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100均ステンレスカップでガラス器を作る!?ドレーピング技法に挑戦

ガラスフュージング

ガラスフュージングの技法の一つドレーピングという技法があるのはご存知の方も多いと思います。

ドレーピングとは
凸状の型の上に板ガラスを置いて加熱し凸型に覆いかぶせるようにガラスを曲げる技法

テーブルの上からクロスを被せるようなイメージでガラスが曲がり、元板の形状によって面白い形状のガラス器ができるのでやってみたい方も多いのではないかと思います。

このドレーピングをするにはもちろん電気炉内の高温に耐えることが出来る凸状の型がいるのですが、ドレーピング専用の型「ステンレスドレイパー」はなかなか国内で流通しておらず入手するのがなかなか難しい状況のため、これまでドレーピングをするのを諦めていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

入手しにくいステンレスドレーパー

でも何とかしてドレーピングで素敵なガラス器を作りたいものです。

同じステンレス製なら専用のステンレスドレーパーを使わなくても使えるものがあるのでは?
そこで今回は市販されてるステンレスカップ、中でも誰でも入手しやすい「100均ステンレスカップ」を使ってドレーピングができるのかに挑戦してみました。

こんなドレーピングにも挑戦してます

今回の内容を動画で解説

100均ステンレスカップでドレーピングに挑戦

まず近所の100均を2件ほど回りましてドレーピングできそうなステンレスのコップなどを探したのですが、なかなかドレーピング専用の「ステンレスドレーパー」のような形状のものは見つかりません。

近い形状となると、流行りのステンレス製の高さのあるコップなどが見つかったのですが、保温性を高めるためなんだか真空二重構造みたいになってて「真空」とか言われちゃうと電気炉で600℃以上に温度を上げちゃっていいものかどうかもわからないので却下。

結局それっぽいステンレス製の容器ということで「プリンカップ」と「マグカップ」を買ってきました。

もちろん使う電気炉は小型の「キルンキング160PKS」なので、高さ、幅など考えてもこれくらいのステンレスカップで丁度いいのではないでしょうか。

さぁやるぞ!100均ドレーピング

まず最初に使ってみるのは「銀河プリンカップ」。
なかなかのネーミングセンスのあるステンレス製プリンカップですね。

このまま逆さに置いてガラスを乗せるとガラスが柔らかく垂れた時に高さがたりず棚板まで到達してしまうので、耐火ブロックを置いて高さを持たせることに・・・

そのままだとガラスが棚板に到達しちゃうので高くした

離型剤は必ず塗りましょう
ステンレスなのでこのままガラスを焼成すると間違いなくガラスがくっ付いてしまいます。

もちろんスプレー式の「パーフェクトプライマー」がベスト。
ステンレスカップと万が一のため耐火ブロックにもスプレーしておきます。

棚板の上に離型紙(セラフォーム)、その上に耐火ブロック、プリンカップ、そしてその上に板ガラスを乗せます。

今回使用したのは「ブルズアイ1132ガーネットレッド」を約10cmでカットしたもの。

ドレーピングの温度

さてドレーピングのトップ温度はどれくらいか。

もちろんガラスの厚み、サイズ、ドレーパーの高さ、狙う形状によって変わってくるのですが、おおよそ600℃~高くても680℃くらいまでだと思います。

今回の例でいくと3mm厚のガラスで10cm角、プリンカップに完全に沿わないように曲げるとなると620℃くらいに設定して目視で曲げ具合を確認する。

なんてところがいい感じだと思うのですが、なぜか僕の設定した温度は670℃。

これ間違いなく温度高すぎ。なぜこんなに高くしたのかは自分ながら不思議です。

トップ温度670℃で電気炉を開けてみたところ・・・

670℃の状態|完全にカップに沿う状態

少し溶けすぎたか・・・
まぁ想定より溶けすぎてガラスが垂れちゃったけど器状にはなってるし、なによりもプリンカップが大丈夫そう。
まぁいいでしょう。

しっかり徐冷をいたしまして冷ましていざガラスを取り出そうとしたら・・・

と、と、とれん・・・

なんとまぁ、温度が高く溶けすぎたせいでガラスがプリンカップを抱えてしまったんです。

大失敗・・・ (その後、カップを外そうとして僕が起こした失態に興味がある方は動画を観てね)

これはリベンジするしかないでしょ

初回の焼成は大失敗に終わったのですが、なんとステンレスプリンカップがドレーピングに使えることがわかりました。

これはリベンジするしかないでしょ。

ということで用意したのが以前動画で使うためにフルフューズした板ガラス。ブルズアイのホワイトにストリーキーガラスを挟んで焼成した板ガラスです。

今回ひと工夫加えてみました

先程と同様に耐火ブロックの上に離型剤をスプレーしたプリンカップを乗せて、板ガラスを乗せる前にひと工夫。
離型紙を使ってみた先程の焼成ではガラスがカップを包み込んじゃって取れなくなってしまったものの、ガラス自体は離型剤のおかげでプリンカップとくっ付いてなかったのですが、

離型紙をつかえばもう一段階保険が効くよね

よりガラスがくっ付きにくくなるのは間違いないと思います。

トップ温度は650℃に設定。絶対成功してやる

今回設定したトップ温度は650℃。先ほどの失敗経験を活かしトップ温度は低めに設定。

使用したガラスが先ほどの倍の分厚さ6mmなので、妥当なラインだと思いました。

ただ今回はどうしても失敗したくなかったので600℃超えたあたりから時々目視で曲がり具合を確認する慎重さ。
630℃なんと630℃でもうここまで曲がってた。予想よりも早く曲がってたんすよね。
危ねぇ、危ねぇ、設定した650℃まで上げてたら先ほどの二の舞になった恐れ・・・ 目視大事。
もちろんここでストップして徐冷もしっかり入れて冷ましましたよ。

うん。いい感じでドレープできてる。これは期待大。

100均プリンカップ恐るべし

やりました!

リベンジ成功です。面白いガラス器になってくれました。

プリンカップも問題なく、これは何度でも使えそうですね。

マグカップでも挑戦してみたよ

プリンカップは大成功となると、マグカップも期待が高まります。

問題なのはこの取っ手の部分。もちろんこのままガラスを乗せて焼成すれば取っ手の部分の形に沿ってガラスが曲がってブサイクなことになっちゃう。

そこは100均簡単にとれちゃった
なんとペンチでつまんで引っ張ったら簡単に取っ手の部分が取れちゃいました。さすがの100均クオリティ。
ディスってませんよ、心から喜んでます。

同じようにガラスを乗せてドレーピング

マグカップの場合、すでに高さがあるので先ほどのように耐火ブロックなどは使わず離型剤をスプレーしてそのまま棚板に置きました(必ず棚板に離型紙は敷くんだよ)

さて今回のマグカップは底面の面積も広いのでガラスサイズも大きくしまして、3mm厚の「ブルズアイ2020クリア・サンフラワーイエローST」を13cm角にカットして一度焼成したものを乗せます。
※なぜ一度焼成したのかは、動画で解説してるので観てね。

今回は630℃で設定して目視

今回は3mm厚ということもあって、先ほどより早めに垂れてくるだろうなと思いましたのでトップ温度は630℃。
610℃過ぎあたりからジワジワきましてトップ温度の630℃ではすでにいい感じに垂れてます。

いい感じでドレープできたのではないでしょうか。

100均マグカップでも問題なくドレーピング出来ました。

100均ステンレス恐るべし

まさかこんなにキレイにドレープできるとは思ってもみなかったので驚きの方が大きかったのですが、100均ステンレスなかなか使えるヤツでした。

ご注意いただきたいのは、全てのステンレス商品でドレーピングできるかどうかはわかりません
なかには変形してしまったり、メッキが剥がれたり、なんて商品もあるかもしれませんので、もし市販のステンレス製品を使う場合にはくれぐれも注意していただき、自己責任でお願いいたしますね。

というわけで今回は100均ステンレスカップでドレーピングに挑戦してみました。
これからもワクワクしちゃうこといっぱいやっていきたいと思います。


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