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ガラスフュージング電気炉の温度ムラを確認する方法

ガラスフュージング

新しい電気炉を購入したり譲り受けたりした時、まず最初にやっていただきたいことはこの3つです。

・空焼き(空焚き)
・温度上昇と下降時間の計測
・電気炉内の温度ムラの確認


空焼き(空焚き)特に新しい電気炉では炉材に水分が残ってたり、有機物が含まれてたりしますので空焼き(空焚き)することによって水分やガスを飛ばす必要があります。

温度上昇と下降時間の計測電気炉でよく使うであろうトップ温度(800℃)まで何分で上がるのか、またトップ温度からスイッチオフで500℃近辺まで、また室温までどれくらいの時間がかかるのかを知ることによってその電気炉での最適な焼成プログラムを決めることができます。

電気炉内の温度ムラの確認電気炉によってはガラスを置く場所によって溶け具合が変わる場合があります。
熱源や扉の位置などが影響する場合が多く、温度ムラを確認することによって焼成プログラムや棚板にガラスを置く場所を変えたりして失敗を防ぐことができます。

空焼き(空焚き)と上昇下降温度の計測に関しては電気炉の取扱説明書に記載されてることも多く、皆さん実行されてることでしょう。
しかし、電気炉内の温度ムラに関しては確認せず、アバウトに使ってる方が多いようです。

温度ムラの確認はガラスフュージングで失敗しないためにも重要なポイントとなりえますので今回は、

電気炉内の温度ムラを確認する方法を紹介いたします。

ガラスフュージング電気炉の温度ムラを確認する方法

ガラスフュージングで使用する電気炉といっても炉内サイズや熱量、熱源や扉の位置の違いなどにより様々なタイプがあり、どれも温度ムラが発生しにくいように設計されてはいるのですが、実際は使用状況や使う温度帯などによって温度ムラが発生してしまうことがあります。

電気炉160PKSで検証しました

ガラスを棚板上のあらゆる場所に置く

温度ムラの確認をするには電気炉内でガラスを置く場所が重要です。
ガラスを適当な位置に1枚だけとか棚板いっぱいのサイズで1枚とかで置いてしまうと温度ムラの確認は難しくなってしまいます。

棚板全体にガラスを置く

棚板の四隅、両端、真ん中と各位置に同じサイズのガラスを並べて温度ムラをわかりやすく配置しましょう。

今回は写真のように9枚並べて各ガラスがどのように溶けるのかを確認し温度ムラを検証することにしました。

ガラスフュージングでのプログラムで焼成する

温度ムラを検証するためには、ご自身がガラスフュージングで使う焼成プログラムで焼成しなければなりません。
ただ単に適当に棚板にガラスを置いて「800℃まで上げてみよう」では温度ムラ確認はできません。

たとえば・・・
1.490℃まで1時間で上げて10分キープ
2.780℃まで上げて10分キープ
3.500℃まで下げて30分キープ

こんな感じで実際にご自身がガラスフュージング作品を制作する工程でのプログラムで確認しましょう。

またトップ温度を800℃以上になるように設定してしまうと、ガラスが丸くなってしまい温度ムラの確認がしにくくなるので、トップ温度は760~780℃あたりで確認してください。

今回の実験を動画で解説

ガラスの溶け具合を確認する

温度ムラはほぼ感じられない

焼成プログラム終了後のガラスを見て、温度ムラがあるのかどうかを確認しましょう。今回の実験で使った電気炉「キルンキング160PKS」ではほぼ温度ムラが無い状態でした。

炉内が狭く(棚板は15cm角)熱効率が良いこと、またトップハット開閉式のサイドファイヤーシステムでというのが良かったのだと思います。

電気炉160PKSの仕様を紹介した記事

温度ムラの検証でわかること

このように電気炉内での温度ムラ実験をすることによって、今後のガラスフュージングでの焼成方法を再確認することが出来るようになります。
たとえ温度ムラが出てしまう電気炉でも

「今回のガラスサイズなら温度ムラのある部分から少しずらしてガラスを置こう」
「フルフューズで丸いガラスを作るので、トップを高めにして温度ムラを気にせずガラスを置こう」

などのように電気炉の特性をわかった上でのプログラミングやガラスの置く位置
で失敗を防ぐことができます。

また、温度ムラが出にくい電気炉で突然焼成ムラが出始めたりしたら、熱源の一部が損傷して消えてたりなどの電気炉の故障などの可能性もあります。

早ければ修理で済んだのに、気付かずに使用を続け電気炉ごと買い換えないと・・・なんてことも起こりえます。

このように焼成実験や焼成データを取ることは、ガラスフュージングでの失敗を少なくするのはもちろん、電気炉の故障や不具合の早期発見にもつながる重要な項目です。

ガラスフュージングでの良き相方の性格を知り、息を合わせて最高のパフォーマンスをしましょう。

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