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【裏技】100均Seria(セリア)の珪藻土グッズでガラスフュージングに挑戦

ガラスフュージング

ガラスフュージングでの焼成実験というのは結構楽しいものです。
色んな技法を試したり、「こうやったらガラスはどのようになるだろう」など実験するだけでもワクワクします。

たとえ失敗してしまってもガラスの勉強になったり、今後の制作のヒントになったりと焼成実験で得られるものはとても大きいものです。

今回は、私がどうしてもやってみたかった「POT MELT(ポットメルト)技法」を小型電気炉で試すために「100均の珪藻土グッズを使う」という裏技焼成方法を紹介いたします。

100均Seria(セリア)の珪藻土グッズでガラスフュージングに挑戦

今はガラスフュージングもYouTubeなどで色んな技法が紹介されており、
「これやってみたいなぁ」
なんて思うことが結構あると思います。

私自身も「POT MELT(ポットメルト)」という技法をYouTubeで見た時、
「スゲー!これは面白そう、やってみたい」
と思いっきり惹きつけられてしまいました。

POT MELT(ポットメルト)技法とは

ポットメルト技法

底に穴の開いた植木鉢やボウルモールドの中にガラスを詰めて電気炉で溶かし、底穴から垂らしたガラスが様々な模様のガラスを作りだすという技法。

面白い技法なのですが問題は、植木鉢やモールドを上に設置しガラスを垂らすので大きい電気炉が必要だということ。
大きく深さのある200Vの電気炉であれば問題ないのですが、家庭用100Vの電気炉の炉内サイズだと同じようには出来ません。

また海外ではこのポットメルト専用のモールドやキットなども販売されてるのですが国内での入手は難しく、小型電気炉ユーザーにはまず無理な技法なのです。

代用できる物を探して見つけたもの

ホームセンターやネットショップなどで代用できる物をいろいろ探したのですがなかなか見つかりません。
半ばあきらめかかった時にたまたま別の用事で立ち寄った100円ショップSeria(セリア)でふと目に止まったものがありました。

珪藻土コースターとリング

珪藻土グッズ「湿気の吸収がスゴイ」と、このところ流行っている珪藻土商品。
塩や砂糖の容器に入れて湿気で固まるのを防ぐための商品だったり、コースターなど100円ショップでもよく目にいたします。

湿気取りとして注目されてる珪藻土なのですが、実は珪藻土コンロ、珪藻土七輪などに使われる燃えにくく高温までの使用が可能な素材。
つまり、フュージング電気炉の中でも使えそうな素材なのです。

材質表記を見たら、「これは使える」

なんとこの珪藻土リング、材質表記が
石膏70% 珪藻土30%
珪藻土は高温まで大丈夫な上、石膏はガラスを溶かすパートドヴェールでも使用するようにガラス用の耐火物として使うもの。

そしてこの珪藻土リングの形状。真ん中に穴の開いたドーナツ型。
この上にガラスを置いて穴からガラスを垂らせばポットメルト技法がきっとできるはず・・・

リングを支える土台を探す

珪藻土リングを使用してポットメルトに挑戦することにしたものの、問題は珪藻土リングを高い位置で支えるための土台。

耐火ブロックを並べて上に乗せた場合、ガラスの着地部分の面積が狭く、耐火ブロックにガラスが付着してしまう恐れがあり、なにか飛び込み板のように空中にせり出したような土台が必要。

またも100均で見つける

まさかこんなに早く見つかるとは、同じくセリアの店内をウロウロして見つけたのが「スリムボトルハンギングフック」なる物。
元々はお風呂場でシャンプーボトルなどをぶら下げるための物なのですが、穴のサイズが珪藻土リングにジャストフィット。
後ろの部分をペンチで引き延ばし土台として使用することにしました。

今回の挑戦を動画で解説

溶けたガラスが作り出す神秘的な模様

今回使用する電気炉はキルンキング160PKS。
15cm角の棚板サイズとコンパクトな電気炉ですが上蓋開閉型のハットタイプなので、今回のミニポットメルト技法には使えます。

ステンレス土台の上に珪藻土リングを置いて、オモリ代わりに耐火ブロックを置いて固定。
その上に数色のガラスを置いて900℃まで加熱します。

トップ温度900℃、ガラスが上から垂れてくる

900℃手前くらいから珪藻土リングの穴から溶けたガラスが垂れてきます。
トップ温度900℃でキープを続けると、垂れたガラスは棚板の上に溜まり表面張力で丸くなります。
ある程度ガラスが落ちきったら電気炉の温度を下げていきました。

まさかの悲劇!?でもガラスは大丈夫

ガラスが冷めてから電気炉を開けると、目の前にとんでもない光景が広がっておりました。

黒い破片がそこら中に散らばっている。

土台に使ったステンレスが高温で酸化腐食し、表面が剥がれ落ちたのが原因のようです。ステンレスと言えどもさすがに900℃はキツかったのかもしれません。

ただし、ステンレスの腐食片が散らばったのは炉内の温度が200℃付近から冷めるまでの間だったので、出来上がったガラス自体には影響が及びませんでした。

その後、2回にわたり同じ方法でガラスを制作しましたが、ステンレスの腐食片は毎回飛び散り、ガラスはキレイに仕上がるものの毎回掃除が大変。
これではいけないと、再度制作方法を模索いたしました。

珪藻土コースターに穴を開けて再挑戦

さすがにステンレスの土台はあきらめ、より本当のポットメルト技法に近い形でガラスを制作しようと思い、今度は同じく100均珪藻土グッズの「珪藻土コースター」を使うことにしました。

材質は珪藻土リングと同じく石膏と珪藻土。このコースターも電気炉内で使えそうです。

穴を開けてその上に囲いを付ける

まずは珪藻土コースターにガラスを垂らすための穴をハンドリューターで開けます。石膏と珪藻土で出来てるので割と簡単に穴が開いてくれます。

3mm厚のファイバーペーパーの中央を四角にくり抜き、4枚重ねてガラスを入れるための囲いを作ってみました。

これであればガラスの量も増やせるし効率的に穴からガラスが垂れてくれそうです。今回はピンク、レッド、イエロー、クリアのガラス端材を詰め込んでみました。

本格的なポットメルト技法に近づいた

珪藻土コースター自体が割と面積が広いので、耐火ブロックを2個並べてまたぐように設置すると、本格的なポットメルト技法にかなり近くなった感じ。

これであれば黒い腐食片は飛び散ることもないし、出来上がるガラスのサイズも大きくできそうです。

温度の上げ下げは慎重に

先ほどの珪藻土リングと比べて注意しなければいけないのは温度の上げ下げ。
珪藻土コースターは面積も広く、急激に温度を上げ下げすると温度差で割れる可能性があります。
特に今回の設置方法だと

・ガラスブロックと接触してる所
・宙に浮いてる所
・直接、熱が加わるところ(表面)
・ファイバーペーパーで隠れてる部分

と1枚の珪藻土コースターで非常に温度差が発生しやすい状態になっており、
電気炉の温度が急上昇すると温度差でパキッといってしまいそう。

490℃まで3時間なので今回はひとまず、490℃まで3時間で上げ、20分キープするせっていにいたしました。これであれば各場所温度差を少なく上昇させることができます。

900℃までも1時間半ガラスであれば500℃を越えてくれば割れることはほぼ無いのですが、今回は初めて使用する珪藻土コースター。
500℃以上でも温度差で割れる可能性もありそうなので、トップ温度900℃までも1時間半かける慎重ぶりで進めました。

温度を下げる時も慎重に残念ながら今回使用した電気炉、キルンキング160PKSは温度を下げる時の時間設定は出来ないので、温度はそのまま下げないといけません。

このような場合には段階的に温度のキープ時間を設定して、温度差を少なく温度を下げていくようにします。
今回はガラスの徐冷も含め珪藻土コースターがが温度差で割れてしまわないよう
530℃で20分
490℃で20分

と段階的にキープ時間を設けてみました。

ついに完成、ミニポットメルト技法

完全に冷めてから電気炉を開ける完璧と言ってもいい仕上がり。
画像で見たポットメルト技法のミニミニ版の完成です。
ガラスのサイズも大きくなり、ガラスが垂れて重なるときに作り出す模様もとてもキレイに仕上がってくれました。

今回は100均の珪藻土グッズを使うという一見とんでもないチャレンジではありましたが、珪藻土グッズに含まれる材質を見ての確信や、ステンレスの酸化腐食、また炉内温度と珪藻土コースターの温度差を無くすための方法など、新たに知ることができ、とても楽しくガラスフュージングをすることができました。

また、ガラスフュージングを楽しんでおられる方、作品を制作されてる方になにかしらのヒントになってくれればという思いでチャレンジしてみました。

やればやる程どんどん楽しくなるのがガラスフュージング。
皆さんもいろいろチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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