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ガラスの割れ方が大事だよ・電気炉内でガラスが割れても悲しむな

ガラスフュージング

文頭からいきなりですみません。

ガラスフュージングで一番悲しい時ってどんな時ですか?
みなさん「ガラスフュージングだヤッホー!ヤッホー!」とガラスを並べていざ電気炉へ・・・
トップまで温度を上げて徐冷もしてしっかり冷まして電気炉の蓋を開けた瞬間・・・

わ、わ、割れてる・・・

そう、一番悲しい時。

電気炉内でガラスが割れてる時

でもね。これ割れてること自体は悲しいのですが、実はこのガラスの割れ方には今のあなたの温度コントロール方法や次の焼成で失敗しないためのヒントがたくさん含まれているのです。

というわけで今回はガラスの割れ方で自分の焼成方法を見直す方法について書きたいと思います。

今回の内容を動画で解説

フュージングでのガラスの割れ方には2種類の形状がある

電気炉の蓋を開けてガラスが割れてるとそりゃまぁ大ショックだと思います。

「あぁ、なんか温度コントロールがダメだったんだろな・・・」
で済ましちゃってないですか?

それではあまりにももったいない。

割れちゃたガラスをじっくり見てみましょう。

電気炉内で割れたガラス2パターン

この同じガラスの並べ方で焼成して割れちゃったガラス2つをよく見ると何か気づきませんか?

そうです。割れた断面の形状が違うんです。

一つは断面が丸みを帯びてる割れ方、もう一つは断面が鋭角な割れ方

実はこの割れた断面でガラスを焼成する時(温度を上げる下げる)のどこで割れたかがわかるんです。

そしてこのどこで割れたかがあなたの焼成方法を見直す大チャンスなのです。

1.ガラスの断面が丸みを帯びた割れ方

断面が丸みを帯びた割れ方

これは割と一度焼成したガラスをもう一度焼成する時に起きやすい割れ方です。

たとえば・・・

・お皿を制作しようと一度ガラスを並べて1枚のプレートを焼成して、それをモールドに乗せて曲げる(スランピング)時。

・いろんなパーツを乗せて焼成したガラスに別のパーツを並べて再度焼成する時。

などなど2回目、3回目に焼成する時にありがちな割れ方です。

さぁ、どこで割れてしまったのでしょうか

答えは・・・

温度を上げていく過程で割れてる   
つまり、電気炉の棚板にガラスを置いて室温から温度を上昇させていく過程で割れてるのです。

ではなぜそうだと分かるのでしょうか。
トップ温度に行く前に割れてるよねガラスの断面が丸みを帯びてるということは、割れた後にガラスが高温になってると考えられるからなんです。

要するに室温から500℃くらいまでの間に割れて、そこからトップ温度(700~800℃)に上がっていってるので割れたままガラスが溶けていくんです。

そう、だからガラスの断面が丸みを帯びるわけなんです。

なぜ温度を上げる時に割れたのか?

ガラスが割れる原因の一つに温度差で割れるというのがあります。

冷たいガラスのコップに熱湯を注いだら割れるイメージです。

簡単に言えばガラスの内側が熱せられて膨張するスピードに外側が耐えれなくなって割れる感じですね。

もちろんガラスフュージングの電気炉内でも一気に温度を上げるとガラスのコップと同じような事が起こる可能性があります。

つまり、ガラスの断面が丸みを帯びた割れ方をした場合は、温度を上げるスピードが速すぎるのが原因です。

※他にも一度焼成したガラスが少し歪んでいて電気炉の温度を上げていく過程で歪に耐えれなくなって割れるなども考えられます。

いずれにせよこのように割れた場合には温度を上げるときにもっとゆっくり上げるようにしましょう。

2.ガラスの断面が鋭角な割れ方

断面が鋭角な割れ方

次にガラスの断面が鋭角な割れ方。こちらの方がガラスっぽい割れ方ですね(笑)

もう先程の丸みを帯びた割れ方の原因を読んだ方はピンっと来てる事でしょう。

そうです。これは温度を下げるときに割れています

つまり室温から温度が上がっていき、トップ温度でガラスの形状が丸みを帯び(この時点では割れてない)、そこから下がっていく過程で割れてるのです。

なので割れてから温度が上がる事がないのでパキッと割れた形状のままになってます。

なぜ温度を下げる時に割れたのか?

ガラスフュージングでの温度コントロールで大事なのはガラスの徐冷。

ガラスは高温ではやわらかく膨張した状態になっています(内部的には液体と同じ感じ)そこから温度が下がり固くなり収縮するときにガラスは外側から固くなってきます。

そうするとガラスの外側は硬くなってきてるのにガラスの内部はまだやわらかい状態が生まれます。
そこから遅れてガラスの内部が硬くなり収縮するときに、すでに外側は固まってしまってるので内側が無理に収縮しようとして負荷がかかってしまいます。(いわゆるガラスの歪み)

この負荷に耐えれなくなるとガラスが割れてしまうんですね。

なのでこのガラスがやわらかい状態から固くなる状態の時になるべくゆっくり、ガラスの内部に負荷がかからないように温度キープをしたりゆっくり下げたりするのが徐冷です。

つまりこの鋭角に割れてるガラスはこの徐冷がきっちりできてない時に割れた可能性が高いのです。

なのでこの鋭角にガラスが割れてしまった時は徐冷時間をきっちりととり、ゆっくり温度を下げるようにしましょう

たとえ割れてなくても…

注意しなければならないのは、ガラスは割れてなければOKというわけではなくて、徐冷がしっかりできてなくてもガラスは割れずに内部に負荷がかかってるのにギリギリ割れずに形状を保っている時があります。

このようなガラスはスランピングや再度焼成しようとした時に電気炉の温度を上げる時の温度差で割れやすくなりますので徐冷はやはりしっかりするようにしましょうね。

ガラスが割れる原因についての参考記事

ガラスの割れた断面は次回焼成のヒント

いかがだったでしょうか。

たとえ電気炉内でガラスが割れてしまったとしても、ガラスの割れた断面を見るとなぜ割れてしまったのかがわかり、次回の焼成で注意しなければならないことやご自身の焼成プログラムを見直すための大ヒントになってたりするんです。

一生懸命作ったガラス作品が割れるのは悲しいことではありますが、割れた原因を特定して自身の焼成プログラムを見直し、もっと素晴らしい作品へのステップとして考えていきましょうね。

さぁガラスフュージングを楽しみましょう!!

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