることが出来る平らな状態にしました。

離型剤、離型紙を使い電気炉にセット

離型剤はもちろんパーフェクトプライマー
スプレー式なのでたまご型でもキレイに離型剤が塗布できます。

電気炉棚板にはもちろん離型紙(セラフォーム)を敷くのですが、今回は珪藻土たまごの上にも離型紙を使いました。

おそらく珪藻土たまごに塗布したプライマーだけでガラスがくっ付いいてしまうことはないのですが、念のため珪藻土たまごの上に乗せるガラスと同じサイズで離型紙をカットし乗せました。

ガラスが曲がるのと同様に離型紙も曲がり完全に離型できるという作戦です。

時に電気炉の中では何が起こるかわかりません。万が一を考えてガラスの安全第一を考えて行動しましょう。

ドレーピングは慎重な焼成温度設定が必要

今回のドレーピングは見てもわかる通り、非常に各部分の温度差が発生しやすい置き方となってます。

ガラスの端、ガラスの中央、珪藻土たまごとの接触部分、ガラスが浮いてる所、珪藻土たまご自体と電気炉内の温度が上がることにより温度差が発生するのは間違いなし。

かなり慎重な温度コントロールが必要となります。

今回使用した温度コントロール
使用電気炉「キルンキング160PKS」

1. 490℃まで3時間
2. 490℃で30分キープ
3. 630℃まで2時間
4. 630℃ 目視で曲がり具合確認
5. 530℃で30分キープ
6. 510℃で30分キープ
7. 490℃で30分キープ

このように温度差の発生しやすさ、珪藻土たまごの耐久性などを考え、かなり慎重な温度コントロールにいたしました。

1. 490℃まで3時間温度差で割れる事を考えて出来る限りゆっくり温度を上げる設定にしました。
使うガラスの大きさ厚みによっては4時間、5時間かけてもいいかもしれません。

2. 490℃で30分キープガラスと珪藻土たまご、そして炉内の温度をなるべく近い状態にしておきたいので30分キープを入れました。ここで一旦足並みを揃えてからドレーピング温度まで上げていくイメージ。

3. 630℃まで2時間ガラス自体は割れにくい温度帯になっていくのですが、珪藻土たまごの耐久性が少し気になったのでゆっくり目で上げることにしました。

4. 630℃ 目視で曲がり具合確認トップ温度で曲がり具合を確認する。浅く曲げたい時には早めにキープを切り上げてもOK。

5. 6. 7. 各温度で30分キープ電気炉160PKSのプロコンは温度を下げる時の時間設定が出来ないため、徐冷も含め各温度でキープ時間を取って温度の下げるスピードをコントロールいたしました。

ドレーピングガラスの完成に感動

電気炉内でガラスをしっかり冷ましてから、いざ電気炉のふたを開けると見事にドレーピング技法によるガラスの器が出来上がっておりました。

珪藻土たまごとの離型も大成功。
するっとガラスが取れてくれて、ひょっとすると離型紙を使わなくとも十分に離型が出来ていたかもしれません。

タックフュージング温度が功を奏する

板ガラスの焼成時に細かい気泡で留めるために設定した温度720℃。

いわゆるガラスが丸くならない温度帯での焼成のため、ガラスの角が丸みを帯びず2枚重ねの状態が分かるままでした。

はじめは「仕方ないよな・・・」という感覚だったのですが、実際出来上がったガラス器を見てみたら、この2枚重ね感にデザイン性が出て逆にいい感じに仕上がってくれました。

ガラスフュージングを楽しもう

今回は普段ガラスフュージングでは使用することのない100均グッズを使ってガラスへの泡入れとドレーピング技法に挑戦してみました。

「少しでもガラスフュージングの楽しさが皆さんに伝われば・・・」と思い、このブログをはじめYouTubeなどでチャレンジしているのですが、実際はやってる本人が一番楽しんじゃってるといういい意味での本末転倒ぶり。

でも、これが皆さんに楽しんでもらえる一番の方法ではないかと思っております。
これからも、より一層皆さんにガラスを楽しんでもらえるよう挑戦し続けますので、皆さんもどんどんガラスを楽しんじゃってくださいね。

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