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ゴールドホールドの温度が変わりました|基本は1200°F(649℃)で2時間キープ【ブルズアイ公式資料が改訂】

色と変色

8月に「ピンクや赤が発色しない原因は「ゴールドホールド」かも」という記事を書きました。ブルズアイのピンクやパープルを焼くとき、昇温の途中で2時間止める、あの話です。

そのもとになったブルズアイ社の公式資料が、改訂されていました。

しかも、いちばん大事なキープの温度が変わっています。先に結論を書いておきますね。

ゴールドホールドの基本は「1200°F(649℃)で2時間」になりました。
とくに薄いピンク系(1215・1823・1824・1831など)は649℃が安全。濃い色(1311・1334など)は、これまでどおり1225°F(663℃)でも多くの窯で同じように発色します。

つまり、ピンクガラスが全部いっせいに649℃になった、という話ではありません。品番によって考え方が違うので、色ごとの表もあとで載せています。

「えっ、663℃でずっと焼いてたけど?」という方も、濃い色なら慌てなくて大丈夫です。気をつけたいのは、薄いピンク系です。順番に見ていきます。

何が変わった? ひと目でわかる比較表

前の資料(2024年版)新しい資料(2026年改訂版)
基本の温度1225°F(663℃)1200°F(649℃)
キープ時間2時間2時間(変わらず)
1225°F(663℃)の扱い基本の温度35cm角を超える作品で、気泡抜きを兼ねたいとき
1200°F(649℃)の扱い温度が高めの窯向けに下げる調整値基本の温度
色の分け方対象10色+「要テスト」の印「必須」と「推奨」の2グループ
ステンド・モザイク用に板だけ焼くとき記載なしゴールドホールドを入れると明記

資料の番号は前と同じ「#8469」なので、別の資料ではなく同じ資料の改訂版です。タイトルは「Gold Hold: Firing Transparent Pink, Purple, and Coral Colors(ゴールドホールド:透明のピンク・パープル・コーラルの焼き方)」に変わっています。

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なぜ1200°Fに下がったのか

新しい資料には、こう書いてあります。

ブルズアイ社のテストでは、1200°F(649℃)で2時間がいちばん安定した結果になった。いろいろな窯でも、いろいろな製造時期のガラスでも。

前の記事で「温度が高めの窯だと、ゴールドホールドの温度を行き過ぎて(オーバーシュートして)青っぽくなる。そのときは1200°Fに下げて」という話を書きました。

僕の読みですが、「熱い窯のための調整値」だった1200°Fを、最初から基本にしたということなんだと思います。1200°Fにしておけば、窯が多少高めでもちゃんとゴールドホールドの温度帯に収まる。窯ごとの差を吸収できる温度、ということですね。

新しい「ゴールドホールドの基本」

直径35cm(14インチ)までの作品なら、これが基本です。

  • 温度:1200°F(649℃)
  • キープ:2時間
  • いつ:初回焼成の昇温中だけ
  • 対象の形:板ガラス・フリット・ビレットなど、全部
  • 対象の色:金で発色する透明のピンク・パープル・コーラル

そして、うれしい一文がこちら。

35cm角までのフルフューズやタックフューズなら、1200°Fのゴールドホールドが、重ねた作品の気泡抜き(バブルスクイーズ)を兼ねる。

1回のキープで、発色と気泡対策が両方できるわけです。気泡抜きのキープについては気泡コントロールの記事で詳しく書いています。

もうひとつ、地味に大事な注意書きがあります。

ゴールドホールドは「作業温度」ではない。色はもっと高い温度でも育ち続ける。

1200°Fで2時間止めたら完成、ではなくて、あくまで昇温の途中の仕込みです。そのあとはフルフューズでもタックでも、作りたい形に合わせて上げていきます。

新しい基本のフルフューズスケジュール

セグメント昇温レート(毎時)目標温度キープ
1お好みで ※11200°F/649℃2:00
2600°F/333℃1490°F/810℃0:10
3できるだけ速く900°F/482℃※2

※1 最初の昇温レートは、金発色のガラスを発色させるうえで重要ではない、と公式に書いてあります。作品の大きさとデザインに合わせて決めてOK。

※2 ここから先は作品の厚みしだい。いつもの徐冷スケジュールで。

前の資料との違いは、セグメント1の温度が1225°F→1200°Fになっただけです。

1225°F(663℃)を使うのはどんなとき?

新しい資料の2ページ目は「35cm角を超える作品の場合」の話です。

大きい作品は層のあいだに空気が残りやすいので、気泡抜きのキープが必要になります。そのときは1225°F(663℃)がおすすめの温度とのこと。そのうえで、色によって注意点が分かれます。

  • 濃いめの色(濃いピンク・パープル・コーラル):1225°Fでも、多くの窯で1200°Fと同じように発色する
  • 薄いピンク系:1225°Fでうまく発色する窯もあれば、しない窯もある。窯ごとの小さな温度差の影響をとくに受けやすいので、使う窯でのテスト焼きを強くおすすめ
  • 温度が高めの窯:ゴールドホールドの温度を行き過ぎて、薄いピンクの色が弱く・出きらない感じになる。1200°Fに下げれば発色するし、気泡抜きとしてもちゃんと効く

そして最後に、こう締めくくっています。

気泡抜きが必要ないなら、ゴールドホールドは1200°Fをおすすめします。

迷ったら1200°F。これでOKです。

テスト焼きのやり方(35cm角を超える作品の前に)

大きい作品ほど、失敗したときのダメージも大きい。資料には「テストすれば、大きな作品での高くつくびっくりを防げる」とあります。

  1. テストしたいシートから、まだ焼いていない小さなかけらを取る
  2. 下のスケジュールで焼く(2時間のゴールドホールド入り)
  3. シートの品番・製造日・使った窯をメモする。製造時期によって結果が変わることがあります
  4. 1225°Fで焼いて、青や茶色っぽい・色が弱い・ムラ・色が出ないなら、窯がゴールドホールドの温度を行き過ぎています。1200°Fでもう一度テスト
セグメント昇温レート(毎時)目標温度キープ
1400°F/222℃1225°F/663℃
または
1200°F/649℃
2:00
2600°F/333℃1460°F/793℃ ※0:05
3できるだけ速く70°F/21℃—

※ タックフューズで作るなら、その温度とキープ時間で試してOK。正しく加熱できていれば、いろいろな作業温度で発色します。

色を見るためのテストなので、徐冷はいりません。

資料には、同じ1枚のシートから切ったかけらを、窯1と窯2で焼き比べた写真が載っています。同じガラスでも、窯によって一番いいゴールドホールドの温度が違う。前の記事で書いた「自分の窯が何をしているかを知る」が、そのまま写真になっている感じです。

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対象の色は「必須」と「推奨」の2グループに

前の資料では、対象の10色のうち4色に「要テスト(Best-to-Test)」の印が付いていました。新しい資料では、はっきり2つのグループに分かれています。

品番色名区分
001215ライトピンク必須
001823バーンスカーレットティント必須
001824ルビーレッドティント必須
001831ルビーピンクティント必須
—特別生産の透明ピンク系必須
001205ライトコーラル推奨
001234バイオレット推奨
001305サンセットコーラル推奨
001311クランベリーピンク推奨
001332フクシア推奨
001334ゴールドパープル推奨
—特別生産の透明パープル系推奨

「必須」は敏感な色・薄い透明ピンク(Gold Hold Required)、「推奨」は濃いめの透明(Gold Hold Recommended)です。

「必須」の顔ぶれは、前の「要テスト」4色とほぼ同じです(特別生産の透明ピンク系も含む)。ただ、前は要テストだった特別生産のパープル系は「推奨」側に移っています。

品番ごとの温度:色のページでは649℃と663℃に分かれている

ブルズアイのWebサイトには、色ごとのページにもゴールドホールドの温度が書いてあります。こちらは品番によって書き方が違います(2026年10月時点)。

品番色名色のページの温度
001215ライトピンク1200〜1225°F
1200°F(649℃)が一番安定
001823バーンスカーレットティント1200〜1225°F
1200°F(649℃)が一番安定
001824ルビーレッドティント1200〜1225°F
1200°F(649℃)が一番安定
001831ルビーピンクティント1200〜1225°F
1200°F(649℃)が一番安定
001332フクシア1200〜1225°F
1200°F(649℃)が一番安定
001205ライトコーラル1200〜1225°F
001311クランベリーピンク1225°F(663℃)
001334ゴールドパープル1225°F(663℃)
001234バイオレット1225°F(663℃)
001305サンセットコーラル記載なし

ざっくり言うと、

  • 薄いピンク系は649℃。1225°F(663℃)だと、窯によっては色が出きらない
  • 濃い色(クランベリーピンク・ゴールドパープル・バイオレット)は663℃の書き方のまま。新しい資料でも「濃い色は1225°Fでも多くの窯で1200°Fと同じように発色する」とあるので、どちらの温度でもOK

ということです。迷ったら649℃にしておけば、薄い色も濃い色もちゃんと発色します。濃い色だけの作品を663℃で焼いて、うまくいっているなら変えなくて大丈夫です。

ひとつだけ、1332 フクシアは、色のページでは薄いピンクと同じ書き方(1200°Fが一番安定)なのに、新しい資料では「推奨(濃いめ)」のグループに入っています。フクシアを使うときは、649℃にしておくのが安心です。

ステンドグラスやモザイク用に「板だけ焼く」ときも

今回、関連する新しい資料がもう1本出ていました。「Striking Sheet for Stained Glass & Mosaics(ステンドグラス・モザイク用にストライカーの板を焼く)」。

ストライカーのガラスは、焼かないと本来の色になりません。なので、ステンドグラスやモザイクに使うときは板のまま一度焼いて色を出してから、切って使うという方法があります。この資料はそのやり方をまとめたものです。

ゴールドホールドについては、こう書いてあります。

金を発色剤にしている透明ガラスは、初回の焼成で1200°F(649℃)で2時間のキープが必要。大事なステップなので見落とさないで。

4種類の焼き方が載っていて、どれもセグメント1は「1200°F(649℃)で20分」。ゴールドホールドの色だけ、ここを2時間にするという指定です。

焼き方最高温度・キープ色形の変わり方
低温ストライク1275°F/691℃・0:30目標の色より薄めのことも形もフチもほとんど変わらない。先に切ったパーツを焼くならこれ
スタンダード1425°F/774℃・0:10たいてい目標の色の範囲少し縮んで、フチが丸く厚くなる。ブルズアイ社でもよく使う
薄板(2mm)用1415°F/768℃・0:053mmと同じくらいスタンダードより低め・短めで縮みをおさえる
フルフューズ1480°F/804℃・0:10目標の色の範囲いちばん縮む。板の下に大きな泡ができやすい

(例)スタンダードの場合、ゴールドホールドの色ならこうなります。

セグメント昇温レート(毎時)目標温度キープ
1400°F/222℃1200°F/649℃2:00※
2600°F/333℃1425°F/774℃0:10
3できるだけ速く900°F/482℃0:45
4150°F/83℃700°F/371℃0:00
5できるだけ速く70°F/21℃0:00

※ ゴールドホールドの色以外は0:20。

板1枚で焼くと、下に5〜8cmくらいの泡ができることがあります。資料では、大きい板や温度が高めの窯ではファイバーペーパーの上にシンファイヤーを重ねて焼くのがすすめられています。

変わっていないこと

温度以外の大事なところは、前の記事のままです。

  • ゴールドホールドは初回焼成だけ。2回目以降は入れない。とくにカドミウムで作られた赤・黄・オレンジを一緒に使っている作品では、長いキープを何度もすると色を傷めます
  • 板ガラスでもフリットでもパウダーでも、同じ色番号なら必要
  • 最初の昇温レートは重要ではない
  • キープしないと色が弱い・出ない、青や茶色っぽくなる、ムラになる

資料を読むときに気をつけたいところ

細かい話ですが、実際に資料を開く方のために。

  • 1ページ目の写真の説明が「1200°F / 663°C」になっていますが、1200°Fは649℃です(663℃は1225°F)。
  • 2ページ目のテスト結果の写真の説明が「Ruby Pink Tint (001824)」になっています。001824はルビーレッドティントで、ルビーピンクティントは001831です。どちらの色の写真かは、資料からは判断できませんでした。
  • ブルズアイ社のWebサイトの「Gold Hold List」のページや、一部の色のページには、まだ1225°Fの書き方が残っています(2026年10月時点)。いちばん新しいのはPDFの資料です。

8月に書いた「ピンクや赤が発色しない原因は「ゴールドホールド」かも」の記事も、新しい資料に合わせて書き直しました。テスト焼きのやり方や、注意点をくわしく知りたい方はこちらもどうぞ。

まとめ

  • ゴールドホールドの基本は1200°F(649℃)で2時間に変わった。とくに薄いピンク系(1215・1823・1824・1831・1332)は649℃
  • 濃い色(1311・1334・1234)は663℃でもOK。ピンクが全部649℃になったわけではない
  • 1225°F(663℃)は、35cm角を超える作品で気泡抜きを兼ねたいときの選択肢。薄いピンクは窯しだいなのでテスト焼きを
  • 35cm角までなら、1200°Fのキープが気泡抜きも兼ねる
  • 対象の色は「必須」(薄いピンク系)と「推奨」(濃いめの色)の2グループに
  • ステンドグラス・モザイク用に板を焼くときも、ゴールドホールドの色は2時間キープ
  • 初回だけ・全形状に・昇温レートは関係なし、は変わらず

僕がブルズアイを好きで、みんなに勧めている理由

今回の資料を読んでいて、改めて「これやねん」と思ったことがあります。

実はこのゴールドホールドの資料、同じ資料番号「#8469」のまま、何度も書き直されてきたんです。たどってみると、こんな流れになっていました。

年資料何が変わったか
2021年Quick Tip: Gold-Bearing Pink Tints1225°F(663℃)で2時間。ティント系を試験する中で「30分キープだと、いろんな色合いが出せる」ことを見つけて、それも公開
2024年11月Properly Pink, Purple & More「透明ピンクの一部のロットは、温度が高めの窯だとうまく発色しない」とわかり、1200°F(649℃)に下げるテストのやり方と「要テスト」の色を追加
2026年4月Gold Hold: Firing Transparent Pink, Purple, and Coral Colorsいろんな窯・いろんな製造時期のガラスで試した結果、「1200°F(649℃)で2時間が一番安定」として、基本の温度を変更

資料には、ユーザーの声がきっかけだったかどうかまでは書かれていません。

でも、「窯が熱いと色が出ない」というのは、まさに使う人それぞれの工房の、それぞれの窯で起きていた問題です。ブルズアイはそれを「お客さんの窯のせい」で終わらせずに、自分たちで何台もの窯で試して、製造時期の違うガラスでも試して、「じゃあこの温度なら、どの窯でもちゃんと色が出る」という答えを出してくれた。窯によって結果が違う写真まで載せて。

しかもそれを、わかった時点で資料を書き直して、すぐに無料で公開してくれる。「前にこう言ったから」と古い情報のままにしない。

ガラスって、同じ品番でも窯や焼き方で結果が変わる素材です。だからこそ、

  • ガラスを作っている会社が、使う人が困らないように研究を続けている
  • わかったことを、隠さず、すぐに発表してくれる

これがどれだけ心強いか。思った色が出なかったときに「なんで?」を調べられるし、答えが見つかる。失敗が「よくわからない失敗」で終わらずに、次の作品につながる。

ここが、僕がブルズアイを好きで、みんなに勧めている一番の理由です。

ガラスを好きでい続けてほしいからこそ、「なんで?」にちゃんと答えてくれるガラスを使ってほしい。そう思っています。

グラクラマーケットでも、ブルズアイの板ガラスを扱っています。ピンクやパープルの色を、焼く前と焼いた後で見比べてみてください。

あわせて読みたい


出典:Bullseye Glass Co.「Gold Hold: Firing Transparent Pink, Purple, and Coral Colors」(#8469、2026年4月改訂)/「Properly Pink, Purple & More—Know Your Gold Hold」(#8469、2024年11月)/「Quick Tip: Gold-Bearing Pink Tints」(#8469、2021年)/「Striking Sheet for Stained Glass & Mosaics」(#7355、2026年6月)。焼成スケジュールは公式資料の数値をそのまま載せています。窯によって結果は変わるので、大事な作品の前にはテスト焼きをおすすめします。

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