フュージング離型紙を焼成後のガラスの底面に付着させない方法
フュージング離型紙を焼成後のガラスの底に付着させない方法
ガラスを焼成後、ガラスの底面が白くザラついてしまって・・・
そんな思いをしたことはないでしょうか。
電気炉でガラスを焼成後、棚板から取り上げたら離型紙がこびりついていて、洗っても白いザラザラがとれない。
こうなってしまったら、もう研磨機でガラスを削って磨くしか方法はありません。
研磨機は持ってないし、目立ちにくい底面だし・・・であきらめてた方、必見です。
今回は離型紙がガラスに付着しないようにする方法を紹介いたします
なぜガラスの底面が白くザラついてしまうのか?
それは、電気炉での焼成時にガラスと棚板がくっ付いてしまわないように敷く「離型紙」がガラスに食い込んでしまってるからです。
離型紙(セラフォームやセパレートペーパーともいう)はガラスフュージングで必要な離型剤のなかでも、棚板に敷くだけで溶けたガラスが棚板にくっ付かなくするという非常に便利な離型剤です。
焼成前は紙状なのですがガラスフュージング等で高温で焼成すると粉体になり、ガラスとの付着を防ぐ働きをいたします。
焼成ガラスの形状が変わらない温度帯、700℃前後のいわゆるタックフューズの温度帯ではガラスの底面に離型紙がくい込むことはありません。
ガラスの底面に付着するのはガラスの形状が変化する温度帯、800℃などフルューズの温度帯で起こりやすくなります。
フルフューズの温度帯ではガラスはある程度やわらかくなり、表面張力により丸くなろうとするためガラスの底面は縮み、粉体となった離型紙を拾い上げてしまうのです。
参考
ガラスの伸びと縮みの秘密を解説しました
【フュージング】ガラスが縮んだり広がったりするナゾに迫る実験です。
フュージングでガラスが縮む、伸びるのには法則があったのです。「6mmの法則」の通りにガラスは溶けるのか、実験してみました。#ガラスフュージング #フュージング #ポーセラーツ
離型紙を離型するという発想
実は私にもこの発想はなかったのですが、お客様との質問のやり取りの中で教えていただいた一番効果の高かった方法を紹介いたします。
動画で解説「離型紙がガラスにくっ付いちゃうのを防ぐ裏技」
離型紙に離型剤を塗る離型紙がくっ付かないようにするのだから離型紙に離型剤をスプレーしてくっ付かないようにする。
「なるほど」です。離型紙は離型紙、離型剤スプレーは離型剤スプレーとまったく別で使用することしか今まではなかったと思います。
私自身も離型紙は電気炉棚板に敷いて使用し、離型剤スプレーはモールドなど離型紙が敷けないフュージング用の型に使用と完全に分けて考えていました。
たったこれだけでガラスが白くならない
離型紙にパーフェクトプライマーをスプレーするとしないでは、こんなにガラスの状態は変わります。(BULLSEYE 0100 Blackを830℃で焼成)
写真左は離型紙のみで焼成したもの。右は離型紙にパーフェクトプライマーを塗ったもの。
離型紙のみは明らかにくい込んで白くなってしまっております。それに対してパーフェクトプライマーを塗布した方はガラスそのまま真っ黒のままです。
ガラスの形状に注目左の離型紙のみはガラスが角張った形状
右のパーフェクトプライマーありは丸みを帯びた形状
この差は何なのか左のガラスが角張った原因は離型紙がガラスが丸くなるのを邪魔したからです。
つまり、ガラスが表面張力により丸くなろうとしているのを摩擦力と離型紙が巻き込まれることによって邪魔をしてしまい角張った形状となったのです。
逆にパーフェクトプライマーを塗った離型紙はガラスが丸くなろうとする時に離型効果でガラスとの摩擦力が減り、ガラスが丸くなろうとする形状を妨げることがなくガラス自体がなろうとした形状になったのです。
ガラスがきれいに焼成できる抜群の方法
これまで多くの方がこの離型紙がくい込む現象で悩んでいたかと思います。
ガラスの裏面がキレイになるだけでなく、ガラスの形状もきれいに出来る今回の方法。
離型紙に離型剤をスプレーする
たったこれだけで皆さんのガラスの仕上がりが劇的に変わります。
特にフルフューズでのガラスフュージング作品が多い方は是非取り入れていただきたいと思います。
さぁ、ガラスフュージングをもっともっと楽しみましょう
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