四角いガラスをまん丸に焼成する必殺技
・ガラスを丸く焼成したいんだけど、どうも上手くいかないのよね
・どうやったらキレイな円形に焼成できるのかしら
・丸くガラスをカットするなんてとてもじゃないけど無理
・ガラスを丸く焼成する方法ないかしら
このところ「ガラスを上手に丸く仕上げることができないんです」という悩みをよく聞きます。
「円形にガラスを焼成する」となると皆さん最初に考えるのが
ガラスを円形にカットして焼成すればキレイな円形ガラスができるはず・・・
もちろんそうすればキレイな円形のガラスが焼成できるのですが、ガラスカットが苦手な方や、ガラスフュージング初心者の方が丸くガラスをカットするのはなかなかハードルが高いものです。
※正直ボクも得意ではない
そこで今回は誰でも簡単に四角いガラスをキレイなまん丸にガラスを焼成する必殺技を紹介したいと思います。
四角いガラスをキレイな丸に焼成する方法
「カワイイまん丸のプリッとしたガラスを作りたい」
ガラスフュージングを楽しんでいると必ず思うのではないでしょうか。
特にペンダントなどのガラスアクセサリーを作る方にとってキレイな円形にガラスを焼成するのは必須項目。
誰もが丸く焼成しようとガラスを一生懸命円形にカットして焼成したことがあると思います。
※少々のガタ付きには目をつむって焼成しちゃえパターンのヤツ
苦労した割には仕上がりがイマイチでと落ち込んじゃうこともあるのではないでしょうか。
四角くカットできればOKってホントなの?
今回紹介する技法ではガラスは四角くカットできればOK
かなり難易度が低く、それでかつキレイなまん丸にガラスを焼成できるという画期的なガラスフュージング。
そう初心者のあなたでも必ずキレイな円形にガラスを焼成することができます。
「いやいや今まで散々四角いガラスでなんども挑戦したけどまん丸に焼成できることなんか一度もなかったよ」
そんな声が聞こえてきそうですが・・・
通常のガラスフュージングの考え方だとなかなか四角いガラスをまん丸に焼成するのは難しい。それはごもっとも・・・
今回は少し通常の考え方とは違った目線で見なければならないようですね。
まずガラスを四角くカットする
今回は2cm角でガラスをカットいたします。
※色ガラスは1×2cmでカット
使用したガラスは
ブルズアイ
・クリアTEKTA3mm(1100-3)
・ターコイズブルー3mm(0116)
・カナリアイエロー3mm(0120)
この3色で重ねて焼成いたします。
クリアガラスが少し多いような気がするのではないでしょうか。
そうなんです今回はこのクリアガラスを多めに使うのがポイントなんです。
大事なのはガラスの重ね方
今回の最大のポイントはガラスの重ね方。
これが全てと言ってもいいのではないかと思います。
下にクリア3mmを2枚、その上に2色のガラスを並べて上にまたクリア3mmを2枚重ね。
こんな重ね方をしたことがある人はなかなかいないと思います。
厚みを計算してみると
3mm2枚に3mmを乗せて、その上にまた3mmが2枚だから合計15mm厚
結構厚く重ねちゃってますよね。
伸びる×表面張力が作り出す丸み
この5枚重ね15mmというイレギュラーな重ね方。
このままガラスを830℃でフルフューズするのですが、ガラスはどうなると思いますか?
これは以前のブログ記事でも説明させていただいたのですが
ガラスはフルフューズの温度帯において6mmの厚みになろうとする
※6mmの法則
ガラスフュージングでのガラスの縮みと広がりの謎にお答えします
ガラスフュージングでのガラスの焼成。そのガラスは縮むのか広がるのかにはちゃんとしたルールがあります。ガラスをフルフュージングで焼成する時の「6mmルール」について実験とともに紹介いたします。このルールを知ることによってガラスフュージングがより一層楽しくなることでしょう。
これにしたがって考えると今回の15mm厚のガラスは6mmの厚みになろうとして必ず伸びます。
そしてガラスは溶けてかなり柔らかく液体に近くなってますから表面張力が働いて丸くなろうとします。
つまり、ガラスは広がって丸くなる
これが四角いガラスがキレイにまん丸になる秘密なのです。
今回の焼成スケジュール
・663℃まで3時間で上げて30分キープ
・830℃まで30分で上げて30分キープ
・482℃まで下げて1時間キープ
・371℃まで2時間で下げる
・電源OFF
2cm角サイズのガラスが約φ4cmに
四角いガラスがキレイな円形になってくれました。
大きさは直径約4cmサイズ。
ペンダントトップなどにも良いサイズではないでしょうか。
15mmの厚みから6mm厚になろうとするとここまで広がるんですね。
今回の内容を動画で解説
クリアで挟むことでもたらす効果
さぁここで疑問を持った方もおられるのではないでしょうか。
なぜ色ガラスを挟んで上と下に分厚いクリアガラが必要なのか
まず下面
もちろん裏から見た時にクリアでないと挟んだ色ガラスの色が分からなくなるというのもあります。
それを前提に底面をよく見ると、クリアガラスの上から挟んだ色ガラスが覆いかぶさっているのがわかると思います。
つまり、挟んだメインの色ガラスが丸くクリアガラスに覆いかぶさる事により表から見える色ガラスがキレイに丸く伸びるのです。
※下のクリアガラスが丸い土台になってる感じ
またその上に乗せていた分厚いクリアガラスはまたその上から色ガラスを覆いかぶさるように溶けてレンズ効果の役割をします。
なのでキレイな円形で表面もクリアコーティングされたようなキレイな丸い仕上がりとなるのです。
ガラスの裏面に離型紙がくっ付いちゃう?
今回のように830℃というような高温でガラスを焼成する時に
「離型紙がガラスの裏にくっ付いちゃうんだけど・・・」
なんて時ありますよね。
そんな時は
焼成前、離型紙に軽くパーフェクトプライマー(離型剤スプレー)をしておくと離型紙がガラスにくっ付くことはありませんよ。
フュージング離型紙を焼成後のガラスの底面に付着させない方法
フュージング離型紙と離型剤の上手な使い方、フュージングガラスの焼成後ガラスの底面が白くなってしまう失敗を防ぐ方法を紹介いたします。フュージングでフルフューズ作品を制作する人や高い焼成温度をよく使う人は必見です。
もっと小さいサイズではどうなのか
ではもっと小さいサイズでも同じようにキレイな円形で焼成することができるのだろうか
先ほどは2cm角を15mmに積んで直径約4cmになりましたので、今度は1cm角サイズのガラスで試してみました。
1cm角厚み9mmで挑戦
下に3mmのクリアガラスを置きその上に3mmの色ガラス、そして上にもう一度3mmのクリアガラスを置いて合計9mm厚。
もちろん使用するガラスサイズは先程より小さいので厚みも上下クリア1枚分少なくして焼成いたしました。
先程より小さめのサイズでしたが、念のため焼成スケジュールは同じに。
もちろんキレイに焼成することが出来ました。
9mm厚が6mm厚になろうとしてガラスが伸びるので、ガラスの広がりも小さめ。
1cm角サイズのガラスが直径約1.5cmサイズになりました。
先の15mm厚から6mm厚になることと比べ厚みが薄いのでガラスの伸びも少なくなります。
少し心配ではありましたが、先の2cm角での焼成と同じように下のクリアガラスに色ガラスが丸みを帯びて覆いかぶさるように伸び、またその上のクリアガラスがレンズ効果をもたらしながら覆いかぶさる状態。
2cm角の時と同じようにキレイな円形を作り出してくれました
比べてみると親子くらいのサイズですね。
誰でも簡単に出来る必殺技
これであれば丸くガラスをカットするのが苦手な方でも、簡単にキレイな円形のガラスを焼成することが出来ますね。
※最低限、四角くガラスをカットできるようにはならなきゃダメだよ(笑)
というわけで今回は
四角いガラスをキレイなまん丸に焼成する方法を紹介いたしました。
今回の写真を見て
あれっ黄色と青のガラスの間に線が入ってるけど・・・
青の中に黄色のストライプに入ってる茶色のラインはどうやって入れたの?
なんて疑問を持たれた方もいらっしゃると思います。
その茶色のライン(リアクティブ)に関しましてはまた近いうちに書きたいと思います。
それでは皆さん、思いっきりガラスを楽しみましょうね。
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