ガラスフュージング失敗から生まれた不思議なガラス
ガラスフュージングを楽しんでる皆さんはガラスを焼成した時、思っていたのと全く違った色になってしまったことはないでしょうか。
誰もが一度は電気炉を開けて「ええーーっ!なんでこんな色に!?」という経験があると思います。
今回はそんな思った通りにはならなかったんだけど逆に面白いガラスが出来上がった話にしたいと思います。
失敗焼成した不思議な色のガラス
ある日、動画ネタ用にガラスを焼成するついでに、ガラスの端材を隅っこで焼成いてみました。
出来上がったガラスを見てみたら・・・
とても不思議な色合いで光が反射すると茶色に、光が通ると水色に・・・
これは興味深いですね。
もちろんこんな色はカタログにもありませんし、この色での販売はされておりません。
でも実際はガラスフュージング用ガラスのメーカー「ブルズアイ社」のガラス。
なんと答えは
「1215 ライトピンク」
そうなんです。本来であれば鮮やかな透明系のピンク色になるガラスなんです。
今回の内容を動画で解説
ピンクのガラスの焼成方法
さてこのピンク色のガラスの焼成方法。これにはひとクセありまして、焼成温度コントロールが他のガラスと違います。
「1215 ライトピンク」というこのガラス。焼成前の元ガラスは少し青みがかった透明で電気炉で焼成することによってキレイなピンク色になるガラス。
いわゆる「ストライカーガラス」と呼ばれる、焼成することによって本来の色を発色するガラスなんです。
ただしこの「1215 ライトピンク」。
本来のキレイなピンク色にするには他のガラスではあまりしない温度コントロール方法が必要なんです。
約660℃で2時間キープする
電気炉で温度を上げるときに一度660℃付近で長時間のキープが必要なんです。
これはガラスに色をつけるために金が使われているガラスに共通する焼成方法で他にも
1311 クランベリーピンク
1824 ルビーレッドティント
1831 ルビーピンクティント
などのガラスがそれにあたります。
フュージング用ガラス(ブルズアイ)商品ラインナップ|グラクラマーケット
フュージング用ガラスを10cmから販売いたします。フュージング材料通販のグラクラマーケットではブルズアイガラスを焼成しやすいサイズから販売いたしております。ガラスフュージング用板ガラスは膨張係数を合わせて使用してください。
どうして660℃でキープが必要なのか
ピンクになる理由を出来るだけ簡単に説明したいと思います。
このガラスは金の結晶核が成長することによってピンクに発色いたします。
金の原子が集まってそれが成長すると光の三原色でいうところの緑や青の光を吸収。そうしてピンクに見える・・・
※全然簡単な説明じゃないね
まぁ、ピンクに見えるように結晶を成長させないとダメよということなんです。
※これまた急に簡単になったな
660℃で2時間キープすることにより、金の結晶核を成長させてピンク色にしようということなんです。
※もうこれで納得してくれ
ピンクでなく不思議な色になったのは・・・
さて、話を戻しましょう。
最初にお見せした不思議な色のガラス。このガラスを制作した時の温度コントロールを確認いたしましたら
780℃まで一気に温度をあげる
660℃あたりでのキープ時間はとっておりませんでした。
金の結晶核を成長させる工程がないので、当然ピンクにはなりませんよね。
そうです、これは失敗焼成なんです。
意図的に不思議なガラス色を出せるのか
ピンク色にならない失敗焼成ではあるものの、光の入り方でブラウンとブルーでキラキラするガラスは魅力的ですよね。
これを意図的に作り出すことは出来ないかな?
この色のガラスを安定して作り出せることができれば、作品のバリエーションもかなり広がること間違いなし。
※宝石のような見え方だもんね
さぁ挑戦です。
ライトピンクを最短時間で焼成してみよう
というわけでブルズアイ1215ライトピンクを前例にならって最短時間で780℃まであげてみることにしました。
※ガラスサイズが小さいのは急激に温度を上げるとガラスが割れやすいので小さくカットしたのだ
※決して高価なガラスだからケチったわけではない
※すいませんケチりました
さぁ、期待いっぱいで電気炉を開けましたら・・・
水色。いいんじゃないの白の上に置いてるから水色に見えてるんだね。
さぁじっくりみてみよう
出来たぁぁぁぁぁぁ
いい感じで出来てる。反射で茶色に透過で水色、完璧に再現することが出来ました。
結論
この不思議な色を出すには最短時間で温度を上げればよろし
温度を上げる時間を長くしたらどうなるのか
最短時間で温度を上げると不思議色のガラスが出来上がることはわかった。
ここで新たな疑問が・・・
ゆっくり温度を上げるとどうなるんだろうか・・・
というわけで今度はじっくり2時間かけてトップ温度780℃まであげてみることにしました。
同じように1215 ライトピンクの小さいパーツを並べて焼成いたします。
※決して高価だからケチったわけでは・・・
さてじっくり温度を上げた結果は・・・
なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ
なんとまぁ汚い色に・・・
下地が白なのにブルーには見えません。こげ茶色になっちゃってます。
持ち上げてもこげ茶色・・・ダメだこりゃ
どうしたもんかと念のため後ろから光を入れてみたら・・・
なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ
深いブルーになってるではないですか!
これはこれでとってもきれいじゃないっすか!!
どうやら温度を上げる時間で色の濃さが変わるようです。
時間をかければかけるほどほ色が濃くなるということなのかもしれません。
ということは温度コントロールで色の深さを調整出来ちゃいそうです。
焼成失敗から生まれた不思議なガラス最高っすね。
ガラスは不思議で楽しい
この後、少し調べてみましたら金の結晶核のサイズがピンクに見えるサイズを超えて大きくなると透過で水色、反射で褐色に見えるようになるそうです。
ということは急激に温度を上げることによって結晶サイズが大きくなりすぎて不思議な色になったのか・・・
ゆっくり時間をかけてもっともっと結晶が大きくなってより色が濃くなったのか・・・
なんて考えているのですが、正解かどうかはわかりません。
でもガラスって本当に不思議なものなんですねぇ・・・
どんどんガラスフュージングが面白くなってきます。
さぁ僕と一緒にガラスを楽しみましょう!!
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