フュージング電気炉からガラスを引っ張る!?|ツイストケーン&ガラスストリンガーを作ってみた。
このブログの読者さんはご存知だと思いますが…
私、フュージング電気炉「キルンキング160PKS」を世界で一番使っている男でございます。
コンパクトでベストセラー電気炉として名高いこの「キルンキング160PKS」。
過去に一世風靡した電気炉「クイックファイヤー(雪んこ)」の上位交換とも言えるこの電気炉でございますが、一体どこまでのキルンワークができるのか?皆さん興味津々かと思います。
そこで今回、キルンキング160PKSの可能性を探る意味を込めまして、通常とは全く違った使い方に挑戦してみることにいたしました。
2024年2月リニューアル
「キルンキング160」はフルプログラムコントローラー付属となりました。
【ガラスフュージング用小型電気炉「キルンキング160NF」】
プログラムコントローラーが独立したタイプで 4パターン(1プログラム8セグメント)の焼成プログラムの入力が可能です。電気炉&コントローラー使い方動画プレゼント
これからのガラスフュージングはベースガラスの自作が大事になる
最近ではガラスフュージングを楽しまれる方がかなり増えまして、毎日SNSでもかなりのガラスフュージング作品を目にする機会が増えました。
皆さんいろんな色のガラスを使い、組み合わせ、焼成、加工し作品にしておられますが、どうも最近では同じような作品が増えてきているように思います。
つまり、同じメーカーのガラス、同じ加工器具、同じモールドなど日本国内で販売されてるガラスや資材は種類が限られており、結局皆さん同じ物を同じ工程で制作するとなるとどうしても似た作品になってきてしまう。
これに悩まれてる方も多いのではないでしょうか。
ここで大事になってくるのはベースとなるガラスやパーツを自作してそこから作品に仕上げるということ。
同じガラスメーカーのものを使っても、そのガラスそのものをベースとして使うのではなく、ひと手間かけてベースガラスをデザインしたり、ベースガラスを作るためにガラスパーツを作り自分のオリジナルガラス作品を作り出すということがこれから本当に大事になってくると思います。
今回の内容を動画にしました
オリジナルのガラスストリンガーを作ってみる
少し堅苦しい文章になってしまいましたが、要は今回はオリジナルのパーツを電気炉キルンキング160PKSで作ってみようという試み。(最初から簡単に言え!)
その中でもまずはオリジナルのガラスストリンガーを作ってみようというわけです。
ガラスストリンガーとは…
フュージング用のガラスを細長い棒状にしたもので、ガラスフュージング作品の装飾に使われるガラスパーツです。
このように曲げて装飾として使ってみたり、そのまま並べて細いストライプガラスを作ったりとストリンガーを使うことによって作品のバリエーションを広げることができます。
でも少し残念なのはこのガラスストリンガー、色の種類もある程度あるのですが国内流通では板ガラスと比べるとかなり色数は少ないということ。
それであれば自分で作れば良くね?
おいおいどうやってガラスストリンガーを作れというのだ…
ガラスを溶かして引っ張り伸ばせば細長いガラスになるんじゃね?
確かに。できそうな気もする。
やってみましょう。
ガラス端材を溶かして引っ張る
まず用意したのは端材ガラス。
この端材ガラスをキルンキング160PKSで溶かして何かで挟んでニューンと伸ばすことにいたしました。
ニューンと伸ばすといっても電気炉160PKSの棚板の長さはたったの15cm。
この距離ではニューンどころか少し伸ばしたら即終了。とてもじゃないがストリンガーほどの細さには引っ張れません。
そこで考えたのが…
電気炉の外までガラスを引っ張ってしまえ!!
そうです。電気炉のフロント部分にコンクリートのプレートを3枚並べました。
これであれば電気炉からニューンとガラスを伸ばすことができますね。
(無茶とか言うな)
さぁガラスを溶かしましょう。棚板にパーフェクトプライマー(離型剤)を満遍なくスプレーする。
そして針金で棚板を括り電気炉にセットする。
棚板の上にある針金部分を端材ガラスで挟む。
端材ガラスの先端に針金で作ったフックを挟む。
棚板に針金を括ってそこにガラスを挟んだのには理由があります。
何もなしでガラスを溶かしてガラスを引っ張ろうとした場合、溶けたガラスは何かで固定しておかないと一緒に着いてきてしまいガラスを引っ張ることが出来なくなってしまうんです。
つまりこの括りつけた針金に挟んで溶かすことによってここにガラスを留めておこうという作戦なのです。
そして最後につけたフック。
これはもうお分かりでしょう。このフックに引っ掛けてガラスを引っ張るためのものです。
このまま温度を上げれば溶けたガラスからフックが出た状態となって、引っ張るときに引っ掛けやすくなりますよね。
さぁ、トップ温度830℃まで上げていきます。
830℃といえばガラスもかなり柔らかくなり引っ張ることもできる温度だと思います。
さぁ引っ張りますよ。
用意したのは先端を軽く曲げた針金とそれを挟むプライヤー。
つまり、この針金をプライヤーで挟み、ガラスついたフックに引っ掛けてガラスをニューンと引っ張ろうという魂胆です。
おぉぉぉぉ!引っ張れましたね。かなり細く引っ張ることができました。
これであればどんな色でもストリンガーを作ることができますね。
でもよくみてみると…
平たく溶けたガラスを引っ掛けてそのまま真っ直ぐ引っ張っているので形状が細く平たいガラスになってます。ストリンガーよりヌードルと言った方が良いかもしれません。
なんだか面白くないな
できたー!!ばんざーい!!といきたいところなんだけど…
ただ引っ張っただけだとなんだか面白くない。
もう少し面白いこができないか…ということで登場させたのが、
記憶にも新しいのではないでしょうか。
同じくキルンキング160PKSでガラスを引っ張りツイストストリンガーを作ったことを。
そうです、このブログでも以前紹介いたしました。電動ドライバーを使ってガラスをネジネジツイストさせてケインを作ったよね。
今回それの発展系。もっと長くネジネジしながら引っ張ってやろうという作戦です。
フュージング電気炉でガラスをねじりたい!電動ドリルならどうよ?
「ガラスフュージングでガラスをねじることはできるのか」ホットワークではレース棒やケイン、ムリーニなどのキレイなガラス棒を作ってそれを元に素敵な作品に・・・羨ましすぎますよね。どうにかしてフュージング電気炉で作ることは出来ないのだろうか・・・。このチャレンジに使ったのはまさかの工具でした。これだからガラスはやめられない。
電動ドライバーで回転させながらガラスを引っ張る
さぁ、今回は2色のガラスを使います。
ブルズアイ社のフュージング用ガラス、0301ピンクと0137フレンチバニラ。
それも端材です。
こちらも先ほど同様に針金で括った棚板にガラスをセットして、針金フックをつけて…
トップ温度830℃で溶かします。
さぁ、ここで登場するのが電動ドライバー。
はい。電動ドライバーの先端に先ほどの針金を巻きつけて装着。
つまりスイッチを握ると引っ掛ける針金がクルクル回る仕組みです。
さぁ溶けたガラスについてるフックに引っ掛けて・・・
くるくるビヨーーーーーン
うおぉぉぉぉ!!伸びました伸びました。ツイストされたガラスがニューンと伸びました。
ツイストケインの出来上がり!そして長く引っ張ったため先端は細く2色がツイストしたガラスストリンガー状になりました。
これは使える。
オリジナルのガラスケインとストリンガーが作り放題ですね。
このストリンガーやケインを使ってベースガラスを制作し、ガラスアクセサリーパーツにしたりガラス皿にしたり、あなただけの作品が作れますね。
誰もが作りたいオリジナルの作品
さて今回は小さい電気炉「キルンキング160PKS」の可能性を探るということで、オリジナルパーツをガラスで作ることに挑戦してみました。(少々危険も伴うのでマネする人は自己責任でね)
まさか電気炉の外でガラスを作ることになるとは思わなかったのではないでしょうか。
最近、「小さい電気炉しかないから大したものが作れなくて…」なんて言っちゃう人がいますが、そんなことはないない。
たとえ小さい電気炉でもアイデアと工夫次第でまだまだ出来ることはたくさんあると思いますよ。
自分で勝手に可能性を制限しちゃわないこと。
これからのガラスフュージングに大切なことかもしれません。
皆さんもガラスフュージングの可能性を広げていきましょうね。
人気記事 【初心者向け】ガラスフュージングの始め方|必要な道具と消耗品