同じ焼成温度でもこんなに違う!!|ブルズアイとモレッティを焼き比べてみました
ガラスフュージングを楽しんでる皆さんは、いろんなメーカーのフュージング用ガラスを試したり使ってると思います。
各ガラスメーカーの膨張率が違うことはみなさん知っておられて使い分けてると思うのですが、各メーカーのガラスの溶け具合に注目したことはあるでしょうか。
そうなんです。皆さん意外と溶け具合には注目せず「あれ今回溶けすぎたな・・・」とか「思ったより溶けなかったな・・・」なんて思いながらも、どのガラスメーカーのガラスでも毎回同じ焼成プログラムで焼いちゃってる方も多いのではないでしょうか。
実は・・・
各ガラスメーカーによって溶け具合は違います。細かく言えば使うガラスの色によっても溶け具合はかなり変わります。
というわけで今回はガラスフュージングで人気のガラスメーカー「ブルズアイ」と「モレッティ(エフェトレ)」のガラスを焼成比べして、各メーカーごと使う色も含めどれだけ溶け具合が違うのかを検証してみました。
今回の内容をYouTubeで解説
人気のガラスメーカー「ブルズアイ」と「モレッティ(エフェトレ)」の溶け具合はこんなに違う
まずは簡単に2つのメーカーを紹介いたします。
ブルズアイ(Bullseye Glass co.)
アメリカのガラスメーカー。
世界一の色の種類と形状であらゆるニーズに応えれるガラスを作ってるメーカー
膨張係数90
モレッティ(エフェトレ effetre)
イタリアのガラスメーカー。現在はモレッティ社からエフェトレ社に変わったが、通称は「モレッティ」が一般的。何と言っても可愛いガラス「ミルフィオリ」が人気。
膨張係数104
各メーカーの溶けやすい色と溶けにくい色で比べる
この2つのガラスメーカーのガラスを同じ電気炉で同じ温度で一緒に焼成して、各温度帯でどれくらいの形状になるのかを見ていきます。
用意したのが・・・
モレッティ
「432 Red」 「204 White」
ブルズアイ
「0124 Red」 「0113 White」
どちらのメーカーのガラスとも「赤」と「白」
そうなんです。同じガラスメーカーだとしても、ガラスには溶けやすい色と溶けにくい色というのがあります。赤や黒などは溶けやすい色、白は溶けにくい色なんです。
参考記事
【ガラスフュージング】ガラスの色と摩擦でガラスの溶け具合が変わるってホントなの?
ガラスフュージングで「あれっ!?いつもの焼成プログラムなのに今回ガラスが溶けすぎじゃない?」なんて思ったことないでしょうか。逆に「もうちょっと溶けると思ってたのに・・・」なんてこともあるかもしれません。
そして、各ガラスそのまま1枚のみとクリアを重ねた皆さんがよく使う焼成方法で比べてみます。
電気炉に並べるとこんな感じ。
棚板が15cm角なので配置がややこしくてごめんなさい。
どんな並びか文字入れしておきます。
「モ1」モレッティー1枚 「モ2」モレッティクリアとの2枚重ね
「ブ1」ブルズアイ1枚 「ブ2」ブルズアイクリアとの2枚重ね
この状態で一緒に温度を上げていき各温度帯でのガラスの形状を見ていきます。
チェックする温度帯ごとの形状を見ていこう
今回チェックする温度帯は・・・
600℃ 650℃ 700℃ 720℃ 750℃
だいたいガラスが変化する前から溶けて丸みを帯びるまでのキリのいい温度で見ていきます。
600℃
各ガラス全く変化はありませんね。
細かいことを言うと、見た目ガラス自体はカッチカチのままですが、内部構造的にはすでに流動状態にはなってます。
650℃
う~ん・・・ まだガラスの形状は変わりませんね。若干モレッティの2枚重ねがくっ付きかけてるかなぁって気配。
700℃
はい来ました。モレッティに変化が見え始めました。
モレッティの赤にかなりの変化が出てますね
そうなんです。赤の方が溶けやすいんですね。
モレッティの赤はもう角が丸くなり縮みだしてきていて、白はまだ角が少し溶け始めたくらい。
モレッティの2枚重ねは溶着が進んでますね。ここでも赤の方が先に溶着が進んでます。
これに対してブルズアイの赤にクリアを乗せたやつは、溶着はしてきているもののガラスの角は残った状態。
やはりブルズアイよりモレッティの方が早く溶けることがわかりますね。
720℃
わ、わ、わ・・・かなり溶け具合に変化が出てきました。
上段中央、モレッティの赤がすごく溶け縮んできてます。隣左上のモレッティの白は溶けてきているもののまだ縮んできてないですね。
モレッティの赤と白ではこんなに違いがあるんですね。
なんとこれに対してブルズアイの赤は溶け始めてきているものの角は割としっかり残り、縮みはまだありません。
720℃でモレッティとブルズアイではここまでの溶け具合の差が・・・
この時点でも使うガラスによって焼成温度は変えないといけないことがわかります。
750℃
これはかなりの変化が出てますね。
モレッティ1枚の赤はもう完全に縮んでます。2枚重ねもフルフューズ状態でプリンプリンのガラスになってます。
これに対してブルズアイの赤はやや縮み始めたくらい、2枚重ねに関してはタックフューズの域です。
ガラスメーカーでこんなに溶け具合に差がでるんです。
また白と赤の溶け具合にも注目ですね。各ガラスメーカーとも白は明らかに溶けにくい、これに対して赤はめっちゃ溶けやすい。
自分の狙いたい形状にするには、ガラスの色ごとにも使う温度帯をいかに把握するかが大切になってくるというのがわかります。
各メーカーの特徴と色による特徴を把握すること
いかがだったでしょうか。
ガラスメーカーとガラスの色によって同じ温度でも溶け具合が全く違うことがお判りいただけたかと思います。
もちろんこのまま温度をドンドン上げていけば最終的にどのガラスもフルフューズで同じ状態にはなりますが、ご自身が作品を制作する上で狙った通りのガラスの形状を目指すには、使用するガラスメーカーやガラスの色によっての溶け具合を把握することが大切なんです。
「タックフューズなら何℃」
「フルフューズなら何℃」
ってどのガラスでも同じ焼成温度でプログラムしてる人もまだまだ多いとは思います。
ただガラスの特徴をしっかりと把握し、いつも同じ温度で焼いちゃうことから卒業することが、上達の秘訣かもしれませんね。
一度みなさん、自分が使うガラスや色の溶け具合とご自身の焼成プログラムの再確認をしてみてはいかがでしょうか。
これからもガラスを楽しんで行きましょう!
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